内々定や内定の取り消しにあう理由とは?

このページのまとめ

  • 内々定と内定の違いは、労働契約を交わしているかどうかにある
  • 内々定や内定の取り消しが認められるのは、採用内定取消の事由に該当する場合に限る
  • 内々定を取り消される場合に備えて、通知に関する記録を残しておくと良い


夏頃になると、「内々定もらった」という声が聞こえることがあります。内々定をもらったけど取り消しが不安…という方や、そもそも「内定」と「内々定」の違いが何か分からないという方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、内定と内々定の違いや内々定取り消しの理由、内々定取り消しを防ぐ方法などをご紹介します。

目 次
 

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「内々定」と「内定」はどこが違う?

「内々定」と「内定」の大きな違いは、労働契約が成立しているかどうかにあります。書類で「内定通知書」を受け取るまでは、まだ内々定なのだと思っていてください。
内々定から内定に切り替わる流れは、以下のとおりです。

・採用の連絡を電話かメールでもらう
・採用通知をもらう
・内定承諾書にサイン
・内定式

では、具体的に見ていきましょう。

内々定とは

内々定は、「内定前の内定」という意味で、卒業・修了年度の10月以前に、「10月以降に内定を出します」と口約束を交わしたようなものです。法的な拘束力はなく、この時点では労働契約は成立していません。特別な事情がない限り内々定を取り消されることは少ないとされていますが、この段階では企業が内々定を取り消すのも取り消さないのも自由です。あくまでも、「内定予定通知」と捉えておくと良いでしょう。内々定と内定を見極めるポイントは、内定通知書が来たかどうかです。書類で内定通知を受け取るまで、内々定だと思ってください。

内定とは

内定とは、「来年の4月1日から雇用します」という約束であり、労働契約の内容確認や、採用の準備期間のために設けられている仕組みです。内定は基本、卒業・修了年度の10月1日以降に通知する、と経団連のルールにより定められています。(2021年3月時点での情報)
これにより、内定通知後には、学生が企業から「採用通知」という書面を受け取り、学生が企業に「入社承諾書」を提出することによって相互に意思確認をし、労働契約が成立します。
その際に受け取る採用通知には、いつから働き始めるかといった条件や、内定を取り消す場合の取消事由などが書かれており、学生がその内容をふまえて入社を承諾するという一連の手続きをもって「内定」となります。

内定承諾書の提出をもって内定に

また、内定時に気をつけたいのが、内定承諾書の提出の有無です。内定の通知を受け取った後に、内定承諾書を提出していない、もしくはいつまで経っても承諾書をもらえない場合、内々定と同じ口約束の状態です。正式な契約には至っていないと判断され、内定としての効力は期待できないでしょう。

参照元
経団連
採用選考に関する指針

内々定と内定については「内々定が来た時のベストな対応は?電話やメールのマナー」や「内定を保留したいときは企業にどう伝える?適切な対応方法や例文をご紹介」も参考にしてください。

 

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内々定・内定を取消される理由とは

雇用関係が成立している内定の状態であっても、場合によっては取り消されることもあります。取り消しが適応されるのは、「就労始期付解約権留保付労働契約」に記載された「採用内定取消の事由」に該当するケースのみです。内々定においても、法的効力がないとはいえ、企業が気軽に取り消しを行うことはありません。なぜなら、人材の囲い込みを目的として内々定を出しているので、取り消しは確保した人材を失うことになるからです。
内々定・内定の取り消し理由となりうる事項は以下のものがあります。

学生側の理由

1.単位が足りずに卒業できない
2.経歴詐称していた
3.素行不良があった
4.健康上の問題が発生した
5.違法行為が発覚した
6.資格取得などの入社条件を満たしていない
7.書類の提出を怠った
8.内定予定通知への返事をしなかった

