このページのまとめ
- 商社の就活を行うなら、トレーディングと事業投資について学ぶ
- 商社の就活を行う際は総合商社と専門商社のどちらにするか決めておく
- 自己分析・企業研究・関連業界調査・Webテスト対策が商社就活には欠かせない
商社を志望する就活生の多くは、「どんな仕事があるのか」「選考で何を求められるのか」など、さまざまな悩みを抱えているでしょう。商社はトレーディングや事業投資を行う会社であり、就活生に人気の高い業界です。
この記事では、商社の仕事内容や業界の特徴、選考フローなどを解説。商社業界に向いている人の特徴や活躍する資格なども紹介します。最後まで読めば商社がどのような業界か理解でき、就活を進めるのに役立つでしょう。
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- 就活に向けて商社の概要を知っておこう
- 総合商社と専門商社に分けられる
- 商社のビジネスモデル
- 就活に向けて知っておきたい商社の職種
- 営業
- 事業企画
- 事務
- 法務
- 就活前に知っておきたい商社の分野
- 燃料・エネルギー
- 機械・電子
- 金属・鉄鋼
- 繊維
- 食品
- 医薬品・化学製品
- 就活前に知りたい最近の商社業界の動向
- 就活に向けて覚えておきたい商社の選考フロー
- 商社に就活するメリット
- 世界を舞台に仕事ができる
- 仕事の規模が大きい
- 給与が高い
- 幅広いスキルを伸ばせる
- 商社への就活が向いている人の特徴
- さまざまな立場をまとめる力を持つ人
- 情報収集に積極的で好奇心旺盛な人
- ハードな仕事に耐えられる体力と精神力がある人
- 就活で商社を志望する際に活用できる資格
- TOEIC
- 語学に関する資格
- 通関士
- 貿易実務検定
- 就活で商社を志望する際の注意点
- 出張や転勤が多い
- 希望の配属になるとは限らない
- 年功による評価が重視される風土がある
- ハードワークになりやすい
- 商社の就活で大切なこと
- 自己分析をしっかりと行う
- 企業研究を徹底的に行う
- 関連業界まで調べておく
- ビジネスに関する情報を日ごろからチェックしておく
- Webテスト・筆記試験対策をする
- 志望動機を明確にする
- インターンやOB・OG訪問に参加する
- 商社に就職したくて悩むあなたへ
就活に向けて商社の概要を知っておこう
就活を始める前に、商社がどのような企業なのか知っておきましょう。ここでは、商社の種類や代表的なビジネスモデルを紹介します。
総合商社と専門商社に分けられる
商社は「総合商社」と「専門商社」の2種類に分かれ、それぞれの役割やビジネスモデルが大きく異なります。
総合商社とは、食品やエネルギー、機械、IT、衛星事業など、複数の分野にまたがって事業を展開する商社のことです。総合商社は、特定の商材に依存せず幅広い商品やサービスを取り扱うため、経済の変動にも強く、安定した収益構造を築いています。また、さまざまな業界の知見を掛け合わせて新規ビジネスを創出できるのも大きな強みです。
近年は、単なる「トレーディング(仲介)」から脱却し、「事業投資」に軸足を移しています。
投資先の企業経営に関与し、資金やノウハウを提供して長期的な価値を創出する動きが主流です。
一方、専門商社は、ある特定の分野に特化して事業を展開する商社を指します。たとえば「自動車部品専門商社」や「繊維専門商社」など、特定業界に深く根ざしているのが特徴といえるでしょう。
売上の50%以上を一つの商材が占める場合は「専門商社」と分類されます。狭く深い取引ネットワークや業界知見が強みですが、その分特定市場の動向に業績が左右されやすく、景気変動に弱いというリスクもあります。
専門商社は今もトレーディングが事業の中心です。市場の変化に素早く対応し、売り手と買い手を結びつけることで利益を上げています。
商社については「商社とは?仕事内容や事業など就活生が知るべきポイントをわかりやすく解説」の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
商社のビジネスモデル
商社のビジネスモデルは、大きく分けて「トレーディング」「事業投資」の2種類です。就活に向けてどのような事業を行っているかを理解しておきましょう。
トレーディング
