ブラック企業の見分け方とは?その特徴と対応策

このページのまとめ

  • ブラック企業の特徴は、長時間労働・休日取得不可・ハラスメントの常態化などに表れる
  • 「求人が頻繁に出ている」「雇用条件があいまい」といった企業には注意が必要
  • 面接官の態度や社内の雰囲気からは、職場の実態を見抜くヒントが得られる

ブラック企業の見分け方とは?就活で後悔しない会社選びのコツのイメージ

ブラック企業の見分け方を知りたい就活生は多いでしょう。入社してから「よく調べておけば良かった」と後悔しないために、今のうちから企業の見分け方を知っておくことが大切です。インターネットやSNSで調べる以外に、面接で企業を訪れた際に雰囲気を確かめる方法もあります。

この記事では、ブラック企業の定義やよくある特徴、求人や面接で注意すべきポイントを紹介。ブラック企業を見抜き、長く働ける企業に就職しましょう。

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目 次

ブラック企業の定義とは

ブラック企業の明確な定義はないものの、一般的に下記のような特徴が挙げられます。

1.労働者に対し極端な長時間労働や達成困難なノルマを課す
2. ハラスメントが常態化するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
3.残業代や給与などの賃金不払の横行

このような状況が常態化していると、企業に不満をもった社員が次々と辞めていくため、離職率が高くなってしまうでしょう

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ブラック企業にありがちな5つの特徴

実際にどのような企業がブラック企業と呼ばれるのか、詳しい内容を確認しましょう。

1.残業時間が36協定の上限を超えている

36協定とは、「企業と社員間であらかじめ働く時間について結ぶ協定」のことです。労働基準法36条では、企業は社員を「1日8時間、週40時間」を超えて働かせてはいけないと定めています。この36協定を結ぶことで、その法定労働時間を超えて社員を働かせられます。

36協定を結ぶことで社員にさせられる残業時間は、「1週間に15時間、月に45時間以内」です。ただし「特別な事情」がある場合においては、この規定時間を上回っても良いという条項があるため、限度を超えて働かせている企業があります。

「過労死ライン」は月100時間または2~6ヶ月の平均が80時間。この残業時間を超えると、従業員の生命に関わる恐れがあります。それほどまでの長時間の残業を社員にさせている企業は、ブラックである可能性が高いといえるでしょう。

2.法定の休日数が遵守されず、有給も取得できない

労働基準法35条では、「少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」と明記されています。その規定を下回った休みしか取れない企業は、ブラック企業であると考えられるでしょう。

また、有年次有給休暇に関しても、39条で「労働者が6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合は、10日の有給休暇を与えなければならない」と定められています。「事業の正常な運営を妨げる場合には、使用日をずらして取得させる」ともあるので、必ずしも希望の日に取得できるとは限りません。

しかし、有給は労働者の権利です。理由の提出を強要したり制限を設けていたりする企業は、ブラック企業の疑いがあります。

3.規定の最低賃金が支払われない

給料の低さも、ブラック企業を見分けるポイントの一つです。厚生労働省では「最低賃金」を定めています。企業が労働者に支払う賃金は、常にこの「最低賃金」を上回っている必要があるのです。

月給を時間に換算した際に「最低賃金」を下回っているようであれば、ブラック企業の可能性があります。

参照元
厚生労働省
賃金 (賃金引上げ、労働生産性向上)

4.残業代の未払いが続いている

就活生の方であれば「みなし残業」という言葉を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。このみなし残業とは「固定残業代制度」というもので、本来は「数時間分の残業代を先に支払う(残業していない場合も支払われる)」という制度です。

この制度では、残業時間がみなし残業代の分を超過した場合は、追加で残業代を支払わなくてはならないのですが、その制度を悪用し「いくら残業しても給料は変わらない」と解釈を歪めて残業代を払わないブラック企業も存在します。

また、 労働基準法で「監督や管理の地位にある者や、機密の事務を取り扱う者」には「労働時間の規定は適用しない」といった内容の規定があります。そのため、社員をいつの間にか必要もないのに管理職にし、残業代を全く支払わないというケースが生まれることもあるようです。

