大学卒業後に就職しないとどうなる?メリットとデメリット・進路を解説

このページのまとめ

  • 大学卒業後に就職したくない理由を知り、対処法を考えることが大事
  • 就職しないことで起こるデメリットとメリットを比較して正しい選択をする
  • 「新卒」ステータスの価値を理解したうえで、就職しない場合の進路を考える

大学卒業後に就職しないとどうなる?メリットとデメリット・進路を解説のイメージ

「大学卒業後就職しないという選択肢はありなのか」と疑問に思う大学生も多いでしょう。必ず正社員にならないといけないというわけではないものの、就職をしないことによるデメリットはいくつかあります。

この記事では、就職したくない理由や就職しない場合のメリット・デメリット、就職以外の選択肢をご紹介。気持ちの切り替え方も解説しているので、「後悔しないための行動」を考える際に役立ててみてください。

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目 次

大学卒業後に就職しない理由

文部科学省の「令和4年度学校基本調査(確定値)について公表します」によると、令和4年5月の時点で就活をせずに卒業する大学生の割合は9.4%です。その主な理由は、進学や就職の準備中、家事手伝いなど。

では、就職しないと考えている大学生の理由には、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。考えられる理由をご紹介しますので、自分に当てはまるものがないか確認してみてください。

やりたい仕事が分からない

自分がどのような仕事をしたいか分からないのは、大学卒業後に就職しない場合によくある理由です。やりたい仕事が見つかっていない人は、就職活動へのモチベーションを保つことができません。「やりたいこともないし就職しなくて良いか」という思考になってしまいます。

また、企業に応募する際は、履歴書や面接などの選考において志望動機を伝えることが必須です。自分のやりたい仕事が分からなければ志望動機も作成できず、就職活動へのモチベーションが下がってしまうでしょう。

そもそも働きたくない

企業に就職することはもとより、働くこと自体に魅力を感じない学生もいるようです。たとえば、家族や先輩など身近な人がいつも仕事のことでイライラしていたり、忙しくて大変そうな姿を見たりしていると、「働くこと=苦痛である」というイメージを持ってしまうでしょう。

就活に対する不満がある

「大学卒業後は新卒社員として企業に就職する」という日本の就活システムに嫌悪感を抱いている学生もいます。下記は、就活に対するネガティブなイメージの例です。

・応募書類の細かいルールや書き方が多い
・自分らしさを出せないことが多い
・採用してもらうための立ち振る舞いや形式を重視しなければならない
・不採用続きになると落ち込む

就活をするにあたって、さまざまなマナーを学ばなければならないことは学生にとって負担となることが多いです。

面接のマナーについては「面接マナーを知りたい就活生必見!質問例や持ち物もご紹介」の記事を参考にしてください。
また、「就活することに何の意味があるのか」と思ってしまう学生は、「「就活なんて意味ない!」と思うのはなぜ?原因と気持ちを切り替える方法を解説」の記事でその理由を確認してみましょう。

組織に所属することへの不満がある

組織に所属することに抵抗があり、大学卒業後に就職しない学生もいるでしょう。一般的に、企業は組織単位で動き利益を生み出すことが求められます。そのため、会社に就職したら、自分は会社の一員であるという自覚をもち会社の利益のために働かなくてはいけません。

その組織に属するという面に、「個人が尊重されにくい環境」「企業の経営理念や方針に従わなければならない」といったマイナスイメージを持ってしまう学生もいます。また、団体行動に苦手意識がある学生も、同じ理由で就職しない選択をとる傾向にあるでしょう。

自由に生きたい

「会社や組織に縛られず自由に生きたい」と願う学生は、大学卒業後に就職したくないと考えてしまうようです。学生のときに比べ、社会人になると週5日朝から夜まで仕事に費やすことになります。

残業もあり平日は帰って寝るだけの生活、休日は平日の疲れが抜けず家でダラダラ過ごすだけ。そんな生活を想像し「自分の時間が確保できないのではないか」と不安に感じると、就職したくなくなってしまうでしょう。

参照元
文部科学省
令和4年度学校基本調査(確定値)について公表します

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大学卒業後に就職しない場合の6つの選択肢

大学卒業後に就職しない場合には、進学したりフリーターになったりするなど多くの選択肢があります。ここでは、大学卒業後に就職しない場合の6つの選択肢を解説するので、就職しない人は参考にしてください。