トレーディングとは、生産者と製造・販売会社の仲介を行う仕事です。生産者から材料を仕入れ、製造や販売する会社に売ることで利益を出していきます。たとえば、生産者から材料を100万円で仕入れて、販売会社に150万円で販売した場合、差額の50万円を利益として得る仕組みです。
生産者も製造会社も、「うまく取引先を見つけられない」「忙しくて取引先を探すまで手が回らない」などの状況に陥ることがあります。そこで商社が仲介を行うことで、円滑な取引をサポートしているのです。
事業投資
事業投資とは、成長途中の会社に投資を行い、企業の成長や経営拡大をサポートする事業です。商社は投資先の株式を購入し、企業が大きくなったときに株式を売却することで利益を出します。
事業投資では資金提供だけでなく、経営に関わる場合も。たとえば、出資比率が高い場合には、経営会議に参加したり、商社の社員が取締役として現場に入ることもあります。投資先の成長を促すために、経営戦略の立案や財務改善、人材育成などのサポートを行うケースもあるのです。
商社は投資家としての立場を超え、企業の成長を支える役割も担っています。
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就活に向けて知っておきたい商社の職種
商社には営業や事務、事業企画など複数の職種があります。自分がどのような業務をしたいのか考えるための参考にしてください。
営業
商社という言葉からイメージされる仕事の多くは、営業の役割です。メーカーと交渉して商品を卸してもらい、小売店などに販売します。企業と企業をつなげる役割を果たし、常にお客さまとコミュニケーションをとることが仕事です。自社で商品開発をしている商社では、自社商品を売り込む業務も担当します。
営業職についてもっと知りたい方は、「営業職の志望動機の書き方は?わかりやすい構成やアピールのコツを解説」もあわせてご覧ください。
事業企画
事業の立ち上げや運営のため、企画立案などを行います。自社の強みを活かすにはどの市場に打って出るべきか、どうすれば自社に利益が出るのかを考える必要があり、高い視座が求められるポジションです。同時に、緻密なリサーチやマーケティング知識も必要となります。
事務
商社における事務は大きく3つにわかれます。まず、海外から商品を輸入、輸出する際の手続きに対応する貿易事務です。貿易書類を作成するための知識や、ビジネスレベルの英語力が必要とされます。
営業事務は、営業担当者の予定のチェックや書類作成のサポート、営業で使う資料の作成などを行う仕事です。一般事務は部門を営業に限定せず、社内の事務業務を担います。
法務
法人の契約や取引に関して、契約書の作成や審査、契約事項の確認をします。また、必要に応じて訴訟対応をするのも重要な業務です。コンプライアンスや知的財産権への対応もあり、ビジネス実務法務検定や司法書士などの有資格者が就くことが多い職種です。
このほか、人事や経理、広報など、一般的に存在する部署があり、それぞれ役割を果たしています。
就活をスムーズに進めるためには、業界や職種についての知識を身につけておくことが大切です。「業界・企業・職種の研究はなぜ重要?就活を効率的に進めるための基礎知識」の記事を参考に、志望する業界についての知識を深めましょう。
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就活前に知っておきたい商社の分野
一口に商社と言っても、扱う商材や業界によって仕事内容や求められるスキルは異なります。就職活動を進めるうえで、「商社」と名のつく企業を一括りに捉えるのではなく、自分の興味関心や強みがどの分野で活かせるのかを見極めることが重要です。
ここでは、商社が関わる主要な分野について紹介し、それぞれの業務内容や特性を解説します。企業研究や自己分析を深める際の参考にしてみてください。
燃料・エネルギー
燃料・エネルギー分野の商社は、暮らしや産業を支えるエネルギーの安定供給を担う重要な存在です。石油や天然ガスといった資源の輸入・販売だけでなく、サプライチェーン全体に関わるケースも多く見られます。国内外のエネルギー需要に応じて、事業展開のスケールが大きい点も特徴です。
近年では、気候変動対策や環境規制の強化を背景に、再生可能エネルギーへの転換が加速しています。太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギー事業に取り組む商社も増え、持続可能な社会を見据えた事業戦略が求められる中、環境と経済の両立を目指す取り組みが今後ますます注目される分野です。
