このページのまとめ
- 新聞の売上高は減少しており、過去10年で5000億円以上下回っている
- 購読者の半数以上が60代以上
- 情報の信頼度の調査では、新聞はNHKテレビに次いで2位
本記事の執筆者
坂本宗之祐(さかもと・そうのすけ)
メディアコンサルタント。読売新聞記者(11年)を経て、Yahoo!ニュース記事を多数執筆(月間最大1800万PV)。これまで5年で1200人の経営者らに広報を指導。埼玉県庁、NTT東日本など全国で講演・研修を行う。
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新聞業界とは?
新聞は、かつて最も人々に親しまれた情報の取得源(メディア)。10〜20年前からインターネットが台頭したことで、紙の新聞購読者は年々減り続けています。
しかし、国内で発行されている日刊紙の新聞数は、2018年度で約3,990万部(出所:日本新聞協会)。また、インターネットで読めるニュースの多くは、新聞社が情報を提供しています。紙の新聞が減っても、人々に情報を届ける主たる役割は基本的に変わっていないのです。
2017年度における国内新聞社の総売上高は1兆7122億円。過去10年で5,000億円以上も減少しています(出所:日本新聞協会)。ビジネスの市場規模としては決して大きくないかもしれませんが、人々を動かす“情報”を扱うだけに、社会的影響力はいまだ大きいといるでしょう。
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全国に117紙ある新聞業界
日刊の新聞にはいくつかの種類があります。幅広いニュースを扱う「一般紙」、スポーツ芸能を主に扱う「スポーツ紙」、そのほか、日本経済新聞のような経済に特化した新聞もあります。
2018年現在、国内の新聞は合計117紙。内訳は、朝夕刊セット紙35紙、朝刊単独紙69紙、夕刊単独紙13紙です。
これらの新聞社は全国で発行している「全国紙」と、限られたエリアだけで発行している「地方紙」に分けられます。
全国紙は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞の5つ。これらをまとめて「五大紙」と呼ぶことがあります。
地方紙は、道府県ごとに発行するケースがほとんどです(例外として、東北地方をエリアとする河北新報、中部地方をカバーする中日新聞、九州全体で発行する西日本新聞があります)。地方紙の発行エリアは狭いものの、地元に密着しているため、地元で高いシェアを誇ります。
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新聞業界の収益源は「販売」と「広告」
新聞社の収益源は主に下記の2つです。
まず、新聞の販売で得られる収益です。日本では毎日決まった時間に新聞が届く「戸別配達制度」が確立しています。このため、定期購読の読者が多く、新聞社の経営安定を支えてくれました。最近はやりの「サブスクリプション」モデルを新聞業界は数10年前から確立していたわけです。
もうひとつは、広告から得られる収益。民放テレビは広告収入のみに依存していますので、販売と広告の2つの収入源があるのは新聞の強みです。しかし最近はインターネットに広告を奪われ続けており、2017年度の新聞業界全体の広告収入は3,551億円。この10年でほぼ半減してしまいました(出所:日本新聞協会)。
つまり、販売の面でも広告の面でも、インターネットは新聞社にとって無視できない存在になっています。そこで、新聞社の中には、スマホやタブレットで読めるデジタル版を創刊する企業も現れてきました。日経新聞や朝日新聞などが代表的です。しかし、デジタル版の購読料は宅配の新聞と大差なく、多くは購読者数が伸び悩んでいるのが実情です。
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新聞社の職種は3つに大別される
新聞社にはたくさんの職種があります。大きく分けると「編集」「販売」「広告」の3つです。
新聞社でまずイメージされるのは記者でしょう。現場の記者は日々現場を駆け回って取材し、原稿を執筆します。それを内勤の記者たちが紙面レイアウトしていきます。こうして新聞紙面を作る部門を「編集部門」と呼びます。
そして、その新聞を読者に届けるための「販売部門」があります。販売店のネットワークを活かし、読者を獲得していく戦略に取り組む部門です。
