内定取り消しは違法?判断基準や就活で不当な扱いを受けた際の対処法を解説

このページのまとめ

  • 内定取り消しは正当な理由のない限り違法であり、滅多に起こることではない
  • 内定取り消しが正当な理由とされるのは、「単位不足による卒業不可」「経歴詐称」など
  • 不当な内定取り消しに遭ったら、証拠を揃えて専門機関に相談しよう

「内定が取り消されたらどうしよう…」「内定取り消しされたらどうしたら良い?」と不安を感じる就活生は少なくありません。就職先が決まってうれしい反面、予期せぬトラブルを想像してしまうと手放しで喜べないものです。
この記事では、内定取り消しが違法となる基準や認められる正当な理由を解説します。また、万が一の事態に直面した際の対処法も紹介。内定取り消しへの不安を解消したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

目 次

内定取り消しとは?内定の概要とともに解説

就活において、内定を取り消されるケースは多くありません。なぜなら、企業の都合だけで一方的に内定を取り消す行為は、法律上固く制限されているためです。

企業と学生の間で「採用内定」が成立した段階で、どのような権利や義務が発生するのかを正しく把握することが重要です。ここでは、内定の法的な意味や取り消し行為の位置づけについて解説していきます。万が一の際にも適切な対応ができるよう、まずは内定に関する法律上の基本的な考え方を理解しておきましょう。

内定とは正式な採用通知を受け取った状態のこと

内定とは、企業から学生に対して「採用する」という内定通知書などの正式な通知が届き、学生側も「入社承諾書」などを提出して意思表示を行った状態を指します。

採用活動における一つの到達点であり、単なる「合格のお知らせ」にとどまらず、法律上においても「労働契約が成立した」とみなされる重要な意味をもつ段階となります。

内定とは?内々定との違いや新卒の場合の獲得から入社までの流れを解説」の記事でも内定の意味を解説してるので、あわせてチェックにしてみてください。

企業が内定を出した時点で労働契約は成立している

企業が内定通知を出した時点で、法律的には「始期付解約権留保付労働契約」という労働契約が成立します。これは、「実際に働き始める時期(始期)が決まっており、やむを得ない事情がある場合のみ解雇する権利(解約権)が企業に留保された契約」という意味です。

つまり、内定通知を受け取った段階で、あなたはすでにその企業で将来働く労働者としての地位を得ていることになります。

内定取り消しは「解雇」と同等に扱われる

内定取り消しが法律上「解雇」と同等の扱いを受けるのは、内定を出した時点ですでに労働契約が成立しているとみなされるためです。判例上「始期付・解雇権保留付労働契約」と呼ばれます。

そのため、内定が取り消される場合は「労働契約法第16条」における「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」というルールが適用されます。

一度成立した契約を会社側の都合で一方的に解除することは労働法によって非常に厳しく制限されているため、客観的・正当な理由がない限り、容易に内定が取り消される心配はありません。

参照元
e-Gov法令検索
労働契約法

「内々定」の取り消しは原則として違法ではない

法律上、「内々定」の取り消しは、「内定」と比べると企業側の自由度が高いとされています。一般的に、内々定は労働契約が成立する前の「内定の予約」のような段階であり、まだ雇用関係が成立していないためです。内定に比べると法的な保護は限定的なので、内々定を得たあとも油断せず、気を引き締めて残りの大学生活を送りましょう。

なお、内々定であっても自由に取り消せるわけではありません。企業が採用を確約するような言動をとり、学生側がそれを信じて他社の選考を辞退するなど準備を進めていた場合などは、取り消しの理由に妥当性がなければ違法と判断され、期待権の侵害として損害賠償の対象となる可能性があります。

就活では、内定が出たあとも「承諾すべき?」「辞退を伝えにくい」などと悩む人もいるでしょう。就活でよくある悩みと解消法については、「就活でよくある悩み20選!不安を溜め込まないための心構えや解消法を紹介」の記事をご参照ください。

まずはあなたのモヤモヤを相談してみましょう

キャリアチケット就職エージェント」は、量より質の就活を叶える無料の就活支援サービスです。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの希望や適性に寄り添い、自己分析から企業紹介、面接対策まで一貫して伴走します。

就活の進め方に迷う時期から内定獲得まで、就活に関わるどんな悩みも丁寧に寄り添い、あなたの就活をバックアップします。

こんなお悩みはありませんか?