機械・電子
機械・電子分野を取り扱う商社は、工作機械やロボット、精密測定機器なものづくりの現場に欠かせない装置を取り扱っています、メーカーとエンドユーザーの間に立って、最適な製品やソリューションを提供するのが特徴です。
導入から保守、アフターサポートまで一貫して対応できる体制を持つ商社も多く、単なる「販売窓口」ではない高度な提案力が求められる分野といえるでしょう。
電子機器の進化が速い現代においては、技術トレンドや顧客ニーズをいち早く把握し、的確に対応する柔軟性も求められます。機械と電子、両面に強みを持つことで、業界全体の技術革新を支える存在といえるでしょう。
金属・鉄鋼
金属・鉄鋼分野を扱う商社は、社会基盤や製造業を支える基礎的な素材の供給を担う存在です。鉄やアルミニウム、銅といった金属素材は、幅広い分野で欠かせない材料であり、その安定供給に商社が重要な役割を果たしています。
国内外のメーカーや加工業者と連携し、適切なタイミングで必要な素材を届けることが求められ、国際的な取引も盛んに行われているのが特徴です。
さらに近年では、素材を単に流通させるだけでなく、顧客の仕様に合わせた加工や、最終製品に近い形での納品といった付加価値のあるサービスが注目されています。原料資源の調達から物流、加工、販売までを一括して管理する体制を構築することで、より効率的で持続可能なサプライチェーンの実現を目指す動きも進んでいるのです。
繊維
繊維分野を扱う商社は、ファッションから産業資材まで、さまざまな分野に素材を供給する多角的な役割を担っています。綿や麻といった天然繊維から、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維まで、多彩な素材を扱うのが特徴です。アパレル業界を中心に、住居関連や医療用資材など、多方面に展開しています。
繊維商社の業務は、単なる素材の仕入れ・販売にとどまりません。顧客の要望に合わせた生地の開発やデザイン提案、さらに製造委託(OEM)など、製品づくりの上流から下流まで関わるケースも多く見られます。
また、アパレルブランドとのコラボレーションや展示会の開催、さらには海外工場との交渉・品質管理といったグローバルな業務にも従事するため、語学力や国際感覚が強く求められる分野です。市場のトレンドをいち早く読みとる力と、サプライチェーンを最適化する実行力がカギとなるでしょう。
食品
食品分野を取り扱う商社は、私たちの身近な食生活を支える存在として、原料の調達から商品供給まで多岐にわたる業務を展開しています。輸入食品の取り扱いや加工食品の原料供給、さらには外食チェーンや小売店への流通までを担い、食品業界全体をつなぐハブのような役割を果たしているのが特徴です。
この分野の商社では、取り扱う品目ごとに専門性が高く、調味料、冷凍食品、乳製品、酒類などジャンルごとに特化して事業を展開しているケースも少なくありません。さらに、単なる仕入れ・販売だけではなく、商品開発やパッケージデザインの提案、販売戦略の立案などにも積極的に関わることが増えています。
最近では、商社が独自ブランドを立ち上げ、製造からマーケティング、販売まで一貫して手掛ける動きも活発化しており、ビジネスセンスとともに市場のトレンドを読む力が問われるでしょう。健康志向やサステナブルな食品ニーズなど、変化する消費者の嗜好に柔軟に応える姿勢が求められる分野といえます。
医薬品・化学製品
医薬品や化学製品を専門に扱う商社は、医療と産業界において欠かせない存在です。医薬品分野では、病院やクリニックなどの医療機関に向けた医療用医薬品の供給が主な業務となり、疾患に対する治療薬や予防薬などが取り扱われています。
また、ドラッグストアで購入できる一般用医薬品の流通も行い、生活支援を目的とした製品の提供を通じて、消費者にも広く貢献している分野です。
化学製品分野では、化学メーカーから供給されるさまざまな素材が取り扱われます。プラスチックや接着剤、洗浄剤などの原材料を、家電や自動車、日用品メーカーに供給する役割を果たしているのが特徴です。
これらの製品には特有の性質や法的規制があり、商社はその知識や専門性を駆使して、最適な提案を行うことが求められます。また、素材の選定や新しい用途の開発においては、技術的な理解も必要となり、高度な提案力と市場動向を読む力が求められるでしょう。