さらには、新聞社にとって重要な収益源が広告です。企業や団体に接触し、この新聞広告の獲得を目指す「広告部門」があります。
また、これら3つ以外にも「事業部門」があります。朝日新聞の夏の高校野球や、読売新聞の箱根駅伝など、大きなイベントの主催を行う部門です。新聞社は読者との接点を増やすため、スポーツや文化などのイベント事業も手がけているのです。
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日刊紙の発行部数は年々減少している
既述の通り、インターネットの影響により、新聞業界の先行きは楽観できません。
日刊紙の発行部数の推移を見てみましょう。2008年度には5,149万部ありましたが、その後は毎年ほぼ100万部単位で減り続けています(2018年度は約3,990万部)。
若い世代には「ニュースはスマホで無料で読める」という認識が広がり、若年世代の新聞購読者が激減。現在の新聞は、昔からの習慣で購読を続けているシニア層に支えられています。
毎日新聞の購読世帯の調べによると、購読者の48.9%が60代以上。次いで27.5%を50代が占めます。40代以下は、5人中1人程度という状況です。
新聞社は、戸別配達に支えられた定期購読で、安定経営を長く続けることができていました。しかし、時代の変化でこのビジネスモデルの転換が迫られているのは明白です。新聞社が今後も生き残っていくためには、若い読者層の開拓と、安定収益を確保できる新ビジネスモデルの構築がカギとなってくるでしょう。
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国民から高い信頼を得ている新聞紙
公益財団法人・新聞通信調査会の2018年の全国世論調査によると、新聞の信頼度得点(100点満点)は69.6点。NHKテレビの70.8点にはやや及ばなかったものの、民放テレビ(62.9点)、インターネット(49.4点)に大差をつけました。海外では新聞への信頼が下がっているケースが多い中、日本の新聞はまだまだ国民から高い信頼を得ているといって良いでしょう。
こうした高い社会的信頼が、新聞業界で働く魅力です。私は新聞記者でしたが、名刺1枚であらゆる世界の方々と会い、お話をうかがうことができました。これも世間の新聞に対する高い信頼があるおかげです。特に記者のように20代から社会の第一線で活躍する方々とフラットに接することができる仕事は、他にはなかなかないと思います。この若い頃の経験は私自身にとっても大きな財産になっています。
確かに新聞はインターネットに押されている現状はあります。しかし、「一次情報に当たって取材し、記事を書き、発信する」という人間の活動が世の中からなくなることはないはずです。
インターネットが発達すればするほど、「正しい情報」に対するニーズが高まっています。にもかかわらず、「正しい取材とライティングができる人材が非常に少ない」という話をネットメディアの方々からよく聞きます。
現状、信頼性の高い文章執筆ができる人材を育成できる場がほとんどない中、一生ものの取材・ライティング技術を身につけられるという点でも、新聞社で働くのは価値の高い魅力があるでしょう。
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正確な情報を求める声はなくならない
新聞社への就職を検討しているあなたは、きっと感度が高く、自分の頭で考える力が相当ある人でしょう。そんなあなたにこそ、ぜひ新聞社の門を叩いてほしいです。
昨今、多くの人がインターネットに目を奪われ、スマホで無自覚に情報を受け取ることに慣れきっています。
そんな社会状況だからこそ、正しい情報の価値はますます高まっています。新聞のビジネスモデルは今後変化を迫られる可能性が高いとはいえ、新聞が本来持つ「正確な情報提供」という役割は、いずれ再評価されていくと私は考えています。
そして新聞に限りませんが、これからの時代はどんな人にも、自分の頭で考えて言葉を発信するスキルがいっそう求められます。社会によい影響を与えられるリーダーを志して、がんばってください。あなたの挑戦を期待しています!
通信社業界については「通信社業界の現状・今後の動向について」も参考にしてください。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。