フェルミ推定って?解き方や攻略法を解説!

このページのまとめ

  • フェルミ推定とは、抽象的な数量を既知の数値や論理的な推定を前提に概算する理論
  • 前提条件を整理したうえで考察を具体化して計算し、最後に数量が正しいか検証する
  • フェルミ推定には、普段からロジカルシンキングを身につけるトレーニングが有効

フェルミ推定って?解き方や攻略法を解説!のイメージ

入社難易度の高い大手企業や外資系コンサルティング会社で適用されている「フェルミ推定」。コンサル業界などでは、課題解決の為の論理的思考や数字などに慣れている必要があるため、多くの企業が面接前の足切りとして導入しています。このコラムではフェルミ推定の基本的な考え方や、取り組むことで養われる能力などについて詳しく解説します。フェルミ推定の対策や通過のコツを学び、内定につなげていきましょう。

目 次
 

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フェルミ推定とは?

フェルミ推定とは、「東京のタクシーの数は?」「日本にいる犬の数は?」といったような与えられた条件の数値を、手がかりとなるいくつかの推定を前提に論理的に答えを概算するテクニック・考え方のことです。難しく捉えがちなフェルミ推定ですが、仕組みや解き方のコツを学べば、誰でも解けるようになります。少しずつ解き方を学び、フェルミ推定をマスターしましょう!

フェルミ推定はビジネスでも応用できる

予測できない数量を概算する手段であるフェルミ推定は、マスターすることで論理的思考力が養われます。欧米では思考力を育てるため学校教育にも取り入れられているようです。身につけることで、必要なデータがすべてそろっていない状態でも、「事業戦略を立てる」「企画を立案する」といった能力が身につき、仕事のさまざまな場面で活かせるでしょう。

どのような企業で求められる?

フェルミ推定を取り入れる企業は大手からベンチャーまで多数ありますが、中でも外資系企業やコンサルティング会社の選考において、ケース面接とあわせて出題される傾向が多いようです。実際にクライアント先の課題解決を売り上げやデータを分析し、仮説を立てながら戦略を立てていくコンサル業界では、数字センスや論理的思考力が必須となります。一般企業ではあまり導入されていませんが、コンサルティング企業や外資系企業への就職を目指す方にとってはぜひ押さえておきたい考え方です。
自分の志望する企業がまずフェルミ推定を取り入れているかどうか、前もって調べておくと良いでしょう。

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フェルミ推定問題の解き方

次に、フェルミ推定の問題の解き方を紹介します。例題を参考に、考察手順に沿って解説しますので、解き方の大まかな流れをチェックしてみてください。

ステップ1.前提条件を整理する

たとえば、「コンビニの売り上げがいくらか」という問題を出されたとします。このままでは答えを出すための前提が曖昧なので、最初に下記のような条件を確認する必要があります。

・「規模」はどれぐらいか→全国のコンビニなのか、特定の地域のコンビニなのか
・「期間」はどれぐらいか→1日の売上なのか、1週間の売上なのか、1カ月の売上なのか

条件に不明点があれば面接官に質問したうえで、クリアにしてから取り組みます。自分で設定する場合は、「この条件で考える」という前提を面接官と共有しておくと安心です。最初に与えられた条件の整理や定義付けをしないと、求める数字の範囲が広くなりすぎ、かえって解くことが難しくなってしまいます。解く際には必ず前提条件を整理し、大まかな枠組みを決めることを意識しましょう。

ステップ2.考察を具体化する

次に、考察の手順やポイントについて、「東京の電柱の数は何本か」という問題をもとに考え方の一例をご紹介します。考察する際には、現実的な情報をもとにしながら以下のように考えを具体化することがポイントです。

(1)電柱が何メートルごとに何本あるか仮定する
(2)1キロあたり何本かを考察する
(3)東京の面積あたりの電柱の数を導く

実際には電柱がひしめき合っている地域もあれば、立地の問題で少ない場合もあると予想できるので、あくまでも平均値として推定します。

ステップ3.実際に計算する

考察の内容と手順が決まったら、いよいよ計算です。仮に、電柱が8メートルごとに2本あると想定しましょう。すると、8平方メートルの面積内には、4本の電柱がある計算になります。この数字を8キロ平方メートルあたりの本数に換算すると4000本になるので、1キロ平方メートルにつき電柱は500本あると推定することが可能です。概算を出すのに必要な東京の面積は2,188平方km。ここから、電柱の数をおよそ「2,188×500=1,094,000」本と導き出せます。

ここで注意しておきたいのが、(1)と(2)は仮の推定で数値を出せるものの、(3)に関しては東京の面積を知らないと答えを出すのが難しいということ。フェルミ推定を解くには、日本や世界の総人口、国土面積、平均寿命のようなビッグデータは事前に覚えておくのが望ましいです。

ステップ4.数量が正しいか検証する

最後に、求めた数値が現実的に考えて無理のない数値かどうか、多方面から考えて妥当性をチェックします。たとえば、先述した問題の場合、導き出した数値が東京の総人口よりも多かったり、国土面積を超えていたりすると、算出方法のどこかに誤りがある可能性が高いです。答えが現実的でないと考えられる場合は、前提条件や算出過程を振り返って見落としている点を見つけましょう。

 

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就活のフェルミ推定では何が評価される?