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就活前に知りたい最近の商社業界の動向
最近の商社業界では、取り扱う商材が従来の資源分野から非資源分野へとシフトしている傾向が見られます。
資源分野とは、石油や天然ガス、鉄鉱石など、エネルギー資源や金属資源を取り扱う分野です。一方、非資源分野は食料品や繊維、情報通信事業など、幅広い分野が含まれます。
近年は資源価格の変動が大きく、企業の収益が市況に強く左右されるリスクを回避するために、安定した収益を見込める非資源分野を強化する動きがあるようです。
このような動きにより、商社業界は今後ますます多様化し、企業ごとに強みを持つ分野が異なるようになると考えられます。そのため、企業ごとの特徴を把握し、希望する商社の方向性を理解することが重要です。
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就活に向けて覚えておきたい商社の選考フロー
総合商社の内定は6月中に出ることが多いため、早め早めの行動が肝心です。OB訪問は余裕をもって済ませ、志望企業の優先順位づけを行いましょう。
選考時期が同じ総合商社同士では面接日程が重なることが予想されるため、面接予定がかぶる場合、どちらの選考を優先するかあらかじめ考えておくことも大切です。
商社の選考はほかの企業と同じように、エントリー→筆記試験→面接が大まかな流れ。面接の回数は通常3~5回で、グループディスカッションを行う企業もあるようです。
また、エントリーシートや筆記試験とは別に、作文試験が実施される場合もあります。筆記試験ではSPIやGABといった適性検査のほか、企業独自の筆記試験が課されるので、事前に対策しておきましょう。
面接では、「なぜ商社の中でもうちを志望するのか?」「総合商社の魅了は何か?」といった志望動機を問う質問や、「どんな業界に投資すべきか?」というビジネス目線の質問が頻出します。OB訪問や参考資料で得た情報を十分に活用し、予想される質問への回答を練っておきましょう。
専門商社の場合も、総合商社と似た流れで選考が進みますが、専門性に重点が置かれる点が異なります。専門商社の内定は、総合商社と同じく早期に出ることが多いため、こちらも早めの準備が必要。専門商社の選考では、エントリー→筆記試験→面接が基本的な流れです。
面接の回数は通常2~4回で、企業によってはグループディスカッションやプレゼンテーションを行う場合もあります。専門商社では、取り扱う商品やサービスに関する知識を問われることが多いため、事前に十分な情報収集と勉強が必要です。
これから面接を受ける方は、「就活面接で受かる受け答えとは?好印象を残すコツや練習法を紹介」の記事を参考にしてください。
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商社に就活するメリット
就職先が商社だとどのようなメリットがあるのでしょうか。総合商社と専門商社の両方に共通する魅力や、商社業界に特有のポイントを詳しくまとめました。自分にとって魅力的なポイントかどうか、確認してみてください。
世界を舞台に仕事ができる
商社には、世界を舞台に働くチャンスが豊富にあります。そのため、国際的に活躍したい人にとって、大きな魅力のある業界です。
商社は「モノ・サービス・事業の流通や投資」を世界中の国と国の間で行っています。特に総合商社は、エネルギーや食料、金属資源、インフラ、ITなどあらゆる分野で事業を展開しており、海外の企業や政府と連携してプロジェクトを進めるケースが数多くあるのです。
実際に、大手総合商社は海外に100以上の拠点を持ち、数百〜数千人規模の駐在員が現地で事業を動かしています。そのため、海外出張や駐在のチャンスも多く、語学力や異文化理解力を活かして働ける環境といえるでしょう。
世界中の人と取引をしたい、語学力を活かしたい、海外で働きたいなどの想いを持つ就活生にとって、商社は理想的な選択肢です。
仕事の規模が大きい
商社では、国を巻き込んだ巨大プロジェクトに携わることができ、圧倒的なスケールで仕事ができます。
