このページのまとめ
- 内定取り消しは正当なケースも違法なケースもある
- 内定取り消しは就活生が大学を卒業できなかったり、虚偽申告をしたりした場合は適法
- 内定取り消しの理由が社会的に認められない場合は、違法になるケースもある
就活では、企業から内定取り消しをされるケースもあります。企業側の問題もあれば、就活生側の問題もあるので、普段の生活から気を付けておかなければなりません。
この記事では、違法な内定取り消しと正当な内定取り消しの違いについて解説します。もしものときに備えて、どのような状況が正当なのか、違法なのかを知っておきましょう。内定取り消し後の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
就活には悩みがつきものです。就活終盤の悩みの解消法について知りたい方は「就活をやり直したいときはどうする?就活終盤の悩みの解消方法まとめ」も参考にしてください。
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- 内定取り消しは違法なケースと正当なケースがある
- 令和5年度には42名が内定取り消しになっている
- 内々定の取り消しは違法ではない
- 内定取り消しが正当になる7つのケース
- 企業が経営上の問題を抱える場合
- 内定者が大学を卒業できない場合
- 内定者の虚偽申告が発覚した場合
- 内定者が犯罪を犯したとき
- SNSなどで素行不良が発覚した場合
- 内定者が傷病で働けなくなった場合
- 内定取り消しの正当な理由が契約書に明記されている場合
- 内定取り消しが違法となる2つのケース
- 取り消しの理由が内定の時点で明らかだった場合
- 社会通念上妥当性が認められない場合
- 内定取り消しになってしまった場合の対処法
- 内定取り消しの撤回を求める
- 損害賠償請求を行う
- 次の就職先を探す
- 内定取り消しにならないよう就活準備を徹底しよう
内定取り消しは違法なケースと正当なケースがある
内定取り消しは状況次第で違法な場合と正当な場合、どちらのケースも考えられます。なぜなら、企業が内定を通知した時点で学生と企業の間に雇用契約が成り立っている状態となり、内定取り消しは解雇にあたることから、妥当性が認められなければ違法だからです。
しかし、解雇する理由に妥当性がある場合、企業が契約を解除しても違法ではありません。社会通念上正当であれば、法に触れることはないでしょう。これは、転職時でも同様のことが言えるため覚えておいてください。
令和5年度には42名が内定取り消しになっている
厚生労働省の「令和5年3月新卒者内定取消し等の状況を公表します」によると、令和5年度の場合、25の事業所で42名が内定取り消しになっています。令和4年度では、27事業所で50人の内定取り消しがありました。
具体的な取り消し理由には、企業の倒産や経営悪化などがあります。経営悪化などは、やむを得ない事由にあたり、内定取り消しが認められます。
参照元
厚生労働省
令和5年3月新卒者内定取消し等の状況を公表します
内々定の取り消しは違法ではない
内々定の取り消しについては、違法ではありません。内々定は労働契約が成立しておらず、雇用関係にないからです。
内々定とは、「内定を出す」と約束をしている状況を指します。契約とは違うため、企業は内々定の取り消し、学生は内々定の辞退が可能です。なかには、卒業ができない、採用条件にある資格を獲得できなかった、事件や事故を起こしたなど学生側の事情によって取り消されることもあります。
内定や内々定が出ると、気持ちが浮き足立ってしまうこともあるかもしれません。しかし、トラブルに巻き込まれないよう、十分注意して残りの大学生活を過ごしましょう。内定と内々定の違いを詳しく知りたい方は、「『内定』『内々定』は何が違う?内定辞退や取り消しになる例について解説」の記事を参考にして違いを理解しておきましょう。
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内定取り消しが正当になる7つのケース
内定取り消しが認められるパターンは、7つあります。ただし、それぞれの事情によって結果が異なる場合もあるため、自分が内定取り消しにあった場合は、専門家や信頼できる第三者に相談するのがおすすめです。ここでは、内定取り消しが認められるケースについて解説します。