大学院や専門学校に進学する

「大学よりも専門的な知識を身につけたい」「新しく学びたい学問がある」という人には、大学院や専門学校に進学するという選択肢があります。大学院や専門学校に進学すると、専門的な知識やスキルが求められる職種への就職が有利になったり、学部卒よりも給料が高い仕事に就けたりするのがメリットです。

ただし、高額の学費が必要になったり、勉強の難易度が高まり就職活動やアルバイトとの両立が難しかったりする場合があるので注意してください。

既卒として就活する

大学卒業後すぐに就職しない場合には、既卒として就活するという選択肢もあります。

既卒として就活する場合には、大学との両立をしなくて良いので就職活動にかけられる時間が長くなるのがメリットです。
一方で、既卒での就活は新卒よりも不利になるといわれています。新卒より受けられる企業の数が少なくなったり、面接の際に新卒で就職しなかった理由を聞かれたりするでしょう。

フリーターになる

大学卒業後に就職しない場合には、フリーターになるという選択肢もあります。アルバイトやパートでの勤務は、勤務時間を自分で決められる場合が多くプライベートとの両立がしやすい点がメリットです。

一方で、収入や雇用が安定しない点や社会的信用度が低い点はデメリットといえるでしょう。

フリーランスとして働く

大学卒業後には、フリーランスとして働くという選択肢もあります。フリーランスは、自分の知識やスキルを活かして、個人的に仕事を受けて働く方法です。

たとえば、以下のような仕事でフリーランスになる人がいます。

・イラストレーター
・Webエンジニア
・Webライター
・ブロガー
・コンサルタント
・フォトグラファー

フリーランスのメリットは、自分の好きな時間や場所で働ける点や自分の考えや方針で仕事を進められる点です。一方で、スキルがなければ仕事が受けられず、雑務やタスク管理まですべて自分で行わなくてはならないというデメリットもあります。

一見楽に感じるフリーランスですが、自分で仕事を探したり十分な仕事時間を確保したりしなければ対価は得られないので注意しましょう。

起業する

大学卒業後に、自分でビジネスを始めて起業するという選択肢もあります。なかには、大学生の間に起業しそのままビジネスを続ける人もいるでしょう。

ただし、起業するためには経営のための知識やスキルが必要で、起業したからといって必ずしも成功するとは限りません。起業してどうしても実現したいビジョンや目標がある人や、確かな経営スキルをもっている人のみが起業するとよいでしょう。

卒業後に起業を考えている学生は、「起業したい大学生が押さえるべきポイントは?」を参考にしてください。

ニートになる

大学卒業後にニートになる人もいるでしょう。ニートになると収入がなくなるため、金銭的な不安が大きくなります。家族の支援がある場合は生活できますが、家族の老後や自分の将来を考えた場合、長期間ニートでいるのは難しいでしょう。

また、ニート期間が長くなると就活で不利になるので注意してください。面接でニート期間に何をしていたかを聞かれた際に答えられるように、資格の取得や読書など自分のためになる行動をしておくとよいでしょう。

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大学卒業後に就職しないデメリット

ここでは、就職しないことで起こるデメリットを解説します。大学卒業後に就職しないつもりの人は、就職しなかった場合のリスクの高さをしっかりと理解しましょう。

収入が安定しにくい

大学卒業後に就職しないと、固定された収入が得にくいというデメリットがあります。正社員ではなくフリーターやアルバイト、派遣勤務になると、月単位での給料やボーナスを得られる機会も少ないでしょう。生活が安定しないと、将来に向けて貯金をすることも難しい可能性があります。
また、大学卒業後に正社員になった友人と収入や貯蓄の差が徐々に広がっていきます。

社会的信用が得にくい

正社員として企業に就職しないと、社会的信用を得ることが難しくなります。たとえば、クレジットカード作成や住宅・車のローンの申請をする際は、就業先の証明によって社会的信用を得ます。安定した雇用がないと、それらの審査が通らない場合があるのがデメリットです。

