外銀とは?仕事内容・部門・求められるスキルから選考フローまで解説

このページのまとめ

  • 外銀は法人向けの金融サービスを提供する外資系投資銀行を指す
  • 外銀は成果主義で高収入を目指せる一方、競争が激しく長時間労働も多い点に注意が必要
  • 外銀の選考では、論理的思考力・数字力・英語力など幅広いスキルが求められる

外銀とは?仕事内容・部門・求められるスキルから選考フローまで解説のイメージ

外銀への就職を志す学生の多くは、「外銀とは何か」「どんなスキルが必要か」「選考はどう進むのか」など、さまざまな疑問や不安を抱えていることでしょう。高収入やグローバルな環境での仕事に憧れる一方で、厳しい競争や忙しさもあるため、しっかりと理解して準備することが大切です。

この記事では、外銀の仕事内容や部門別の役割、求められるスキル、選考フローなど、押さえておきたいポイントを解説します。

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目 次

外銀(外資系投資銀行)とは

外銀とは、「外資系投資銀行」の略称で、法人を対象に証券業務を行う金融機関です。株式や債券などに関連する業務、資金調達、M&Aの仲介などが主な仕事となります。証券会社は個人向けのサービスも展開していますが、投資銀行はリテール業務を行わず、法人に特化しているところが特徴です。

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商業銀行との違い

預金や保険などのサービスを扱っている商業銀行は、株式や債券といった証券は取り扱いません。また、ビジネスモデルも投資銀行とは異なります。商業銀行のビジネスモデルは「間接金融」と呼ばれる方法です。預金という形で消費者から集まった資金を、融資として企業に貸し付け、返済時に利率を上げることで儲けを出しています。

一方、投資銀行は「直接金融」と分類されるビジネスモデル。売却を希望する企業から買収を希望する企業へと仲介を行い、その手数料を利益とします。こういった違いを踏まえて、「なぜ外銀を選んだのか」という問いに応えられるように準備しておきましょう。

外銀については「外銀の仕事内容とは?求められる能力や選考フローを解説」も参考にしてください。

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外銀を構成する4つの部門と必要スキル

外資系投資銀行には4つの代表的な部門があり、それぞれ求められる能力は異なります。以下で詳しい内容を説明するので、自分の行きたい部門で求められる素養を確認しておきましょう。

1.投資銀行部門(IBD)

投資銀行部門(IBD)の主な業務は、M&Aや株式上場のアドバイザリー、資金調達の方法設計などです。日系の大企業が顧客となることが多いため、英語力はそれほど必要とされていません。重要なのは、厳しい環境に耐えうるストレス耐性や、物事を迅速にこなす処理能力です

IBDにはジュニア(入社~5、6年目程度)とシニア(上司)の階級制度が存在し、ジュニアの間は調査や分析、それにともなう資料作成などの仕事を期限までに完遂しなければなりません。そのため、精神的にも肉体的にもタフさが求められます。

2.マーケット部門

マーケット部門の業務は、株式や為替といった金融商品の営業や売買です。職種は「セールス」「トレーディング」「ストラクチャリング」の3つに分類されます。

「セールス」には、金融商品の営業が主体となる「リサーチセールス」と、顧客から有価証券の取り引き依頼を受けて行う「トレーディングセールス」があります。

「リサーチセールス」では顧客の心をつかむ対人能力、「トレーディングセールス」では確実に取り引きを完結する数字への緻密性が求められるでしょう。

一方、「トレーディング」で必要とされる能力は、変動の激しいマーケットにおいて瞬時にチャートを理解できる頭の回転の速さ、トレードに活用する高度な数的センスです。また、「ストラクチャリング」は、新たな金融商品の開発を行うのが仕事。数字へのセンスや金融工学、統計の知識が必要な職種です。

3.リサーチ部門

リサーチ部門は、各業界の金融における調査・分析をメイン業務としています。調査対象は金融商品から経済動向まで幅広く、財務分析だけに留まりません。業界に対する専門性の高さ、理解の深さが必要です。また、このようにリサーチを行う人を「アナリスト」と呼びます。

4.アセット・マネジメント部門

アセット・マネジメント部門の仕事は、顧客から預かった資産を運用し、利益を生み出すことです。中~長期に渡って運用することが多いため、突発的な変動が少なく、比較的ワークライフバランスを取りやすい部署といわれています。しかし、レベルの高い専門的な知識が求められるため、新卒で入社するのは難易度が高いでしょう。