海外の資源開発や電力インフラ整備、物流ネットワークの構築など、国や政府機関と連携して進めるビジネスも多く、大きな責任と影響力を持つ仕事です。1つのプロジェクトに数百億円〜1,000億円超の投資がされることもあります。
その中で若手社員が交渉や現地対応を任される場面もあり、早い段階から「ビジネスを動かす実感」を得られるのが商社ならではの経験です。また、「自分の仕事が社会にどんな影響を与えるか」がリアルに感じられるのは、商社で働く醍醐味の一つといえるでしょう。
インフラ整備によって現地の生活が改善されたり、エネルギー開発によって国の産業が支えられたりと、自分の仕事がダイレクトに社会貢献に結びつく実感があります。
給与が高い
五大商社では平均年収が1200万円を超えており、他業界に比べて大きな収入が見込めます。そこに魅力を感じて就職する方も多いでしょう。
専門商社でも高給与を提供する企業が多くあります。高度な技術知識と取引スキルを持つ社員が高く評価され、高い報酬を得ることが可能です。
より高い給与を目指したいあなたは、「高給取りを目指すにはどうする?高収入を目指しやすい職種や業界を紹介!」の記事も読んでみてください。
幅広いスキルを伸ばせる
商社の仕事は多岐にわたり、幅広いスキルを若いうちから磨けるのが大きなメリットです。商社の営業職は単なる商談だけでなく、価格交渉・品質管理・在庫管理・顧客対応など多様な業務を任されます。
さらに、プロジェクト単位で事業運営にも携わることが多く、営業から財務、法務、会計まで複数の分野にまたがる仕事を経験できるでしょう。これにより、ビジネス全体を俯瞰して進める力や、複合的なスキルが自然と身につくのです。
多様なスキルを若いうちから習得し、自信を持って成長したい人には商社の仕事が向いています。幅広い業務に関わることで、視野が広がり、将来的にマルチに活躍できるビジネスパーソンへと成長できるでしょう。
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商社への就活が向いている人の特徴
商社で働くことを目指しているけれど、自分が向いているかどうか不安に思っている方も多いでしょう。ここでは、特に向いている人の特徴について紹介します。
さまざまな立場をまとめる力を持つ人
商社では、コミュニケーションスキルが重要です。総合商社や専門商社を問わず、一つのプロジェクトを進める上で、多くの関係者と連携しなければなりません。そのため、異なる立場やバックグラウンドを持つ人々をまとめ上げる能力が求められます。
たとえば、トレーディング業務では仕入れ先や販売先との信頼関係を構築することが必須です。事業投資においては、多様なバックグラウンドをもつ関係者と協力し、プロジェクトを進める場面が多くあります。
専門商社の場合、特定の産業に特化しているため、特定分野の知識や専門性を持ち、それを活かして取引先と深い信頼関係を築くことが重要です。たとえば、化学品を扱う専門商社では、化学に関する知識を活かして取引先のニーズに的確に応えることが求められます。
また、チームで協力して業務を進めるため、社内での情報共有や意見交換が欠かせません。良好な人間関係を築くことで、業務がスムーズに進行し、成果を上げることができるでしょう。
外国の政府関係者や国営企業との交渉が必要となることもあり、国際的なコミュニケーションスキルも必要です。
このように、商社の仕事は社内外の人と円滑にコミュニケーションを取る能力が求められます。
情報収集に積極的で好奇心旺盛な人
商社の仕事では、トレーディングでも事業投資でも情報収集が必要です。トレーディングでは、業界の動向を把握し、マーケットの動きを予測することが求められます。
事業投資では、政治的な動向や最新のトレンド、長期的な市場の傾向など、さまざまな角度からプロジェクトのリスクや収益性の分析が重要です。情報を集め、投資を実行するかどうかの判断を行う必要があります。
好奇心旺盛な人は、常に最新の情報をキャッチし、分析する能力が高く、ビジネスチャンスを敏感に嗅ぎとることが得意です。こうした特性は商社の仕事に向いていると言えるでしょう。
面接の際も、この好奇心旺盛な特性を強調してアピールすると効果的です。詳しくは「自己PRで好奇心旺盛さをアピール!エピソードを伝えるコツを例文付き解説」の記事を参考にしてみてください。
ハードな仕事に耐えられる体力と精神力がある人
商社では、体力的にも精神的にもタフであることが求められます。忙しくても耐えられる、頑張れる方に向いているでしょう。