企業が経営上の問題を抱える場合
業績悪化などで経営困難に陥った際は、内定の取り消しが許可されます。ただし、以下の4つの条件を満たしていることが前提です。
経営困難に陥った際は、内定の取消しを許可されることがあります。これには以下の四つの基準が満たされていなければなりません。
・人員削減が必要である
・人員削減を回避するための努力がされている
・削減される人員選出の理由が合理的である
・対象者に十分な説明がなされ協議している
4つの条件のうち1つでも欠けている場合、内定取り消しは認められません。一方で、すべての条件を満たす場合は適法になるため、内定取り消しを告げられても受け入れる必要があります。
内定者が大学を卒業できない場合
内定の取り消しは妥当な措置と考えられます。通常、企業が採用する際には大学の卒業資格を基本条件として設定しており、その資格を満たさない場合には入社資格が失われるからです。
また、留年や中退の場合でも、同様に内定取り消しが認められるので注意が必要です。もし、留年が決まった場合は、速やかに会社へ伝えましょう。大半は内定取り消しになりますが、なかには大学に在学しながら会社勤務することを許可したり、秋採用へと変更したりする企業もあります。
内定取り消しを避けるためには、自分で単位状況を把握しておくことが重要です。留年の危機を抱えている学生は、「卒業できない学生は内定取り消しになる?留年した場合の対応を解説」の記事を読んで対策しておきましょう。
内定者の虚偽申告が発覚した場合
内定者が虚偽の情報を申告をしていたことが判明した場合も、内定取り消しが認められるケースです。具体的には、「学歴」「資格取得」「職歴の有無」などについての詐称が該当します。
また、資格が必要な業務を無資格のまま行っていた場合には、企業から損害賠償請求をされる恐れもあるので絶対にやめましょう。
内定者が犯罪を犯したとき
犯罪に手を染めている、または反社会的勢力とのつながりがある場合も、内定を取り消される恐れがあります。反社会的な人物を採用するのは、企業にとってリスクがあるからです。
学生はアルバイトの内容や、学外での交友関係、団体への勧誘などに十分気を付けましょう。
SNSなどで素行不良が発覚した場合
SNSへの投稿が原因で、内定取り消しになる場合もあります。企業のなかには、内定者のSNSをチェックしているところもあるので発信内容には注意が必要です。
近年、仲間内で過度にふざけている動画をSNSに掲載し、その内容について世間から非難されるといった事案が目立っています。自分のSNSを限られた範囲の人にしか公開していなくても、閲覧できる人が拡散する恐れもあることを念頭においておきましょう。
動画に限らず、発している言葉やフォローしている相手などまで見られる可能性もあります。情報を発信する場合、自分の言動に責任をもって行ってください。
内定者が傷病で働けなくなった場合
病気やケガで働けなくなった場合も、内定取り消しが認められます。ただし、業務に支障のない傷病の場合は、内定取り消しは認められません。
内定取り消しの正当な理由が契約書に明記されている場合
契約書や内定通知書には、内定取り消し事由が記載されています。取り消し事由に該当する場合、内定取り消しをしても違法ではありません。ただし、内定取り消し事由が不合理ではないことが前提です。
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内定取り消しが違法となる2つのケース
内定取り消しが違法になるケースは、「取り消し理由が事前にわかっていた場合」「社会通念上妥当性が認められない場合」の2つです。それぞれのケースについて詳しく解説します。
取り消しの理由が内定の時点で明らかだった場合
事前に知っていた内容を理由に、内定の取り消しはできません。たとえば、持病や怪我による何らかの不自由を選考時に伝えていたとします。その後内定を出したにもかかわらず、「病気だから」「怪我で仕事ができないから」などを理由に、内定を取り消すのは違法です。「内定前にわかっている内容だったかどうか」は1つの争点になるので覚えておきましょう。
社会通念上妥当性が認められない場合