  • 何から手をつければいいか分からない
  • 選考で落とされる理由が分からない
  • 自分にピンとくる会社が見つからない

就活は、正解が見えない中で決断の連続です。「何から始めればいいかわからない」「本当にこの会社でいいのか」「自分の強みは何なのか」と、一人で抱え込んでしまうのは無理もありません。

キャリアチケット就職エージェントは、そんなあなたの試行錯誤に寄り添い、最後まで伴走します。孤独になりがちな就活を、プロと一緒に「納得感のある就活」へ変えてみませんか?

かんたん1分で登録

【無料】就活の不安を相談してみる

 

正当な理由のない内定取り消しは違法

企業側の勝手な都合による内定取り消しは法律で厳しく制限されており、客観的に正当な理由がなければ認められないため、過度に恐れる必要はありません。

まずは法律上の位置付けを正しく理解し、自分の立場を守るための知識を身につけましょう。焦らず適切な対応ができれば、泣き寝入りするのを避けられます。

以下では、内定取り消しで企業が負うリスクや、内定取り消しの妥当性を判断する基準を解説するのでチェックしてみてください。

違法な内定取り消しは企業側もリスクを負う

万が一、企業が違法な内定取り消しを行った場合、その企業は相当のペナルティやリスクを負うことになります。主なリスクは以下の3点です。

・慰謝料や就活再開費用、不支給給与などの損害賠償を請求される
・SNSなどでの拡散による不買運動や採用不振、業績悪化につながる
・ハローワークによる指導や、悪質な場合の社名公表が行われる

このように違法な内定取り消しは企業にとって重大なリスクとなるため、多くの企業はこれを避けます。しかし、なかには法的リスクや倫理を顧みず不当な内定取り消しを行うような「ブラック企業」が存在するのも事実です。

トラブルを回避し後悔のない就活を進めるためにも、こうした危険な企業を見極めるコツをあらかじめ押さえておきましょう。

ブラック企業の見分け方について解説している「ブラック企業の見分け方は?危険な会社とホワイト企業を見極めるコツを紹介」の記事も、あわせてご覧ください。

内定取り消しには基準となるルールがある

内定取り消しが違法かどうかは、「解雇権濫用法理」と呼ばれる基準に基づいて判断されます。具体的には、「取り消しの理由に客観的な合理性があるか」「その理由に見合った重大さがあり社会通念上相当といえるか」という、2つの観点から判断されます。

内定取り消しには基準となるルールがあるのイメージ

このどちらか一方でも欠けていると判断されれば、内定取り消しは違法となる可能性が高くなるでしょう。理由自体に一定の合理性があっても、「その程度で内定を取り消すのは重過ぎる」と判断されれば、相当性を欠き、違法となるケースもあります。

次の項目で紹介する「正当な理由」と「違法となる事例」は、いずれもこの2つの基準に沿って整理したものです。自分のケースがどちらに近いかを判断する際の軸として活用してください。

新卒採用における内定取り消しは滅多にない

新卒採用における内定取り消しが発生する確率は、極めて低いといえます。

厚生労働省の「令和7年3月新卒者内定取消しの状況等を公表します」によると、2025年3月に卒業した人のうち、内定取り消しになった人は全国でわずか34人でした。その内、大学生等(大学生や短期大学生、専修学校生など)に限定すると15人にとどまっています。

卒業年月 内定取り消しの合計人数 大学生等の人数
2023年3月 42人 18人
2024年3月 47人 31人
2025年3月 34人 15人

参照:厚生労働省「令和7年3月新卒者内定取消しの状況等を公表します 新規学校卒業者の採用内定取消し件数の推移(p.6)

2023~2025年の3年間をみると、年間の内定取り消しの人数は全体で30~50人程度で推移しています。毎年、何十万人もの学生が就活を行うなかで、内定取り消しは極めて限定的なケースといえるでしょう。統計的にみれば、内定後の予期せぬ取り消しを過度に恐れる必要はありません。

参照元
厚生労働省
令和7年3月新卒者内定取消しの状況等を公表します

こんなお悩みはありませんか?