5.日常的にハラスメント行為がある

ブラック企業では、パワハラやセクハラが横行していることがあります。身体・精神への攻撃や個の侵害、人間関係の破壊もハラスメントです。過大な要求はもちろん、反対に過小な要求で仕事を与えないなどもハラスメントになります。

また、身体的な特徴について言及したりパートナーの有無を聞いたりするのはセクハラに該当します。上司と部下という立場を利用したこれらの行為が横行している企業は、ブラック企業の可能性が高いでしょう。

誰でも受かる企業の特徴や探し方は?ブラック企業を避けるポイントも解説」の記事では、受かりやすい企業やブラック企業を避けるためのポイントを紹介しているため、併せてチェックしてみてください。

また、「企業研究のやり方と就活に活かすコツを解説!効率的な進め方とは?」の記事では企業研究のやり方をご紹介しています。企業研究をしたことがない方は、ぜひご覧ください。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

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ブラック企業の見分け方6選

ブラック企業を見極めるためには、先述したブラック企業の特徴をふまえて客観的にチェックをすることが大切です。ここでは、ブラック企業の見分け方を6つ紹介します。

1.頻繁に求人を出していないか

何度も求人を出している企業は、社員が短期間で辞めてしまっている可能性が考えられ、ブラック企業の疑いがあります。社員が定着する企業であれば、必要な人材が採用できた時点で求人を取り下げるでしょう。

つまり、「常に求人を出している」「短期間で何度も募集している」といった企業は、離職者が多く出ている、または退職を前提に採用しているケースが考えられます。

たとえば、「営業職」「販売職」などで毎月のように同じ内容の求人が出ている場合、職場環境が過酷だったり、人が定着しにくい背景がある可能性も。また、人材育成に力を入れていない企業は「辞めたらまた採れば良い」と考えている場合もあり、社員を使い捨てるような働かせ方をしている可能性があるでしょう。

求人の頻度や掲載期間は、企業の人材に対する考え方を見抜く手がかりです。就活サイトで見かける求人に「違和感」を感じたら、口コミや離職率をチェックしてみましょう。

2.雇用形態に不明瞭な点がないか

募集要項に「具体的な仕事内容や条件」が明記されていない企業は、ブラック企業の可能性があります。なぜなら、通常の企業は、自社の強みや働く環境、業務内容について具体的に説明し、学生に魅力を伝えようとするからです。

一方で、ブラック企業は「若手が活躍中」「アットホームな雰囲気」「やる気重視」など、中身のない抽象的な表現でごまかす傾向があります。たとえば、「年収例」「仕事内容」「1日の流れ」「評価制度」といった情報が一切なく、抽象的な言葉ばかり並んでいる場合は注意が必要です。

裏を返せば、「魅力的に伝えられる情報がない」「実態を隠したい」と考えている可能性があります。ポイントは、その企業で実際に働くイメージが湧くかどうかです。イメージが湧かない場合は、もう一度求人を読み直し、ほかの企業とも比較してみましょう。

3.離職率・休職率が高くないか

入社3年以内の離職率が30~40%を超えている企業は、ブラック企業である可能性があります。働きやすい職場であれば、社員がすぐに辞めることは少ないでしょう。離職率や休職率が高い企業では、長時間労働や人間関係のストレスが原因で心身に不調をきたし、退職を余儀なくされるケースが多く見られます。

たとえば、ある企業で「毎年のように新卒が3割以上辞めている」と聞いたら、業務負荷や職場環境に問題がある可能性を疑うべきです。

離職率や休職率の高さは、ブラック企業を見極めるための重要なシグナルといえます。説明会や面接の場で積極的に質問して、実態を確認することが大切です。

4.社内や社員の雰囲気は暗くないか

社内の雰囲気や社員の様子を見ることで、その企業がブラックかどうかを見極めるヒントになります。なぜなら、企業の実態は「働いている人の表情や態度」によく表れるからです。

採用ページで魅力的なことが書かれていても、実際に会った社員の雰囲気が暗く、無愛想だったり、会場が雑然としていたりする場合は、職場環境や組織風土に問題がある可能性が高いでしょう。