たとえば、入札に参加する場合、締切までに書類をまとめるために残業が必要になることがあります。また、営業部門では顧客との連日の接待や長時間の出張が頻繁に発生し、体力が必要です。
近年は働き方改革が進み、ハードな働き方は減少しつつあります。しかし、それでも体力や精神力に自信がある人が向いている業界です。
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就活で商社を志望する際に活用できる資格
商社の選考で評価を高めるために、資格を取得してアピールにつなげましょう。ここでは、商社の就活でおすすめの資格を紹介するので参考にしてください。
TOEIC
商社は海外企業との取引を行う場合も多いので、英語力をアピールできるTOEICの取得がおすすめです。TOEICはビジネスで使う英語力をはかれる試験のため、就活でも高い評価を受けられます。
たとえば、海外の拠点で営業活動を行う場合、英語で交渉や取引ができると仕事を任されやすいでしょう。企業によっては駐在することもあり、英語ができれば仕事や生活に役立ちます。
TOEICをアピールする場合、点数は700点以上が目安です。点数が低い場合、履歴書に書いても評価されない可能性があるので気をつけましょう。就活で求められるTOEICのレベルについては、「TOEICは就職活動で評価される?アピールの目安点数や勉強法を解説」も参考にしてください。
語学に関する資格
商社は英語圏以外の企業とも取引を行うため、英語以外の語学力もアピールにつながります。自分が活躍したい地域の語学を覚えておくとよいでしょう。
たとえば、中国企業との取引が多い企業の場合、中国語を話せると仕事を進めやすくなります。ほかにも、フランス語やドイツ語、スペイン語なども取引で使う場面が出てくるでしょう。
語学力を示すためには、資格を取得して客観的に実力を示すのが大切です。語学に関する資格を取得し、コミュニケーションがとれることをアピールしてみましょう。
通関士
通関士とは、貿易を行う際の知識を持っていることを示す資格です。国家資格であり、所持していると海外企業との取引に役立つでしょう。
海外企業との取引を行う場合、「通関書類」の作成が必要となります。この通関書類の作成や審査は通関士の資格がないと実施できません。貿易に関する知識を証明することはもちろん、実務にもプラスになるのでおすすめです。
貿易実務検定
貿易実務検定は、貿易についての知識を証明する検定です。国家資格ではなく、あくまでも貿易についての知識を持っていることを示す資格となります。
貿易実務検定を取得するメリットは、通関士よりも低い難易度で貿易についての知識をアピールできる点です。難易度が高いわけではないので、取得を目指しやすいでしょう。
ただし、通関士と比べて貿易実務検定の試験は英語力が求められやすくなります。英語をしっかりと学んでから、受検するのがおすすめです。
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就活で商社を志望する際の注意点
商社で働くと、メリットだけではなくデメリットもあります。両面を理解してから検討するようにしましょう。
出張や転勤が多い
商社は日本全国、そして世界中の企業を相手に仕事をするため、部署や職種にもよりますが、比較的出張や転勤が多い業界です。近場ではなく海外に行く機会も多いため、それを負担に感じる方にとってはデメリットになるでしょう。
特に総合商社では、広範囲の地域で事業を展開しているため、頻繁な海外出張や長期の海外駐在が求められる可能性があります。
専門商社は特定の分野に特化しているため、その分野での海外取引が多くなるでしょう。たとえば、食品専門の商社では、海外の食品メーカーとの取引や現地の品質管理を行うため、配属された部署によっては定期的な海外出張が必要です。
希望の配属になるとは限らない
大手企業であればあるほど事業の種類は多く、自分が興味のある分野に配属されないリスクも高まります。たとえば、総合商社ではエネルギー部門や食品部門、金融部門などさまざまな部署がありますが、希望する部署に配属されるとは限りません。
一方、専門商社では事業内容が特化されているため、比較的希望する分野に近い業務に携わる可能性が高いといえます。ただし、専門商社でも複数の事業分野が存在するため、希望の細部まで一致するとは限りません。
