このページのまとめ
- 住宅設備業界も建材業界も人手不足が問題視されている
- 人口減少に伴い新築住宅の着工数は減少傾向にある
- 空き家問題を直視しつつストックビジネスへの注力が必要
- 国が住宅事業者団体登録を通してリフォーム市場を後押ししている
本記事の執筆者
森 雅樹(もり・まさき)
森住宅コンサルタント株式会社、代表取締役。大手ハウスメーカーで戸建て住宅営業を経験。退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。その後、森住宅コンサルタント株式会社を興して独立。現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサルティング活動を行う。
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住宅設備・建材業界とは
住宅はハウスメーカーや工務店が建てますが、住宅にはトイレやキッチンが必要です。トイレやキッチンを作るためには、木造・鉄骨住宅を問わず建材が必要です。このような住宅建設現場に住宅設備および建材供給をするのが、住宅設備業界であり建材業界です。
トイレ、キッチンなどを扱う住宅設備業は商品を製造し販売します。建材業界はただ建材を売るだけではなく、造り手である大工職人も含めて、材料と人手をセットで供給することも増えてきています。
つまり、商品を販売して利益を得るだけではない、人手不足を背景にした収益構造が構築されています。
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住宅設備・建材業界の現状
新築住宅の着工数は今後減っていくことが予想されています。
出所:野村総合研究所 - 新設住宅着工戸数の実績と予測結果
新築の着工数が減れば、それだけ住宅設備や建材も影響を受けるため、各企業がさまざまな戦略を練っています。
このように、人口減少に伴う新築住宅の着工数が減少することはほぼ確実とみられていますが、それ以外の問題として空き家の激増が挙げられます。
築浅物件の空き家ならばまだしも、今後は築60年、70年と言った古い住宅が大量に放置される危険性があり、崩壊や出火の危険性がすでに指摘されています。
住宅設備・建材業界はこのような問題と向き合いつつ、付加価値の高い製品を供給し続けるという難題と直面しているのです。
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住宅設備・建材業界の今後
下記のグラフのとおり、両業種とも大きな伸びを見せる予測はありません。人口減少に伴う新築着工数減の影響は受けざるをえないとみるのが大半の予測です。
出所:富士経済 - 住宅設備・建材市場規模と未来予測
※狭義のリフォーム…「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」および「設備等の修繕維持費」のこと
※広義のリフォーム…狭義のリフォームに「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を含めた金額」を加えたもの
とくに2019年に予定されている消費税増税の影響による需要減は大きいと思われます。各社ともにこれらの諸問題を切り抜けるために、今までにはない対応策を模索しています。
注目されている戦略がストックビジネスへの注力です。ストックビジネスを分かりやすく言い換えると、リフォームです。新築の頭打ち時代と空き家の激増という問題を解決する方法として、国が主導でストックビジネスに舵を切ろうとしています。
ストックビジネス市場が大きくなりつつあることを示す1つの例として、住宅リフォーム事業者団体登録という国交省の制度があります。新築一辺倒だった日本の住宅市場がリフォームに向かうことを見据え、消費者が安心してリフォームを依頼できるようにするための制度です。ある一定基準をクリアしたリフォーム会社しか入ることのできない仕組みになっており、登録された企業は事務所や名刺などにロゴマークを掲示することで、消費者が安心して選ぶ可能性が高くなります。このように国の後押しもあるリフォーム市場へ向かう戦略がこの業界には求められています。
国全体の大きな問題である人手不足は住宅設備・建材業界にとっても例外ではありません。住宅設備・建材業界の中には、すでに海外展開・海外からの人材確保に目を向けて行動を起こしている企業もたくさん存在しています。
住宅業界については「住宅業界の現況・今後の動向について」も参考にしてください。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。