外銀の仕事内容や実情について知りたい方は「外資系投資銀行の基本知識を解説!書類や面接選考などのコツも紹介」もあわせて参考にしてください。

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外銀で働くメリット

外銀は高収入やグローバルな環境、若くして重要な仕事に挑戦できるチャンスがあるため、多くの学生に人気です。ここでは、外銀で働く主なメリットを紹介します。

成果主義だから実力次第で高収入を狙える

外銀が学生から特に人気なのは、高い年収が期待できるからです。多くの日系企業が年功序列の給与体系を採用するのに対し、外銀は実力と成果に応じて報酬が決まる成果主義。基本給に加え、成果に連動したインセンティブが支給されるため、努力や結果がそのまま給与に反映されます

そのため、20代で年収1,000万円以上を目指すことも十分可能で、日系企業と比べても高水準の給与を得られる傾向です。高いクオリティの仕事を求められる厳しい環境ですが、それだけに実力を発揮すれば報われるやりがいも大きいのが外銀の魅力といえます。

世界を舞台に多様な文化と連携できる

外銀は世界中に拠点を持ち、グローバルな市場でビジネスを展開しています。国内のオフィスでも海外拠点のメンバーとチームを組み、国境を超えた連携を日常的に行うため、自然とグローバルな視点で仕事ができる環境です。

また、異なる文化やバックグラウンドを持つ人々と働くことで、多様な価値観や考え方を学び、成長の機会が豊富にあります。国際的なスケールでビジネスに関わりたい人にとっては、まさに理想的な環境といえるでしょう。

実力が認められれば若くても大きな仕事に挑戦できる

外銀の仕事は難易度が高いですが、その分、成長できるチャンスが多いのが大きな魅力です。実力主義の業界なので、成果をしっかり出せば社歴に関係なく重要なプロジェクトを任されることもあります。

また、外銀では成果が数字として明確に評価されるため、自分の成長を実感しやすい環境です。さらに、経営や財務の高度な専門知識は、将来外銀以外のキャリアに進む際にも大きな武器になります。スピード感を持ってスキルアップしたい人にとっては、理想的な職場といえるでしょう。

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外銀で働く際の注意点

外銀は競争が激しく、忙しくてストレスも多い環境です。働くには精神的な強さが必要です。ここでは、外銀の主な注意点をまとめました。

実力主義だからこその厳しい競争環境

外銀は成果主義のため、社員同士の競争が激しい環境です。求められる能力や成果のレベルは高く、さらに「圧倒的に成長したい」という向上心を持つ人が多いため、切磋琢磨しながら仕事を進める必要があります。

昇進や昇給を勝ちとるには、常に高いパフォーマンスを維持し、ライバルに差をつけ続けることが求められます。このような競争はモチベーションアップにつながる一方で、ストレスを感じやすい人にとっては負担になるかもしれません。

高い成果を求められるため残業も多い

外銀は限られた時間内に高い成果を出すことが強く求められるため、仕事量が多く忙しい環境です。実績を出せば労働時間は問題にならない場合もありますが、結果を競い合う優秀な人材が多い中で成果を出すには、多くの残業や長時間労働が避けられないことがほとんど。

努力が高収入につながるため、長時間働くことを苦にしない人には適していますが、ワークライフバランスを重視する人には厳しい環境といえるでしょう。

精神的なタフさがなければ続けられない厳しさ

外銀の仕事は、顧客から高いクオリティを求められ、社内でも激しい競争が常にあります。そのため、プレッシャーの多い高ストレスな環境で働き続けるには、精神的にタフであることが必要不可欠です。

プレッシャーをバネにして自分を奮い立たせられる人にとっては理想的な環境ですが、逆にプレッシャーで本来の力を発揮できなくなる人には、かなり厳しい職場といえるでしょう。

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外銀の現状

2020年に流行した新型コロナウイルスの影響により、M&Aは活性化の傾向。売り手は業績悪化や資金確保のために、また、買い手は厳しい状況下だからこそ事業強化やリスク分散のために、M&Aに積極的なようです。

大規模なM&Aは、各種メディアが発表する「リーグテーブル」という金融機関の実績ランキングでも掲載されています。外銀の面接では、「最近気になるM&Aはありますか?」といった質問をされることも多いため、質問対策としてもチェックしておきましょう。