  • 何から手をつければいいか分からない
  • 選考で落とされる理由が分からない
  • 自分にピンとくる会社が見つからない

自分に合った仕事ってなんだろうと不安になりますよね。強みや適性に合わない仕事を選んでしまうと、せっかく就職しても早期退職のリスクがあります。そこで活用したいのが、「適職診断」です。

まずは所要時間1分でできる診断に取り組んでみませんか?自分の特性とそれに合う企業を客観的に把握できれば、企業探しや自己分析をよりスムーズに進めることができるでしょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
  • 自分に向いてる仕事がわからない
  • 自分の長所がわからない
  • 時間をかけずに自己分析をしたい

かんたん6問で診断

【無料】さっそく診断スタート

 

内定取り消しになるケースは?5つの正当な理由

企業からの内定取り消しは、どのような理由であっても認められるわけではありません。具体的にどのようなケースであれば正当な理由とみなされるのか、主な原因を把握しておきましょう。

ここでは、法律上や裁判例で内定取り消しが認められやすい5つの理由について詳しく解説します。

1.卒業単位が不足して大学を卒業できない

大学を卒業できないことは、内定取り消しの正当な理由として認められます。新卒採用では基本的に、「△年△月に大学を卒業して入社できること」が前提条件となっているためです。

単位不足で留年が確定したり、卒業が9月に延期になったりした場合、入社時期に企業が求める学歴要件を満たせなくなります。これは採用の前提条件が崩れることを意味し、学生側の責任(契約不履行)として内定取り消しが有効と判断されやすくなるでしょう。

企業によっては例外的に「秋入社への変更」を認めてくれたり、翌年の採用で一部選考を免除してくれたりなどの配慮をしてくれるケースもあります。しかし、基本的には自己責任の世界なので、卒業できるよう全力を尽くしましょう。

2.履歴書や面接の内容に嘘が発覚した

選考時に提出した書類や面接での発言に、採否を左右するような重大な虚偽があった場合、内定取り消しの正当な理由になります。これは、経歴詐称が企業との信頼関係を根本から破壊する行為と判断されるためです。

たとえば、以下のような虚偽は、内定取り消しに直結する可能性があります。

虚偽の種類 具体例
出身大学や学部・学科の詐称 実際とは異なる大学名や存在しない学部を記載するなど
取得していない資格の虚偽記載 実際は500点なのに「TOEIC850点」と申告するなど
重大な経歴の隠蔽・改ざん 過去の退学歴・処分歴や犯罪歴を隠して提出する

「自己PRの多少の誇張」程度であれば取り消しにまで至ることは稀ですが、上記のような重大な経歴詐称は別問題です。仮にこうした虚偽が入社後に判明した場合、懲戒解雇に至るケースも珍しくありません。

3.犯罪行為やSNSでの不適切な言動が発覚する

内定期間中に犯罪に関与したり、社会的に不適切な言動を行ったりした場合も、内定取り消しの要因になり得ます。企業のブランドイメージを著しく傷つける行為は、社員としての適格性を欠くと判断されるからです。

昨今では、SNSでの不適切な投稿が炎上し、投稿者や内定先企業に特定されて問題視されるケースが増えています。以下に、内定取り消しにつながりやすい素行不良の例をまとめました。

注意点

  • SNSへ不適切な動画(バイトテロなど)を投稿したことによる炎上
  • 他者への誹謗中傷や機密情報の漏洩、公序良俗に反する投稿
  • 飲酒運転や窃盗、傷害事件などによる逮捕
  • 内定者懇親会での過度な迷惑行為、重大なハラスメント

特に、SNSでの発信は自身の意図しないところで情報が拡散されるリスクを常に念頭に置き、細心の注意を払うことが重要です。

4.業務遂行が困難なほど健康状態が悪化する

怪我や病気によって、入社後に予定されていた業務の遂行が不可能になった場合、内定が取り消されることがあります。企業は労働力を提供してもらう対価として給与を支払うため、その提供が物理的に困難な場合には、契約の目的が果たせないと判断されるためです。