配属先が希望と異なると、モチベーションの低下につながります。配属先の希望が通りそうかどうかは、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。
専門商社も視野に入れている方は「専門商社とは?総合商社との違いや種類・分野・職種なども紹介」の記事もご覧ください。
年功による評価が重視される風土がある
多くの商社では年功序列の風土が色濃く、若手の積極登用や抜擢人事は少ない傾向にあります。若いうちから裁量のある仕事を担当したい場合は、戸惑うかもしれません。
総合商社では、まずは基礎的な業務を数年こなし、実力をつけてから大きな仕事を任されるというのが一般的な流れとなっています。入社直後から大きなプロジェクトを任されることは少なく、地道な下積みが必要です。
専門商社でも年功序列の傾向は見られますが、総合商社に比べて若手が早くから実力を発揮できる機会が多い場合もあります。専門知識を活かした仕事が求められるため、早い段階で専門性を身に付けて業務に携わることができるでしょう。
ハードワークになりやすい
商社で活躍するためには顧客や上司からの期待に応え、スピード感を持って仕事を進める必要があるため、ハードワークになりやすい傾向にあります。パフォーマンスを常に高いレベルで維持し、成果を出し続けることが、商社で成功するための重要なポイントです。
商社の仕事は、国内外の大手企業との取引や営業活動を行うことが多いため、その分規模や責任が大きくなります。特に、海外とのやり取りや大規模なプロジェクトに関わる場面では、求められる仕事のクオリティが高く、常に高いプロ意識を持って取り組む必要があるでしょう。
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商社の就活で大切なこと
商社には意欲が高く優秀な学生が集まるため、ほかの学生と差別化できるようなアピールが必要です。ここでは、商社に採用されるために必要な対策について解説します。
自己分析をしっかりと行う
商社を志望するなら、自己分析をしっかり行うことが、選考突破の第一歩です。自己分析を通じて自分の強みや価値観を理解することで、ほかの就活生よりも説得力のある自己PRや志望動機が作れるようになります。自己分析が不足していると、志望動機が曖昧になりがちで、面接での説得力が弱くなってしまうでしょう。
自己分析を丁寧に行うことで、エントリーシートや履歴書の「自己PR」「志望動機」「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」などを具体的かつ魅力的に書けるようになります。
商社をはじめどの業界でも、自己分析は就活成功のポイント。自分を深く理解し、強みと志望理由を明確にすることで、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせるアピールができます。まずは自己分析から丁寧に進めていきましょう。
企業研究を徹底的に行う
企業研究を徹底的に行うことは、就活において重要です。
商社の場合、基本的なビジネスモデルはトレーディングと事業投資が中心になります。しかし、企業ごとに得意な分野や特色があります。ある商社は繊維に強みを持っており、別の商社はエネルギー分野に特化しているなど、細かな違いがあるのです。
企業研究を行い、企業ごとの特徴を把握することで、志望動機や自己PRに説得力をもたせられます。
企業研究のやり方については、「企業研究とは?目的や手順を解説!ポイントを押さえて就職成功を目指そう!」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
関連業界まで調べておく
商社への理解を深めるには、関連する業界や企業まで視野を広げて調べることが大切です。総合商社は幅広い業界と関わりがあるため、関連業界を理解することで志望企業の「立ち位置」や「ビジネスモデル」がより明確になります。
商社が取り扱う商材は多岐にわたるため、商社単体で考えるのではなく、「どの業界と関係しているか」「どんなパートナー企業と協業しているか」といった情報を把握しておきましょう。
調べる際は、志望商社が力を入れている事業分野や、自分が興味のある領域に関連した業界に絞って深掘りすると効率的です。業界地図や企業レポートを活用すれば、業界間のつながりが視覚的に把握できます。