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外銀を目指すならインターンに参加しよう

外銀を目指している方は、サマーインターンに挑戦してみましょう。難易度は高めですが、参加できれば本選考に繋がる可能性が上がります。

また、外銀のインターンに参加することで「優秀な学生」と認識され、他社の選考で有利になることも。ほかの意識の高い学生とも関われるので、就活のモチベーションアップも期待できるでしょう。

一般的にインターンの選考は、ES→Webテスト→面接1回で合否が決まります。開始時期は企業によって異なるため、選考スケジュールはよく確認しておきましょう

外資系インターンについては「日系企業とは違う?外資系インターンの内容と選考の特徴」も参考にしてください。

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外銀の6つの選考フロー

この項目で、外銀の選考フローをチェックしましょう。以下の順序で進み、内定までに3~4ヶ月間掛かるのが一般的です。

1.説明会

外銀の説明会は食事や飲み物が出され、懇親会のような形を取ります。説明会に出席している社員は選考の面接官である確率が高いため、気を抜かず臨むことが大切です。

2.エントリーシート・Webテスト・筆記試験

エントリーシートを作成するときは、部門ごとに求められる能力に合わせてアピールしましょう。そのためにも、自分が志望する部門の特徴を分析しておく必要があります。

また、Webテストや筆記試験は早めの対策がおすすめです。エントリーシートや面接と違い、テストは勉強しておけば確実に正答率が上がります。狭き門を突破するにあたり、点数を上げやすいポイントで手を抜かないよう努めましょう。

3.面接

外銀の選考は、序盤に集団面接、終盤に個人面接を複数回行うパターンが一般的です。集団面接の場合、1人に与えられる持ち時間は約10分程度。端的にアピールできるよう、志望動機や長所などは事前にまとめておきましょう。

また、個人面接では、企業だけでなく部門に対する興味と理解が必要になります。「この部門に受かりたい」という熱意や、業務に活かせる具体的なスキルを持って臨むことが選考通過のポイントです。

4.グループディスカッション

外銀の選考の序盤では、グループディスカッションが行われることがあります。ここでは、与えられたテーマや課題を論理的に解決できる力はもちろん、チームで主体的に行動できるかやほかのメンバーと協調して議論を進められるかが重要です。

外銀の仕事はチームプレーが基本のため、自分の意見をしっかり持ちつつも、チーム全体のバランスを考え議論を円滑に進める能力が求められます。事前に練習して、主体性と協調性の両方を意識して臨みましょう。

5.ジョブ

「ジョブ」は、ほとんどの外銀IBDの選考で実施されるフローです。数日掛けて実際の業務に近いM&Aや財務分析といった仕事に取り組みます。企業によって、日数にはばらつきがあるようです。

6.スーパーデイ

スーパーデイは、外銀特有の選考フローです。1日のうちに、複数回に渡って管理職クラスの社員との面接が行われます。質問内容は社員によって異なり、オーソドックスなものから瞬発力が問われる内容までさまざまです。

面接回数は企業によって異なり、多い企業では1回十数分の面接を8回行うことも。他業界には見られない、ハードな最終選考といえるでしょう。

外資系投資銀行の基本知識を解説!書類や面接選考などのコツも紹介」でも、外銀の選考フローを紹介しているため、あわせてチェックしてみてください。

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外銀で求められる5つのスキル

外銀で活躍するためには、論理的思考力や数字感覚、コミュニケーション能力、英語力、精神的なタフさなどのスキルが求められます。新卒採用の選考でも重要な評価ポイントとなるため、学生のうちから意識して準備しておくことがカギです。

論理的思考力:説得力のある提案力が求められる

外銀の仕事では、論理的思考力が重要な基礎スキルの一つです。経営層に対して、納得感のある提案をするには、筋道の立った考え方が求められます。

外銀は企業の経営戦略や財務に深く関わるビジネスの最前線。限られた情報と時間の中で、課題を抽出し、データを根拠に最適な解決策を構築しなければなりません。相手に伝える際も、誰が聞いても納得できる論理構成が求められます。

実際の新卒採用でも、グループディスカッションや「ジョブ(実務体験選考)」が導入され、仮説構築力・分析力・提案力を重視する傾向です。単なる知識よりも、「どう考えるか」が問われる場面が多いです。外銀を目指すなら、普段から物事を論理的に捉える練習を意識しましょう。