ただし、一時的な病気や企業側による業務内容の調整・合理的配慮によって就業が可能なケースであれば、直ちに取り消しが認められるわけではありません。医師の診断に基づき、回復の見込みがなく、長期にわたって働くことが極めて困難であると客観的に証明される必要があります。

5.整理解雇の要件を満たすほど経営が悪化した

内定が取り消されるのは、学生側の落ち度ではなく、企業の経営悪化によるケースも少なくありません。急激な業績悪化によって倒産の危機に瀕している場合など、どうしても雇用が維持できない状況がこれに該当します。

内定が成立した段階で学生と企業の間には労働契約が成立しているため、企業が一方的に内定を取り消すことは法的解雇と同等に扱われるのが基本です。解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要とされるため、単に「少し利益が減ったから」といった理由での取り消しは解雇権の濫用とみなされ、無効となる可能性が非常に高いでしょう。

特に、経営悪化を理由とする内定取り消し(整理解雇)を行うには、「整理解雇の4要件」と呼ばれる厳しい基準を満たす必要があります。整理解雇の4要件は以下のとおりです。

・人員削減の必要性がある
・内定取り消しを避けるための努力を尽くした
・対象者の選定基準が合理的である
・手続きの妥当性(説明や協議が尽くされている)がある

参照:厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~5 ハロートレーニング(公的職業訓練)、訓練期間中の生活保障(p.59)

現実的には今後の生活を立て直すために、まずは速やかに気持ちを切り替えて次のアクションを起こすことが重要です。

内定が取り消されたあとに考えられる選択肢は、「無い内定とは?就活に苦戦する原因と今から現状を打開するコツを解説」の記事で解説しているので参考にしてみてください。

参照元
厚生労働省
知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

内定取り消しが違法となる可能性が高い事例

個人のプライベートな事情や企業側の努力で解決できる手続き上の遅れなどが理由の場合、内定取り消しは原則として違法です。自分に非がないケースで不当な扱いを受けないよう、どのような事例が違法にあたるのかを知っておきましょう。

以下で、内定取り消しが違法となる可能性が高い事例を5つ解説します。

1.身元保証人がいないことを理由とする

身元保証人がいないことを理由とした内定取り消しは、公序良俗や解雇権濫用の観点から違法にあたる可能性があります。採用内定の取り消しは法律上「解雇」と同等に扱われますが、「親族がいない」などの事情は、内定者本人の責任や業務遂行能力とは直接関係がないため、「客観的に合理的な理由」とは認められにくいからです。

企業側には保証人代行サービスの利用を案内したり、緊急連絡先の確保のみで入社を認めたりするなど、個別の事情に応じた柔軟な対応が求められます。

身元保証人は誰に頼めばいい?入社時に必要な理由や困ったときの対処法」の記事では、身元保証人がいない場合の対処法を解説しているので、不安な人はご一読ください。

2.学生結婚など業務に無関係なことを理由とする

プライベートな結婚や既婚であることを理由とした採用内定の取り消しは、業務上の必要性が認められないため違法と判断される可能性が極めて高くなります。憲法で保障された個人の自由や基本的人権を侵害する恐れがあり、労働契約上の合理的な取り消し事由として認められないケースが多いためです。

業務を問題なく遂行できる状態であるなら、プライベートの生活状況の変化を理由に不利益を課すことは許されません。また、婚姻の有無などを理由とした差別的な取り扱いを禁止している「男女雇用機会均等法」にも違反します。

入社後の勤務に直接の支障がないにも関わらず、結婚を理由に内定を取り消された場合、不当な取り消しとして撤回を求められる可能性が十分にあるでしょう。

3.健康診断での健康数値の異常のみを理由とする

入社前の健康診断で、たとえば「血圧が少し高い」「肝機能の数値が基準値を超えている」といった異常が見つかっただけで内定を取り消すことも違法です。

過去に、健康診断でHIV感染が発覚したことを理由に内定を取り消された学生が提訴し、裁判所が「通常の業務を遂行するうえで何ら支障がない」として、企業側の内定取り消しを不当(違法)と判断した判例があります。