就活のフェルミ推定では、答えの正確性よりも、答えを出すまでの過程や能力、論理的に説明する力がより重視されます。フェルミ推定は問題そのものが抽象的であるため、正しい答えを出すにはさらに厳密な調査や多くのエビデンスが必要になるからです。

実際に多くの企業ではフェルミ推定を解かせたあとに、その回答までの経緯や思考プロセスを説明させ、その過程を見て合否を出すことがほとんどです。「正解に近い数字を出せているか」ももちろん見ていますが、計算式を出すまでの仮説やプロセスから「論理的思考」の有無を判断しているようです。

論理的思考力

フェルミ推定の問題で評価されるポイントは、与えられた条件から、どれだけ自分で仮説や定義づけて結論まで導けるか?といった過程です。論理的に考えて仮説を立てられる就活生は、ビジネスの場でもたくさんの情報を組み立てて整理し、自分なりに全体像を把握できる人材だと、企業から期待を寄せられます。仕事をスムーズに進めるうえで、論理的思考力は欠かせないスキルといえるでしょう。

コミュニケーション能力

フェルミ推定やケース面接では、面接官と議論を交えることもあるため、対話によって自分の考えをブラッシュアップしていくコミュニケーション能力が大変重要です。また、ケース面接では結論を論理建てて説明するプレゼン能力も重視されます。自分の考えやプロセスを、いかに相手にわかりやすく論理的に伝えられるかもコンサル業界などでは必要なスキルの1つです。普段から回答を簡潔にまとめることや、筋道立ててわかりやすく伝える練習をしておくと良いでしょう。

そのほか、難題に対して意欲的に取り組む姿勢や、思考することを楽しめるかといった仕事に対する適性、問題を短時間で解決するスピード感などもチェックされるポイントです。

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トレーニングによるフェルミ推定の対策

フェルミ推定の対策は、ロジカルシンキングを身につける練習を習慣化することが有効です。また、知識をたくさん身につけることも、角度を変えて検証ができたり、複数の考察のパターンを思いついたりといったメリットが得られるのでおすすめです。そのほか、例題をこなして問題の傾向に慣れ、コツを掴んでおきましょう。前もってしっかり準備をしておくと、面接にも余裕をもって臨めるはずです。

ロジカルシンキングを身につけよう

フェルミ推定に取り組むうえで、ロジカルシンキングの習得は必要不可欠です。普段から下記の手順を意識して例題に取り組み、論理的思考力を養いましょう。

(1)抽象的な事象を現実的に分解し、課題を浮き彫りにする
(2)既知のデータや推測できる数値を代入し、身近な数値に落とし込む
(3)出した答えを多角的に検証する

面接では、過程や前提条件の詳細について面接官から質問されることがしばしばあります。場合によっては過程が不完全であったり、前提条件に無理があったりといった不備が浮き彫りになることも。面接官のこうした質問には、修正に向けた就活生の「思考力」を見極めたいという意図があります。面接官の質問で不備が見つかった際には、きちんと考え直し、向き合いながら明確にしていきましょう。

多くの問題に取り組んで解き方のコツを掴もう

スムーズに推定できるようになるためには、多くの問題をこなして解き方のトレーニングをすることが大切です。フェルミ推定に苦手意識のある就活生は少なくありませんが、過去の出題例や類題に挑戦して傾向を掴んでおくことで、実際に出題されたときも落ち着いて取り組むことができます。フェルミ推定は参考書やネットでも問題集が多くあるので、まずは簡単なものから論理的思考力や解き方の大枠を掴み、少しずつ難易度が高いものに挑戦することで解き方のコツを掴みましょう。

自分に解ける問題から取り組んで自信をつける

まずは、「全国の男性の数は?」「お酒の市場規模は?」といった初心者向けの簡単な問題からスタートするのがおすすめです。日本の総人口数や、男女比、年齢別の人数比など基本的な数字も覚えておくと、より具体的かつ正確な数字が導けます。ある程度慣れてきたら、テーマパークにおける訪日外国人の市場規模のような、少しテクニックが必要とされる応用問題へと段階を踏んで取り組むと良いでしょう。

頻出問題の傾向や計算式をマスターする

就活生の趣味や興味のあること、時事問題などにからめて、売上高や市場規模、所有数などが問われることもあるようです。面接で「お寿司が好きなのでよく寿司屋に足を運びます」と伝えると、「ではあなたがよく行く寿司屋の年間の売上はどれくらいだと思いますか?」と面接官に尋ねられる可能性も。ある程度出題される問題の予測がつけば、恐れることなく問題に向かうことができるはずです。前述した寿司屋の売上高を求める問題でいえば、キャパシティ(収容人数)や稼働率、回転率、営業時間、単価などを考慮し、以下のような推定式が立てられます。

[計算式]
年間売上高(市場規模)=キャパシティ×回転率×稼働率×営業時間×単価×365日

このように、市場規模や売上高を求める問題は、パターンごとに計算式に当てはめていくと解きやすくなるのでぜひ覚えておいてください。

もし応募先の企業でフェルミ推定が採用されていなかったとしても、フェルミ推定で培われた論理的思考力やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力は、ビジネスの場で大いに活かせます。学んでおいて決して損はないでしょう。

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本記事の執筆者

開 菜々子(ひらき ななこ)

大学時代はダンスサークルに所属しながら、学生団体に所属し若者向けの商品開発や、広告代理店での長期インターンを経験。卒業後はレバレジーズ株式会社へ入社し、キャリアチケットのコンサルタントとして文系・理系問わず約1000人以上の学生のキャリア支援を行う。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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