福利厚生が受けられない

大学卒業後に企業に所属すると、社会保険や雇用保険、厚生年金など、法で定められた福利厚生を受けられます。

しかし、アルバイトやパートなどの非正規雇用ではそのような福利厚生を受けられない場合が多いです。また、フリーランスや個人事業主の場合は国民健康保険や国民年金に自分で加入しなければならず、確定申告も自分で行う必要があります。

新卒より就活のハードルが上がる

大学卒業後に就職をしないと、今後就職活動をする際に新卒採用よりもハードルが高くなるのがデメリットです。ポテンシャル採用である新卒採用枠とは異なり、中途採用枠になると、企業は即戦力を重視するようになります。
また、既卒で就活をする際は、高いスキルや実績とともに基本的なビジネスマナーも求められるでしょう。

就活のビジネスマナーについて知りたい方は「就活生必見!集団面接でよく聞かれる質問とマナー」の記事を参考にしてみてください。

人脈の幅が広がりにくい

大学卒業後に就職しないと、幅広い人脈を構築するのが難しくなります。

組織に所属していればさまざまな立場の人と関わることになりますが、アルバイトやパートなどの場合はその機会が減るでしょう。フリーランスや起業をする場合は自分から人脈を作っていく必要があります。
また、すでに社会人として働いている同年代の友人と話が合わなくなり、孤独感を抱いてしまうことも考えられます。

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大学卒業後に就職しないメリット

就職しないことによるデメリットは多いことが分かりましたが、メリットもいくつかあります。

自由な時間が増える

企業での就業時間は一日7〜8時間+昼休憩が一般的であり、一日の半分以上を拘束されることに苦痛を感じる人も少なくありません。大学卒業後に就職をしない選択をすると、自由に使える時間が増えるというメリットがあります。大学卒業後、新卒で就職をせず自分の時間をどう使うか考えている学生は「就職したくないと悩んでいる就活生へ!悩みの解消法や対策を解説」の記事も参考にしてみてください。

自分探しの時間ができる

大学卒業後に就職しないと、自分と向き合う時間ができるというメリットもあります。正社員として働くようになると、一日のほとんどを仕事に費やすことになります。新人から一人前になることに頭がいっぱいで、自分のやりたいことを考える時間を確保するのは難しいかもしれません。

自分が本当にやりたいことは何なのかを考えるために、就職しないという選択をとる人もいるようです。

人間関係に悩まずに済む

会社で働き始めると社内外でさまざまな人と関わるため、職場での人間関係が良好かそうでないかは、仕事をするうえで重要です。実際、転職理由として「職場の人間関係」が多いのも事実です。人との関わりに苦手意識がある学生は、就職しないことで人間関係のトラブルに悩む機会が減る、という点にメリットを感じるでしょう。

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大学卒業後の就職についてのキャリアアドバイザーのアドバイス

起業やフリーランスは、チャレンジするハードルは下がっているものの「継続する」「安定的に収益を得る」ことの難易度は非常に高いです。
起業は会社そのものが信用を得られていない状態のため、資本形成や企業間取引などの難易度が高く、フリーランスは単価で働くことが多いため仕事が得られなかったら収入はありません。また、万が一何かトラブルがあった際はすべて個人の責任になります。
いずれも、軌道に乗るまでは収益が不安定かつ安定する保証もありません。個人の能力・スキルが認められて初めて仕事が得られたり、学生時代からの人脈があって成立したりする働き方のため、未経験の新卒がいきなり始めても成功しづらいのが実情でしょう。

迷うなら、ポテンシャルが重視される新卒正社員として就職するのがおすすめです
「就職しない」という選択をして正社員経験(企業に属した経験)がないまま後から中途採用を受けようとすると、「これまでどんな業務に携わってきて、どういうポジションを経験して、その結果なにができるのか」を見られるため、新卒採用と比較して難易度が格段に高くなるからです。

特に、ファーストキャリアで「起業」「フリーランス」を選んだのち、スキルや人脈などを形成できないまま中途採用を受けようとすると、上記の「見られている点」に対して何も返答できない可能性も。
新卒時に正社員として企業に属してスキルや経験を積んだうえで、そこから別の働き方にチャレンジする方が起業やフリーランスも上手くいきやすいですし、もし上手くいかなくても「社会人経験あり」として中途採用を受けられます。

