このページのまとめ
- 就職浪人とは大学卒業後も就活すること、就職留年は大学に在籍しながら就活すること
- 就職浪人は新卒のときよりも就活条件が厳しくなり、なかなかESも通らなくなる
- 就職浪人にならないためには、インターンなど早めの就職活動と入念な準備がおすすめ
大学を卒業しても就職先が決まらず、就活を続けている人のことを「就職浪人」と呼びます。5~6月時点で第一希望に内定が決まらない方は、就職浪人を考える人も多いようです。しかし、新卒とは多くの条件において異なってくるのが就職浪人です。このコラムでは、就職浪人のメリット・デメリットや内定をつかむためのポイントをご紹介します。
- 就活を続ける就職浪人は毎年どれくらいいるのか
- 就職留年との違い
- 就活で就職浪人は不利になる?
- 新卒扱いされない場合がある
- 人物評価が下がる可能性がある
- 大学や新卒限定サービスからの支援がなくなる
- 生活費を稼ぐためにバイトしなければならない場合も
- 就職浪人のメリット
- 就活への経験値が高い
- 選考でアピールできるポイントが増える
- いままで出会えなかった企業に出会える可能性がある
- 就職浪人のデメリット
- 新卒のときと違い、既卒だとなかなかESが通らない
- 精神的な余裕がなくなる
- 集団面接で新卒との違いが目立ってしまう
- 就職浪人を決める前に考えること
- 就活では通年採用が一般的になりつつある
- 公務員浪人も慎重に考える
- 就職浪人して就活をする際のポイント
- 新卒のときと同じ企業ばかり受けないようにする
- 自己分析は一人でしない
- 第一希望に繋がる業界でアルバイトを経験しておく
- 目的を持った浪人であることを説明できるようにする
- そもそも就職浪人にならないための就活のコツ
- 就活解禁を待たず、OB訪問やインターンに参加する
- 資格勉強よりも企業研究に時間を使う
- 大企業だけではなく、中小企業やベンチャー企業などにも応募する
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就活を続ける就職浪人は毎年どれくらいいるのか
文部科学省が発表した「令和3年度学校基本調査 調査の概要」によると、大学を卒業後、就職も進学もしなかった人は2021年3月は7.1%だったのに対し、2022年3月は9.6%まで増加しています。この背景としてはコロナウイルス感染症の流行により、就職活動にも行動制限が及び、就職先を決められない就活生が増えたことが理由として考えられるでしょう。
参照元
文部科学省
令和3年度学校基本調査 調査の概要
就職留年との違い
大学を卒業した後に就職活動しているのが就職浪人、留年や休学などの制度を利用して大学に籍を置いたまま就職活動をするのが就職留年です。就職浪人だと「既卒」として扱われ、就職留年だと「新卒」のままで就職活動を続けられるメリットがあります。その一方で、故意に単位を落として留年すると学費が1年分余計にかかるというデメリットがあるため、学費を払えるかどうかがポイントになるでしょう。休学であれば国立はその期間学費がかからず、私立も10~30万円未満で済むところもあります。しかし、休学理由を大学側が承認してくれるかどうかは分かりません。
ちなみに、すでに卒業しているのに留年している、と詐称することはもちろん不可能です。それで内定が出たとしても、卒業年月日が書いてある卒業証明書の提出を求める企業がほとんどなので、内定取り消しになってしまう可能性もあるでしょう。
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就活で就職浪人は不利になる?
就職浪人は就職活動する上で不利になるのでしょうか。詳しく解説します。
新卒扱いされない場合がある
新卒と違い、既卒者は応募できる企業が少なくなってしまうのが現状です。厚生労働省が平成22年に改正した「青少年雇用機会確保指針」では、新卒採用にあたって、少なくとも卒業後3年以内は応募できるように定められています。しかし、どの企業にも当てはまるわけではなく、既卒といっても海外留学していた人しか対象としていない、というケースもあります。不利になってしまう可能性があるということを念頭に置きましょう。
参照元
厚生労働省
3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!