数字に強い:定量的に物事を判断する力が求められる

外銀では、「数字に強い」ことが必須スキルの一つです。数字に強いとは、暗算や数学が得意である必要はなく、数字を使って物事を正確に理解・判断する力の有無を指します。

外銀では、企業の財務諸表や市場データなど、膨大な数値情報をもとに意思決定を行うので、根拠となる数字なしに論理的な話はできません。扱う金額も大きく、信頼性のある提案には数字の裏付けが不可欠です。

「売上高○%増」「EBITDA△△億円」といった指標を正確に読み解き、それが企業にとってどのような意味を持つかを考えるのが外銀の仕事。選考でも、データを用いて論理的に説明できる力が重視されます。

数字を「読む」「活用する」習慣を学生のうちから身につけておくことが重要です。日ごろから企業のIR資料や経済ニュースに目を通し、数値をもとに考えるクセをつけておきましょう。

コミュニケーション力:相手のニーズを引き出し伝える

外銀で成果を出すためには、相手の本音を引き出し、的確に伝える高度なコミュニケーション能力が必要不可欠です。

論理的な提案ができても、相手のニーズを誤解していれば意味がありません。外銀のクライアントは企業の経営層です。求めていることを正確に把握し、的を射た提案をするためには「聞く力」「伝える力」の両方が求められます

就活でも「コミュニケーション能力が高い」とアピールするなら、単に「話せる」ことではなく、「相手の立場を理解し、最適な情報を届けられる力」であることを示しましょう。「傾聴力」「質問力」「伝え方」を意識して日々の対人経験を積み重ねることが、外銀の選考突破にもつながります。

英語力:外銀で働くうえで欠かせないビジネス英語

外銀では、読み書きだけでなく「話す・聞く」も含めた実践的な英語力が求められる場面が多くあります。外資系投資銀行の多くは、グローバルに展開しており、社内外のやり取りが英語で行われるのが一般的です。

業務メールや資料作成はもちろん、英語を母語とする同僚やクライアントとの会議・交渉では、細かいニュアンスを理解し、的確に伝える力が必要となるでしょう。一方で、部門やポジションによっては英語の使用頻度がそこまで高くないケースもあるため、英語力がすべてではありません。

ただし、ほかのスキルに加えてビジネス英語が使えることは、外銀における強力なアピール材料になります。TOEICやTOEFLのスコアだけでなく、実際に「英語で何ができるか」を軸に学んでいきましょう。

就活で英語力をアピールするためのポイントについては「就職活動で英語力をアピール!コツや活かせる業界・職種を幅広くご紹介」でも紹介しているため、あわせて参考にしてください。

精神的なタフさ:成果を出し続けるためのぶれない心

外銀で活躍し続けるには、強いプレッシャーの中でも冷静に成果を出せる「精神的なタフさ」が欠かせません。

外銀は、経営層を相手に限られた時間の中で高品質なアウトプットを出すことが求められる、シビアな職場です。一つのミスが信頼を大きく損なう可能性もあるため、高い集中力・責任感・ストレス耐性が求められます

たとえば、クライアントからの厳しい要求にも、感情的にならず冷静に対応する姿勢は評価の対象です。自分のコンディションに左右されず、常に安定したパフォーマンスを出せる人が信頼を得られるでしょう。

ハードな環境だからこそ、結果を出したときの達成感や自己成長の実感は大きなやりがいになります。「厳しい環境でもやり抜きたい」「成長を実感できる仕事がしたい」という強い意志がある人には、外銀は向いているといえるでしょう。

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外銀への就職を目指して就活中のあなたへ

外資系投資銀行は高収入やグローバルな環境、若くして重要な仕事に挑戦できる魅力的なフィールドですが、その分、競争やプレッシャーも厳しい業界です。だからこそ、しっかりと準備を重ね、自分の強みを磨くことが内定への近道となります。

外銀を目指すなら、早めのインターン参加や選考対策を通じて、業界理解とスキルアップを図ることが重要です

特にキャリアチケットでは、外銀志望者向けの面接対策やエントリーシート添削、模擬面接など、手厚いサポートを提供しています。プロのアドバイザーと一緒に準備を進めることで、自信を持って選考に挑めるはずです。

外銀への就職を目指している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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