このように、医学的に業務が不可能だと証明されない限り、健康数値の異常のみを理由にした内定取り消しは認められません。

4.企業の主観的・抽象的な判断で正当な理由がない

「なんとなく雰囲気が合わない」「社風に馴染めなさそうだ」といった主観的な印象による内定取り消しは、法的効力をもちません。内定の時点で一度評価を確定させている以上、そのあとに発覚した重大な欠格事由がない限り、企業側の一方的な事情による心変わりは通用しないでしょう。

正当とは認められない内定取り消しの理由としては、以下のようなものが挙げられます。

・当初の期待よりもスキルが低そうだと感じた
・より優秀な応募者があとから見つかった
・印象が以前と変わった

一度成立した労働契約を解消するには、客観的にみても納得できる明確な根拠が必要です。企業側の身勝手な都合や曖昧な基準によって、内定者の法的地位が脅かされることはあってはなりません。

5.選考時に知り得た事情を後出しの理由にする

選考時にすでに知ることができた事情を、あとから取り消しの理由にすることも、違法と判断される可能性が高いといえます。「解雇権濫用法理」の要件の一つである「客観的に合理的な理由があること」を満たすには、内定当時には知り得なかった事実であることが前提となるためです。

たとえば、面接で申告していた持病を、入社直前になって企業側が問題視し、取り消しの理由に挙げるようなケースが該当します。選考の過程で確認できたはずの事情を、企業側の都合で後出しにすることは、正当な理由として認められにくいと考えられるでしょう。

同様に、「業績が予測より悪化した」といった抽象的な経営上の理由も、選考時点である程度想定できた事情であれば、正当な理由とは認められにくくなります。取り消しの理由を告げられた際は、それが選考時に企業側が把握できた事情でなかったかを確認することが重要です。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

泣き寝入りする前に!内定取り消しされたときの対処法

法律で守られていても、不誠実な企業から突然の内定取り消し通告を受ける可能性はゼロではありません。その際は、パニックにならずに冷静に行動することが、自分を守るための武器になります。以下のステップに従って、毅然とした態度で対処しましょう。

1.書面やメールで具体的な取消理由の開示を求める

内定取り消しを告げられたら、まずはその理由を客観的な証拠として残すために書面での開示を求めてください。口頭だけの説明では、あとから内容を覆されたり、言った言わないのトラブルに発展したりするリスクがあるからです。

企業側には、「労働基準法第22条」において解雇の理由を証明する書類を交付する義務があるため、まずは冷静に請求することが大切です。メールや郵送で「内定取り消しの理由を具体的に記した文書(内定取り消し通知書など)をいただけますか」と誠実に、かつ明確に依頼しましょう。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法

2.内定通知書ややり取りの履歴など証拠を残す

企業とやり取りしたすべての記録は、法的手段や交渉を行う際の重要な証拠になります。不当な内定取り消しを争うためには、前提として「内定(労働契約)が成立していた事実」を客観的に証明する必要があるため、以下の資料を整理して保管しておきましょう。

・内定通知書や採用内定承諾書(コピーも含む)
・内定後の研修案内や入社準備に関するメール
・内定取り消しを告げられた際の通話録音やメールの本文

内定通知書や採用内定承諾書がメールで届いた場合は、PDFだけでなく、送信元や日時が分かるメール本文(スレッド全体)をそのまま保存しておきましょう。これらは、自分自身の立場を守り、主張を裏付ける強力な武器です。

3.提示された条件や補償内容を確認する

企業が内定取り消しを行う際、お詫びとして金銭的な補償や他グループ企業の紹介などを提示してくるケースがあります。しかし、これらの条件を鵜呑みにせず、自分にとって妥当な内容かどうかを慎重に見極めることが重要です。

提示された条件にその場で即答するのは避けましょう。一度「承諾」の意思を示してしまうと、「内定取り消しに合意した(契約の合意解約)」とみなされ、あとから不当性を訴えることが困難になるリスクがあるからです。