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大学卒業後に就活を成功させるポイント

「大学卒業後に就職しないという選択をしたけれど再度就活を始めたい」という方に向けて、就活を成功に導くために押さえておくべきポイントを解説します。

1.自己分析をやり直す

就活をするうえで、自己分析は避けて通れない作業です。大学時代に自己分析をした人は再度行い、一度もしたことがない人はすぐに取り掛かりましょう。自己分析をしないと就活の軸や方向性が定まりにくく、就活が進まなくなってしまいます。

就活の軸の大切さを知るためには、「よく聞く「就活の軸」。何がそんなに大事なの?」の記事を読んでみてください。

2.就活に有利な資格を取得する

就職活動を有利にするためには、資格やスキルを取得することも効果的です。即戦力や実績を重視する既卒枠の就活においておすすめの資格は、以下のとおりです。

・TOEIC(750点以上が望ましい)
・日商簿記検定
・ITパスポート
・MOS
・ファイナンシャルプランナー
・秘書検定

自分の志望する職種や企業で有効な資格がある場合は、取得を検討するとよいでしょう。

3.就活を最優先に考える

既卒での就活は新卒に比べると難易度が上がるため、就活を成功させたい人は最優先で取り掛かることが重要です。自由な時間があるぶん、その時間をアルバイトや自分探しに費やす人もいますが、既卒の期間が長くなるほど就職が厳しくなることを覚えておきましょう。

4.就職しなかった理由を考える

就活での面接において、「なぜ新卒で就職しなかったのか」は必ずといって良いほど聞かれます。

ほかの学生が就活している期間何をしていたのか、なぜ今就職活動をしているのか、質問されたときに答えられるようにしておきましょう。資格取得のための勉強や留学など、面接官が納得できる理由を伝えられればアピールになります。

5.就活エージェントを利用する

新卒も既卒も、就活は自分一人だけの力では難しいもの。限界を感じてしまう前に、就活エージェントを利用するのがおすすめです。

就活エージェントに登録をすれば、就活のプロから専門的なアドバイスを受けたり、履歴書の作成や面接対策などのサポートを受けたりできます。既卒者に特化した就活エージェントもあるので、大学卒業後の就職活動を成功させたい方はぜひ登録してみてください。

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就活をしたくないときの対処法

「就職したほうが良いと分かっていても、どうしても就活に抵抗がある」と悩んでいる学生のために、気持ちの切り替え方や考え方をご紹介します。

「新卒」の価値を考える

就活において、「新卒」というステータスは就職に有利です。ポテンシャルが重視され、自分のがんばり次第で志望企業に入社できるチャンスはなかなかありません。

既卒になると企業の目は厳しくなり、特別なスキルや知識がなければ就活をスムーズに進めることは難しくなるでしょう。人生で一度しかない「新卒」という時期の価値の重要さを知り、就職活動をするかしないか、後悔しない選択をしてください。

新卒の価値については、「新卒カードとは?使用するメリット・デメリットと就活成功のポイントを解説」でも解説しています。

理想の人生設計を想像してみる

自分が将来どのような人生を送りたいかを考えてみましょう。

たとえば、「同僚や上司から信頼される社会人になりたい」「海外出張をして活躍したい」「仕事とプライベートを充実させたい」などの希望があるとします。そこから逆算し、その理想を叶えるには今どのような行動を取るべきかを考えれば、就職に対するモチベーションが上がるでしょう。

なぜ就活したくないのか原因を突き止める

就活したくないと思う場合は、なぜそう思うのか自分に問いかけてみましょう。嫌だと思う理由が分からないと、その対処法も分からないからです。

就活したくない原因の見つけ方は「「就活で何もしたくない」と感じたらどうする?原因と解決方法をご紹介」の記事でご紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

新卒で就職できなくても人生は終わらない

就活生のなかには「新卒で就職できなかったら人生終わり」と考えてしまう人もいるかもしれません。たしかに、就活は人生のターニングポイントといえます。
しかし、大学卒業後すぐに就職できなかったとしてもそこで人生が終わるわけではありません。

ネガティブになり過ぎるとかえってうまく進まないので、周りからのプレッシャーに押されず、自分が納得できる就職活動をすることが大切です。それでも悲観的になってしまう学生は「新卒で就職できなかったらどうする?人生終了でない理由と選択肢を解説」の記事を読んでみてください。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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