たとえば、説明会の受付が雑だったり、会場の掃除が行き届いていなかったりすると、「この企業は細かいところに気を配らない=管理体制が甘いのでは」と感じるかもしれません。また、面接官が高圧的な態度をとったり、話を遮ったりするような場合も、従業員を大切にしない企業文化があると考えられるでしょう。

実際に現場を見ることで、求人情報だけでは分からない企業の実態を感じ取れます。違和感を覚えたら、その直感は大切にしたほうが良い場合もあるでしょう。

社内の雰囲気を知りたい場合は、インターンシップへの参加も一つの手段です。「インターンシップとは?参加する意味や目的、応募方法を徹底解説!」の記事ではインターンシップの目的やメリットなどを紹介しているため、併せてご一読ください。

5.企業理念などが精神論になっていないか

ブラック企業では「精神論」を掲げていることがあります。無茶なノルマも「モチベーション次第でなんとかなる」と考えているのです。「気合ややる気があればできるはず」「できない人は根性が足りていない」といって具体的な解決法の提案や指導をしないケースもあります。

6.面接官が高圧的・横柄な態度ではないか

面接官が高圧的・横柄な態度を取る企業は、ブラック企業の可能性があります。本来、採用面接はお互いを理解するための場です。そのため、応募者を見下すような態度を取ったり無理な質問を投げかけたりする企業は、職場全体の雰囲気や人間関係にも問題があるかもしれません。

たとえば、「なんでうちを選んだの?」「その程度の志望動機で通ると思ってるの?」といった圧迫的な質問を繰り返すケースです。あるいは、こちらが話している途中で話を遮る、明らかに不機嫌な態度を取るなどの行動が見られた場合、その企業ではパワハラが当たり前になっている可能性もあります。

企業によっては「ストレス耐性を見たかった」と言う場合もありますが、面接であえて圧をかける企業文化そのものが健全とはいえません。面接官の態度は、職場の風土を映す鏡ともいえます。

就活エージェントを利用して確実な情報を得るのも手

就活エージェントでは、紹介先となる企業に実際に訪問している場合があります。その企業の雰囲気などを聞けるので、ミスマッチを防ぐのに有効です。

また、就職に関する相談も無料で対応してもらえるため、話を聞きに行ってみるのもおすすめです。企業には直接聞きづらいことも、エージェントを通してであれば聞きやすいでしょう。

ブラック企業の特徴については、「ブラック企業の特徴をつかんで徹底回避!」の記事も参考にしてください。

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ホワイト企業の見分け方

ホワイト企業もブラック企業と同じく定義があるわけではないものの、一般的には、働きやすさ・安心・成長環境がそろった職場のことを指します。

ここでは、ホワイト企業によく見られる特徴を6つまとめました。企業研究や説明会のチェックポイントとして、ぜひ活用してみてください。

基本給の水準が高い

基本給の水準が高い企業は、安定した経営と従業員を大切にする姿勢があるといえます。理由はシンプルで、高い給与を支払えるということは、企業に十分な収益や財務的余裕があるということ。特に、賞与や手当よりも、毎月の基本給がしっかりしているかが重要なチェックポイントです。

たとえば、「年収が高く見えるが、ほとんどが歩合制や成果報酬」といった求人は要注意です。ホワイト企業は、成果だけでなく安定的な収入を保証する仕組みを整えており、社員が長く働ける環境を作っています。

給与水準=企業体力のバロメーターともいえるでしょう。基本給の額や昇給実績を確認することで、その企業がホワイトかどうか判断するヒントになります。

サービス残業がない・残業時間が少ない

残業が少なくサービス残業がない企業は、働き方の改善が進んでおりホワイト企業といえるでしょう。一般的にホワイト企業では、月の残業時間が20時間以下であることが多く、業務量のバランスや仕事の進め方が効率的に整っています。

一人ひとりの負担が過剰にならないよう、組織全体で工夫しているのが特徴です。たとえば、定時退社が当たり前だったり、会議や報告の無駄を減らす工夫をしていたりと、時間を無駄にしない文化が根づいています。