まずは「一度持ち帰って検討します」と伝え、信頼できる家族や専門家に相談する時間を確保しましょう。納得のいかない条件であれば、安易に署名や回答をせず、自分の権利を守るための姿勢を保つことを心掛けてください。

4.同意するか撤回を求めるか意思表明をする

提示された理由の妥当性や提示条件を十分に検討したうえで、自分が今後どうしたいのかを企業へ明確に伝える必要があります。単に返答するだけでなく、「解雇や内定取り消しの不当性を訴え、解決金を含めた法的責任を追及したいのか」あるいは「条件を整えて他社への切り替えを優先するのか」という自身の方向性を確定させましょう。

自分の意志を固めてから伝えることで、企業側との交渉をスムーズに進められます。もし入社を強く希望する場合は「内定取り消しの撤回」を求め、納得したうえで他社へ目を向ける場合は「条件面の最終合意」へと進むことになるでしょう。

今後の方向性が明確になれば、弁護士への相談や就活の再開といった、そのあとの具体的なアクションを迅速に開始できます。

5.専門機関に相談する

内定先企業と自分1人で対峙するのは精神的にも大きな負担となるため、労働問題の専門家へ相談することをおすすめします。客観的なアドバイスを受けることで、現状が法的に見てどうなのか、今後どのような対策をとるべきかといった明確な指針を得られるでしょう。

相談先の主な例を以下にまとめました。

総合労働相談コーナー 各都道府県の労働局にあり、無料で労働問題全般の相談ができる
労働基準監督署 残業代未払いや休憩なし、36協定違反など「労働基準法違反」の疑いがある場合に、企業への是正指導を行っている
弁護士 法的な交渉や損害賠償請求を直接代行してもらえる

専門機関へ相談するべきか迷ったり、いきなり連絡するのはハードルが高いと感じたりする場合は、大学のキャリアセンターに相談するのもおすすめです。キャリアセンターは、大学生にとって身近な相談相手であり、必要に応じて外部の適切な窓口を案内してくれるでしょう。

6.損害賠償の請求や内定取り消しの撤回を求める

内定取り消しに正当な理由がないと判断される場合、企業に対して慰謝料や損害賠償を請求できる可能性があります。内定を信じて引越し準備を進めていた場合や他社の内定を辞退していた場合などは、具体的な損害が発生しているとみなされるためです。

ただし、訴訟には時間とコストがかかるだけでなく、仮に入社が認められた場合の職場環境なども考慮する必要があります。まずは労働問題に強い弁護士へ相談し、得られるリターンと負担を天秤にかけて判断しましょう。

損害賠償で請求できる3つの項目

内定取り消しが違法と認められた場合、企業に対して請求できる損害賠償や支払いは、主に次の3つに分けられます。

賃金相当額(履行利益の損害) 本来であれば入社日以降に得られるはずだった給与相当分(実際に働いていなくても、会社の都合で働けなかった期間の賃金支払いが命じられるケースがあります)
慰謝料(精神的損害) 内定取り消しによって生じた精神的苦痛に対する賠償金
実際の費用(信頼利益の損害) 内定を信じて行動したことで直接発生した実費(例:入社準備のための引っ越し費用や賃貸の解約違約金など)

どの項目がどの程度認められるかは、内定を取り消された時期や、そのあとの再就職の状況によって個別に判断されます。まずは発生した費用や経緯を整理し、弁護士や労働局などの専門家に相談する際の材料にしておくと良いでしょう。

和解金の相場

内定取り消しのトラブルが裁判外での話し合いで解決する場合、解決金が支払われることが一般的です。この金額は、企業の対応の悪質さ、内定者の精神的苦痛、および発生した実損害の大きさによって変動します。

主な目安としては、以下の範囲に収まるケースが多いようです。

・賃金の数ヶ月分(3〜6ヶ月程度)
・数十万~100万円前後の慰謝料

ただし、これらはあくまで一般的な相場です。たとえば、すでに他社の内定を辞退している場合など、「就職先が決まるまでの期間」が長引くと予想される事案では、より高額になることもあります。