人物評価が下がる可能性がある
新卒のときに就職が決まらなかった理由として、「真面目に就職活動しなかったのでは」「自己評価が高過ぎて、内定の出た会社で妥協できなかったのでは」「どこか問題がある人間かも」などと勘繰られるが可能性もあります。採用担当者に最初からマイナスの印象を持たれてしまうこともあり、その場合は大変不利になります。
大学や新卒限定サービスからの支援がなくなる
大学が企画する就職説明会や、面接講座、ビジネスマナー講座などのサービスは、既卒者は受けられないことがほとんど。研究室の先生に就職先を紹介してもらう機会もなくなるでしょう。
生活費を稼ぐためにバイトしなければならない場合も
実家からの支援が受けられない人は、生活費をアルバイトで稼ぎながら就職活動をしなければならない場合も。アルバイトが忙しくて肝心の企業研究や就活準備ができなかったり、急に決まる二次・最終面接の日程がアルバイトのシフトと合わなかったりする場合も出てくるでしょう。
そうなると、そもそも就職浪人をした意味が無くなってしまいます。
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就職浪人のメリット
ここまで不利な点についてお伝えしましたが、就職浪人にもメリットはあります。メリットとデメリットを比較することが大切です。
就活への経験値が高い
就職浪人をして大きな利点は、やはり就活への経験値が高いことです。参加して良かったイベントやインターンシップ、実際の面接での成功・失敗体験が、2年目以降の就活で役に立つでしょう。一朝一夕では身につかない、電話の受け答え方やバッグの持ち方、入退室の方法などのビジネスマナーも、新卒のときよりマスターできているはずです。
選考でアピールできるポイントが増える
新卒学生よりも就活期間が長くなるため、その間に新たな経験を生み出すことができ、選考でアピールできるポイントが増えます。やみくもに日々を過ごさず、就活に活かせるか意識しながら行動を起こしましょう。
いままで出会えなかった企業に出会える可能性がある
学生時代に比べ、時間の融通が利きやすくなるので、幅広い企業の説明会やセミナーに参加できるようになります。思いがけない出会いがあるかもしれません。
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就職浪人のデメリット
一方で、多くの就職浪人経験者は就職浪人をおすすめしないようです。その理由を以下に詳しく解説します。
新卒のときと違い、既卒だとなかなかESが通らない
「新卒当時にエントリーシートが通過していた企業に、既卒だと見向きもされなくなる」ということも多いです。第一志望に受からなかったため就職浪人を決めた人でも、新卒のころよりもレベルの低い企業に応募しなくてはならなくなることもあるでしょう。応募できる企業の数もぐっと限られてくるのが現状です。
精神的な余裕がなくなる
大学の後輩がどんどん就職を決め、同期が社会人として活躍している話を聞く内に、追い詰められたような気持ちになった人も多いようです。精神的な余裕のなさは、面接官にも伝わってしまうため、どうしても不利になってしまうもの。新卒のときにはたくさんいた就活仲間もほとんどいなくなり、孤独な就活になってしまうことも辛い要因の一つです。
集団面接で新卒との違いが目立ってしまう
集団面接やグループディスカッションなど、ほかの参加者すべてが新卒者という状況で「◯◯大学◯◯学部卒業の◯◯と申します」と自己紹介することになり、大変目立ってしまいます。そのような状況で平静を保ってしっかりと内容に沿った論理的な話をすることは、新卒者よりも難しくなるといえるでしょう。
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就職浪人を決める前に考えること
「第一志望の企業から内定をもらえなかった」「就活シーズンになっても自己分析や企業研究が不十分なままであった」「休学して外国を旅行していた」など、その人によって就職浪人を決める理由はさまざまです。しかし、上述したように就職浪人には厳しい状況が待っています。安易に就職浪人を決める前に、新卒の内に内定をもらう方法について考えてみましょう。
就活では通年採用が一般的になりつつある
4年生の9月ころに内定が出ていないからといって、まだ新卒での就職を諦めるのは早いといわれています。4月入社に合わせて一斉に採用活動をするイメージが強い就職活動ですが、近年年間を通して自由に採用活動を行う企業が増えてきているからです。中途退職者が出た場合の補填も、一括採用であればすぐにはできません。このようなニーズを受けて、今後ますます通年採用への流れは大きくなる傾向にあります。卒業ギリギリまで諦めずに、就職活動を続けるべきでしょう。
公務員浪人も慎重に考える
一般企業の就職浪人に比べて公務員浪人は聞き馴染みのある言葉かもしれませんが、こちらも安易な浪人は避けた方が良いといわれています。試験の点数が同じ新卒者と比較された場合、不利になってしまうからです。一人で勉強をしっかり続けられる人であっても、面接対策をするためには公務員予備校に通う必要があり、そのためのお金も余分にかかるでしょう。何年もダラダラと公務員浪人を続けてしまうと、条件はさらに不利になってしまいます。民間企業で一定年数務めた後に、社会人枠として公務員試験を受けることも可能です。「公務員試験に落ちたら公務員浪人すれば良い」と安易に考えずに、いろいろな可能性について調べておくことをおすすめします。