ビジネスに関する情報を日ごろからチェックしておく
商社の選考では国際情勢や経済に対する理解が問われるため、ビジネスに関する情報収集が欠かせません。商社のビジネスがグローバルかつ多分野にわたっており、世界の動きが直接業績や戦略に影響を与えるからです。
たとえば、エネルギー価格の変動や為替の動き、政治的リスクなどが、商社の投資判断や事業方針に直結します。このような背景から、選考では「最近気になったニュースは?」「そのニュースをどう捉えたか?」といった質問がよく出されるのです。
そのため、日ごろからニュースや専門誌をチェックし、ビジネスや社会情勢について学んでおきましょう。
また、ただニュースを読むだけでは差がつきません。重要なのは、自分の視点や意見を持てるかどうか。たとえば、ある国の資源規制のニュースを見たとき、「この変化が日本のエネルギー輸入に与える影響は何か」「商社の事業にどんなチャンスやリスクが生まれるか」などを自分なりに考えておくことが大切です。
Webテスト・筆記試験対策をする
どれだけ志望度が高くても、テストで基準点に届かなければ面接には進めません。まずは筆記試験・Webテストの対策が必須です。
特に7大商社は就活生からの人気が高く応募者数も多いため、選考の最初の関門として、筆記テストやWebテストが実施されます。多くの学生がふるいにかけられるため、テストの得点がボーダーを超えていないと、企業研究や自己PRの完成度に関係なく選考が終了してしまうのです。
テストには、SPIを使う企業もあれば、玉手箱・TG-WEBなど独自の形式を採用する場合もあります。そのため、「自分が志望する企業はどの形式のテストを使っているか?」を事前に確認することが重要です。
SPIや玉手箱は「慣れ」がスコアに直結します。まずは公式問題集や無料の練習アプリで形式に慣れ、その後時間制限ありの模擬問題に取り組む流れがおすすめです。志望度や準備の熱意を活かすためにも、早い段階から企業ごとのテスト形式を調べ、十分な対策を行いましょう。
志望動機を明確にする
「なぜ商社が良いのか」を明確にし、志望動機を答えられるようにしましょう。商社でしかできないことを考えて、志望動機にすることが大切です。
たとえば、「海外で働きたい」という理由で商社を目指す学生は多くいます。しかし、商社以外でも海外で働ける企業はあるため、「なぜ商社が良いのか」の回答としては説得力が足りないでしょう。
どの業界や企業にもあてはまる志望動機では、「自社でなくても良いのでは」と思われてしまいます。「なぜ商社なのか」「なぜほかの商社ではなくこの企業なのか」は自分なりに整理し、答えられるように準備しておきましょう。
インターンやOB・OG訪問に参加する
商社についての理解を深めるため、インターンシップやOB・OG訪問に参加しておきましょう。企業説明会では分からない、企業の雰囲気や業務内容を体感できます。
キャリアチケットの「2026年入社予定学生のサマーインターン参加意識に関する調査」によると、約9割の就活生がインターンシップに参加予定と回答しました。「会社や現場の雰囲気を知りたい」と考えている学生も多くいます。
また、OB・OG訪問に参加すれば、実際に働く方にリアルな情報を聞けるのでおすすめです。OB・OG訪問で知った内容を履歴書やエントリーシートに書けば、志望度の高さもアピールできるでしょう。
同じ商社でも企業ごとに社風や雰囲気が異なるので、入社後のミスマッチを防ぐためにもインターンやOB訪問は大切です。企業理解を深めるために、積極的に参加してみてください。インターンシップがどのようなものかについては、「インターンシップとは?行う意味や期間別の特徴をご紹介」の記事で詳しく解説しています。
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商社は多くの学生にとって憧れの職業で、就職を希望する人も多数います。だからこそ、「自分は内定が獲れるだろうか?」「十分な準備はできているのか?」など、不安を抱くことも多いでしょう。
そんなときは、ぜひキャリアチケットをご利用ください。キャリアチケットでは、経験豊富なプロのアドバイザーが一人ひとりに寄り添い、就活についての悩みを丁寧に伺います。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。