個別の状況によって金額は大きく増減するため、具体的な算定は専門家への相談が不可欠です。

内定が取り消されたあと、就活を再開せざるを得ない場合もあるでしょう。その場合は、「就活とは?いつから何をやる?基本の流れと今からできる準備を解説!」の記事を参考に、改めて就活の流れやスケジュールを確認してみてください。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

内定取り消し後に逆転内定を掴む方法

もしも不運に見舞われ、内定が白紙になってしまったとしても、あなたのキャリアがそこで終わるわけではありません。時期に応じた適切な戦略を立てれば、そこから「逆転内定」を勝ち取ることは十分に可能です。

以下で、内定取り消しに遭ったあと、前を向いて再スタートを切るためのアプローチ方法を紹介します。

秋・冬採用や通年採用を狙う

世の中には、秋採用(9〜11月)や冬採用(12〜2月)、そして時期を問わずに応募を受け付けている「通年採用」を実施している企業が数多く存在します。内定取り消し後の就活では、これらの採用枠を狙うのが効果的です。

こうした採用枠では、内定辞退による急な欠員の補充や事業拡大に伴う即戦力の募集などを目的としているケースも少なくありません。そのため、思わぬ優良企業に出会える可能性も十分にあり、「時期が遅いから」と諦める必要はありません。

通年採用を実施している企業の特徴は、「通年採用をしているのはどんな企業?特徴や内定獲得のコツを解説」の記事で解説しています。

内定取り消しの事実をポジティブに語る

内定取り消し後に就活を再開する場合、面接で「なぜこの時期に就職活動をしているのですか?」と質問される可能性があります。その際は、ネガティブな印象を与えないよう工夫が必要です。事実を隠すのではなく、その経験から学んだことや成長した点を前向きに伝えましょう。

面接での回答例は、以下のとおりです。

面接での回答例

なぜこの時期に就職活動をしているのですか?

以前、内定をいただいた企業があったのですが、業績悪化に伴い内定取り消しとなりました。突然のことで戸惑いもありましたが、この経験を通じて企業の成長性や安定性を見極める重要性を学びました。

また、状況を受け入れて前向きに行動する大切さを実感し、現在は気持ちを切り替えて就職活動に臨んでいます。御社の堅実な経営方針と将来性に強く惹かれており、これまでの学びを活かして長期的に貢献したいと考えております。

内定取り消しの理由が企業側の都合である場合は、その事実を客観的に説明し、自分に非がないことを明確にします。また、内定取り消しを経験したことで、企業選びの視点が変わったり、自分の価値観が明確になったりした場合は、それらの気づきを積極的にアピールしてください。

就職エージェントを活用する

限られた時間のなかで効率良く内定獲得を目指すには、就職エージェントを活用するのがおすすめです。エージェントでは、プロのアドバイザーがあなたの状況に応じて、新卒採用を継続している非公開求人をスピーディーに紹介してくれます。

面接対策や履歴書の添削、企業側への推薦などをトータルでサポートしてもらえるため、1人で就活を行うよりも精神的な負担を減らしながら、効率的に内定獲得に近づけるでしょう。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

内定取り消しに遭うのが怖いと感じている方へ

内定取り消しへの不安を抱えている方は決して少なくありません。内定取り消しは、企業の業績悪化などのやむを得ない事情を除けば、発生することは極めて稀です。大学を無事に卒業し、提出書類などに虚偽がなければ取り消されるリスクは多くないため、過度に怯える必要はないでしょう。

万が一、実際に取り消しに遭った場合でも、その後の選択肢や対処法を知っておくことで冷静に対応できます。「改めて就活をやり直したい」「卒業までに納得いく企業から内定が欲しい」と判断した場合は、キャリアチケット就職エージェントをご利用ください。

専属のキャリアアドバイザーが、あなたの不安や希望条件を丁寧にヒアリング。一人ひとりに合った企業を紹介するため、限られた時間で効率的に内定獲得を目指せるでしょう。

さらに、内定後も入社までしっかりサポートするため、疑問や不安が生じた際も安心して準備を進められます。サービスはすべて無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

内定取り消しに関するQ&A

最後に、就活生からよく寄せられる内定取り消しに関する疑問に一問一答形式でお答えします。

企業が内定取り消しを行う予兆はありますか?