さらに、労働時間をしっかりと記録・管理している企業は、サービス残業(=タダ働き)が発生しない仕組みを整備しているものです。

つまり、残業が少ない企業=社員の時間を大切にしている企業。プライベートと仕事を両立しやすく、長く働き続けたい人にとって理想的な職場環境だといえます。

有給休暇を十分に取得できる

有給休暇取得率が高い企業は、社員が安心して働けるホワイト企業といえます。有給が、制度としてあるだけでなく、「実際に取得しやすい環境がある=組織として社員の生活を尊重している」という証拠だからです。

ホワイト企業では、効率良く仕事を進める文化が根づいているため、誰かが休んでも業務が止まらない体制が整っています。たとえば、「年間で平均10日以上有給を取得している」「上司が積極的に取得を推奨している」といった環境があると、社員は気兼ねなく休めるでしょう。

一方で、ブラック企業では「制度はあっても、空気的に取りづらい」といったケースが多く、取得率は低い傾向があります。有給の取りやすさは、職場の雰囲気や人間関係にも直結する要素です。

企業説明会や口コミ情報を活用して、実際の取得状況を確認しておきましょう。

柔軟な働き方ができる

フレックスタイムやテレワーク、時短勤務など、さまざまな働き方に対応している企業はホワイト企業の可能性があります。多様な働き方に対応できる企業は、社員一人ひとりのライフスタイルや事情を尊重し、柔軟にサポートできる環境を整えているからです。

こうした制度があると、子育てや介護、自己成長の時間を確保しやすくなり、長く働き続けやすくなるでしょう。たとえば、テレワークを活用して通勤時間を減らしたり、フレックスタイムで自分のペースで仕事を進めたりすることができる環境は、現代の多様な働き方を反映しています。

また、このような制度を機能させるには、企業文化として多様性を受け入れる風土が必要であり、それがホワイト企業の証ともいえるでしょう。企業を選ぶ際は、「自分に合った働き方ができるか」を重視するのもポイントなのです。

福利厚生・教育研修が整っている

福利厚生・教育研修が充実している企業は、社員を大切にしている企業といえます。福利厚生とは、法定の最低限の制度に加えて企業が独自に提供するサービスや支援のこと。

たとえば、住宅手当や育児・介護支援、レジャー施設の割引制度などが該当します。また、教育研修が充実している企業は、社員のスキルアップやキャリア形成を支援する姿勢が強いといえるでしょう。OJTや集合研修はもちろん、資格取得支援や自己啓発補助があると、長期的に成長できる職場であるといえます。

こうした制度が整っていると、社員のモチベーションが高まり、離職率の低下や企業の競争力アップにもつながるでしょう。

人事評価制度の透明性が高い

人事評価の基準が明確で、公平に評価される仕組みがある企業は、社員の努力を正当に評価するためホワイト企業といえます。曖昧な評価制度では社員の不満や不信感がたまりやすく、長期的なモチベーションやキャリア形成に悪影響を与えてしまうでしょう。

一方、どのような成果や行動が評価されるのかが明確に定められていれば、社員は納得して働き続けやすくなります。たとえば、「評価基準が全社員に公開されている」「上司との定期的な面談でフィードバックがある」など、透明性の高い運用が行われている企業は安心できるでしょう。

また、評価が給与や昇進にきちんと反映される仕組みがあることで、頑張りが報われる環境=働きがいのある企業だといえます。評価制度の透明性は、信頼できる組織運営と健全な企業文化のバロメーターでもあるのです。

ホワイト企業の特徴や探し方を詳しく知りたい方は、「ホワイト企業とはどんな企業?特徴や探し方を解説」の記事も併せて参考にしてください。

ブラック企業に入社しないためにはもちろん、自分に合う企業を見つけるには企業研究と業界研究が欠かせません。「企業研究とは?目的や手順を解説!ポイントを押さえて就職成功を目指そう!」や「業界・企業・職種の研究はなぜ重要?就活を効率的に進めるための基礎知識」の記事を参考にして、気になる企業・業界への理解を深めてみましょう。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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