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就職浪人して就活をする際のポイント
どうしても就職浪人せざるを得なかった人のために、就活のポイントを解説します。
新卒のときと同じ企業ばかり受けないようにする
「新卒のときとは違う」という意識をしっかり持って、謙虚な気持ちで今まで応募しなかった企業にも応募してみましょう。上述したように、新卒のときはエントリーシートが通った企業でも、既卒だと通らなくなる場合がほとんどだからです。また、新卒の場合にもいえることですが、大本命の企業を受ける前には知名度の低い企業にも積極的に応募して、経験を積むことが成功の鍵。高倍率の企業ばかりではなく、たくさんの企業に応募することをおすすめします。
自己分析は一人でしない
そもそも新卒のときに就職がうまくいかなかった理由として、自分を客観的に分析できていない可能性が考えられます。先輩や友達など話を聞いてもらえる人にお願いして、他己分析をしてもらったり、面接の練習相手になってもらったりしましょう。その際、自己PRは新卒のときに作ったものと同じでは効果的なアピールとはいえません。たとえば「計画性をもって物事に取り組めること」としていた人なら、「計画性があるならどうして就職浪人となったのか?」と聞かれてしまうでしょう。「粘り強く、一度思い立ったことを最後までやり抜く精神力」や「逆境に負けない向上心」など、「就職浪人となった事実」と矛盾しない自己PRを書きましょう。
第一希望に繋がる業界でアルバイトを経験しておく
できるなら、第一希望の業界に関連性のあるアルバイトを経験しておくと良いでしょう。就職浪人の期間を無駄にせず、有効なアピールポイントに変えられるからです。「◯◯のアルバイトを通じて、貴社の扱う商品や業界への理解が深まりました」「就職が後れている分、少しでも社会勉強をしたいと思いました」とすれば、就職浪人の期間を無為に過ごさずに実地の勉強もしていることを分かってもらえます。ただ、面接の日時はシフトの確定後、面接日の直前に決まることが多いため、シフトの変更がしやすいバイトを選ぶと良いでしょう。
目的を持った浪人であることを説明できるようにする
面接では必ずと言って良いほど就職浪人した理由を聞かれますが、答えるときは言い訳にならないように気をつけましょう。面接官は、答え方であなたの人間性を判断するからです。「自分は◯◯とアピールしたのですが、誤解されてしまったようだ」などは、あまり良くとらえてもらえない可能性が高いでしょう。ただし、自分をよく見せようとして嘘をついても必ず後々齟齬が生じるものです。正直に理由を伝え、マイナスの印象で終わらせずに必ずプラスに転化させて自己PRに繋げましょう。
たとえば、以下のような回答であれば目的のある就職浪人であったことを分かってもらえるはずです。
例文
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そもそも就職浪人にならないための就活のコツ
多くの経験者が語るように、やはり就職浪人はどうしても新卒より不利になってしまうため、新卒の内に内定を取るポイントについてお伝えします。
就活解禁を待たず、OB訪問やインターンに参加する
次年度の採用情報が公開され、多くの就活サイトへのエントリーが解禁になるのが3月1日ですが、その日を待ってから就活を始めるのでは遅過ぎます。まずは3年生の夏ごろから自己分析・他己分析を進めておきます。多くの企業でサマーインターンシップを実施しているので、積極的に参加しましょう。OB/OG訪問も、3月以降ではそもそも多くの会社が決算期で多忙であるため歓迎されません。3年生の秋ごろから始めておくと積極性も買われ、余裕が生まれるでしょう。
資格勉強よりも企業研究に時間を使う
人気の企業であれば、難関資格を持っていれば有利では、と資格の勉強に時間を費やす人も多いようですが、あまりおすすめしません。企業は今のあなたよりもあなたの将来性を判断するのであり、そもそもの企業研究を疎かにしたまま資格の勉強をしても意味がないからです。さらに、ほとんどの企業では入社後に取得した社内業務に関連する資格であれば手当を支給してくれます。大事なのは、その企業に合った資格であることです。もちろん、企業研究をしっかりした上で資格を取るのは問題ありませんが、就活において大事なのはとにかく自己分析と企業研究であることを心掛けましょう。
大企業だけではなく、中小企業やベンチャー企業などにも応募する
大企業だけに固執するのではなく、中小企業にも視野を広げて就職活動することをおすすめします。高倍率の大企業だけに応募していても、面接を突破することは難しいからです。知名度は低くても良い中小企業はたくさんあるので、中小企業にもたくさん応募し、エントリーシートの書き方や面接の雰囲気をつかみましょう。どの企業に応募するときも力を抜かず、ニュースや主力商品などその企業について調べられることはすべて調べた上でエントリーシートを書くと説得力が増します。
本記事の執筆者
土井あづみ(どいあづみ)
新卒でレバレジーズ株式会社入社後、医療介護領域の人材をサポート。現在は新卒就活のキャリアアドバイザーと並行して新卒向けメディアライティング、人事部採用業務に従事。文系理系問わず年間約1000名の学生をサポート。
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