上記は、学生側に問題がある場合の理由です。4つ目の「健康上の問題が発生した」には重い病気や事故などに加えて、妊娠の発覚も含まれます。

企業側の理由

1.企業の業績不振による経営悪化
2.天災事変

内々定・内定の取り消しが有効とされるのは、これら双方の問題が、内々定・内定決定後に発覚した場合であり、内々定・内定通知を出す前にこれらの事由をまったく把握していなかったという事実の証明も必要です。さらに誰が見ても取り消しされても仕方がないと思う理由でないといけません。よほどのことがない限りは、内々定・内定を取り消されることはないということです。

業績不振と天災事変による事由に関しては、整理解雇に関する4つの要件も満たす必要があるため、内定取り消しの可否については状況判断となるでしょう。

 

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内々定の取り消しを防ぐ方法

企業の業績不振による経営悪化や天災事変での内々定の取り消しを防ぐことは難しいものですが、学生側の理由であれば注意をすることで防げます。ここでは内々定の取り消しを防ぐ方法をご紹介しているので、参考にしてください。

SNSで不用意な投稿をしない

SNSの影響力が大きい昨今、軽率な行動は批判の対象となる可能性があります。公開範囲を「友人・知人」に設定しているSNSでも、どんなルートで情報が漏れるかは分かりません。設定に関わらず、インターネット上に載せた情報は誰でも見ることができるという意識を常に持って利用しましょう。就活生の人となりを判断するために、企業側がSNSアカウントを検索している可能性は十分あります。SNSでの不適切な投稿を企業に確認されてしまった場合は信用を大きく落としてしまい、場合によっては内々定取り消しになることもあるので注意しましょう。

軽率な行動を取らない

SNSに載せなければ何をしても良いというわけではありません。特にお酒の飲み過ぎでのトラブルは起こりやすいので、羽目を外しすぎないよう注意が必要です。内々定の通知後に企業によっては懇親会が行われることがあります。その際の立ち振舞いにも気をつけましょう。

卒業単位を取得できるようにする

卒業単位が足りないというのは、内々定・内定の取り消しでよくある理由です。単位をきちんと取ることは学生として当たり前のことなので、就活と並行して勉強もしっかり頑張りましょう。

選ばれたという意識を持つ

内々定は必ず受けなければならないものではありませんが、内定同様に、選ばれたのだという意識を持つことも大切です。
もし、自らの意思で内々定を辞退する際には、必ず電話もしくはメールにて連絡を入れましょう。たとえ契約を交わしていない要件であっても、誠意を示すことが社会人としてのマナーです。

内定の取り消しについては「卒業できないと内定は取り消し?単位不足を防ぐには」も参考にしてください。

 

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内々定を取り消しされた場合の対処法

内々定に法的な効力はありませんが、一方的な取り消しは裁判に持ち込まれるケースもあるようです。もし、内々定の取り消しをされてしまったらどうすれば良いのかご紹介します。

内々定取り消しの流れ

内々定の取り消しは、企業からの一方的な通知によって成立します。ほとんどの場合が電話やメール、書類によって通知されます。従って、口頭(電話含む)で内々定を告げられた場合は、連絡内容と意思表示を明記したメールを必ず相手に送っておくと安心です。
内々定の通知は、内定とは違って書類を交わすことがないため、通知されたメールや通話の音声データ、書類などの「証拠」を残しておきましょう。内々定が通知された日付をしっかりと記録しておくことも大切です。これは、内々定の取り消しを防ぐ方法にもなります。

不当な理由の場合

内々定に法的効力はありませんが、悪質なケースでは企業側に損害賠償を請求できます。その際は、弁護士や労働基準監督、公共職業安定所などへ相談しましょう。

身に覚えがある場合は諦める

内々定の取り消しは簡単に行われるものではありませんが、自分の不注意から招いてしまうこともあります。その場合は潔く諦め、就活を再開しましょう。

本記事の執筆者

飯田有香(いいだ ゆうか)

新卒でレバレジーズ株式会社に入社し、「キャリアチケット」でキャリアカウンセラーをしながら、今までに200人以上の学生の就職先を支援。最近は、YouTubeチャンネル「就活トーク」の企画・出演などをしている。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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