「社会通念上妥当性」とは、世間一般的な考え方のことです。つまり、「社会通念上妥当性が認められない場合」とは、一般的に納得しがたい理由や状況を指します。
たとえば、入社の3日前に業績不振や倒産など企業の都合で内定が取り消されたとしましょう。この場合、3日で別の就職先が決まる可能性は低く、大学は卒業したものの無職となってしまいます。このように、普通の感覚では納得できないと考えられる場合、違法とみなされることもあるようです。
内定取り消しを受けた学生のなかには、到底納得できない理由を企業から伝えられた人もいるかもしれません。まずは、人事に内定取り消しの理由を詳しく聞いてみましょう。
内定取り消しが違法や無効になるケースについては、「その内定取り消しは無効かも!有効な理由はどんな内容?」も参考にしてください。
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内定取り消しになってしまった場合の対処法
内定取り消しになってしまったら、企業に対処を求めるか次の就職先を探すことになります。
取り消し理由に納得がいかない場合や、違法性があると感じている場合は、しかるべき機関へ相談や対処を依頼しましょう。在籍する大学の就職支援課や自治体の相談機関、弁護士会などに相談できます。
その際、内定通知書や内定承諾書、メールの記録などは有効な資料です。就活中は念のため、これらの資料を保管しておきましょう。
内定取り消しの撤回を求める
内定取り消しをされたとしても企業への就職意思がある場合、内定取り消しの撤回を要求できます。個人では対処が難しい場合は弁護士に相談し、企業と交渉する必要があります。
交渉で状況が変わらない場合は、裁判所の手続で争う方法もあります。弁護士を立てて裁判所で争う場合の期間は、3ヶ月から2年程度とケースによって異なり、費用は少なくとも60万円程度掛かるとされています。
弁護士以外では、労働局に相談するのも1つの手です。労働局では専門の相談員が企業と内定者の間に立ち、双方の問題点を指摘し、解決の方法を助言します。これにより、場合によっては内定取り消しが撤回される可能性もあるでしょう。
もし、個人で契約している顧問弁護士がいる場合は、そちらに相談することで適切なアドバイスがもらえます。
いずれにしても、時間と費用がかかるため、裁判所で争うかどうかは家族ともよく相談して決めるのがよいでしょう。
損害賠償請求を行う
内定取り消しで大きな損失を被った場合、損害賠償の請求も可能です。学生側に非がないにもかかわらず就職できなかったという精神的苦痛、もらえるはずだった給与、これからの生活費や就職活動費などを考慮して請求することが一般的になります。
次の就職先を探す
内定取り消しを受けた場合、次の就職先を探すことも必要です。内定取り消しが違法であっても、「内定取り消しをするような企業では働けない」と思う就活生も多いでしょう。内定取り消しをされる時期は、卒業が迫っているケースが多くなります。急いで就活準備を行い、卒業までに内定を目指しましょう。
内定取り消しはどのような理由であっても精神的にストレスがかかります。「一方的な理由で内定取り消しをするような企業に入らずに済んだ」と気持ちを切り替え、もっと良い企業を見つけることに力を注ぎましょう。
内定後の取り消しでは、冬ごろでの就活が想定されます。冬採用を実施している企業は多くありませんが、諦めずに就活を続けましょう。「冬採用攻略法!夏・秋採用との違いや内定獲得へのポイントを解説」も参考に、内定を目指してください。
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内定取り消しにならないよう就活準備を徹底しよう
内定取り消しを避けるためには、就活準備を徹底し、自身の行動にも気を付けなければなりません。「大学は卒業できるようにする」「正しい素行で生活をする」などを徹底してください。
しかし、内定取り消しには、企業が原因の場合もあります。内定取り消しに合わないように、企業選びも慎重に行いましょう。企業選びのサポートを受けるのであれば、就活エージェントがおすすめです。就活のプロに相談し、効率的に、効果的に企業探しを行いましょう。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。