内定取り消しが行われる前には、以下のような予兆がみられることがあります。

・内定者懇親会が突然中止になる
・事前研修が予告なく中止される
・同期の内定者と比べて、自分にだけ入社手続きの案内が遅れている
・企業の経営不振や業績悪化に関するニュースが報道される

ただし、これらのサインが必ずしも内定取り消しに直結するわけではありません。単なる社内スケジュールの変更や連絡ミス、システムの不具合などの可能性もあります。もし不安を感じた場合は、一人で悩まず、採用担当者に現在の状況を確認してみましょう。

入社に必要な書類が間に合わないと内定取り消しになる?

単なる提出遅れだけで直ちに内定が取り消されることは、法的には考えにくいです。ただし、留年によって卒業証明書が提出できないケースなどは、採用の前提条件を満たさなくなるため、正当な理由として内定が取り消される可能性があります。

一方で、マイナンバー関係書類や住民票などの書類であれば、あらかじめ遅れる理由と提出見込み日を連絡しておけば、柔軟に対応してもらえることが一般的です。

とはいえ、期限を守る姿勢は社会人としての信頼に直結します。万が一遅れてしまう場合は放置せず、速やかに連絡して誠実に対応しましょう。

承諾期限の延長を依頼すると内定を取り消される?

原則として、承諾期限の延長を相談しただけで内定を取り消されることはありません。企業の採用計画の都合で延長を断られる可能性はありますが、誠実に理由を話し、回答期限を明確に伝えれば、多くの企業は柔軟に対応してくれるでしょう。

ただし、あまりに長い延長や不誠実な態度はマイナスな印象を与えかねません。内定承諾期間の延長については、「内定承諾期間は延長できる?依頼時のマナーや電話・メールの例文を紹介」をご確認ください。

学生側からの内定取り消しはいつまで可能?

学生側からの内定辞退は、「民法第627条第1項」の規定に基づき、入社日の2週間前までであれば可能です。企業側からの内定取り消しには厳しい制限がありますが、労働者(学生)側からの辞退の自由は法律で守られています。

ただし、直前の辞退は企業側に多大な迷惑を掛けるため、辞退を決意した時点で1日でも早く、誠実にお詫びの連絡を入れるのが社会人としてのマナーです。

内定辞退を伝える際のマナーについて詳しくは、「新卒の内定辞退はいつまでできる?伝え方のマナーやタイミング別の例文を紹介」の記事をご覧ください。

参照元
e-Gov法令検索
民法

内定承諾書の提出期限延長を申し出たら内定取り消しになった…

内定承諾書の提出期限延長を申し出ただけで内定を取り消すことは、原則として違法となる可能性が高いです。

企業から内定通知が出された時点で、法律上は「労働契約」が成立しているとみなされるのが一般的。そのため、企業による内定取り消しは法律上「解雇」と同等に扱われ、客観的に合理的で社会通念上相当な理由がなければ認められません。単に「延長を求めたから」という理由だけでは、取り消しの合理的理由にはなりにくいといえます。

ただし、企業側にも採用計画があります。1ヶ月などの長期間の延長は採用活動に支障をきたすため、期限延長の申し出自体を断られる可能性があることは覚悟しておきましょう。

かんたん1分!無料登録就活の不安について相談したい

 

本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

キャリアチケット就職について

キャリアチケット就職エージェント 」は、量より質の就活を叶える無料の就活支援サービスです。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの希望や適性に寄り添い、自己分析から企業紹介、面接対策まで一貫して伴走します。

就活の進め方に迷う時期から内定獲得まで、就活に関わるどんな悩みも丁寧に寄り添い、あなたの就活をバックアップします。

登録は無料!あなたに合う企業をご紹介

あなたの卒業年度を教えてください

プロのアドバイザーが
あなたの就活をサポート

簡単30秒

無料サポート登録

当てはまるお悩みをお選びください