リース業界の仕組みから動向まで!職種や就活のポイントも分かりやすく解説

このページのまとめ

  • リースとは、顧客が必要とする機械設備を代理購入して貸し出すサービスのこと
  • リースの形態には「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」がある
  • リース業界の職種には、「営業」「経理」「審査・法務」「資産管理」がある
  • リース業界の国内市場は近年頭打ちの状態だが、海外事業などで今後の発展が期待できる
  • リース業界へ就活では、動向の把握とリース業界の立ち位置を理解することが大切

リース業界の仕組みから動向まで!職種や就活のポイントも分かりやすく解説のイメージ

「リース業界」とよく耳にするけれど、その仕事内容や仕組みがいまいち良く分からないという就活生もいるでしょう。
このコラムでは、リース業界の基本的な知識や動向について詳しく説明します。さらにリース業界で活躍できる職種や就活に欠かせないポイントも解説。
コラムを参考にしてリース業界への知識を深め、就活に役立てましょう!

 

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リース業界の基礎知識

まずは、リースの意味やリース会社のシステムなどを解説します。基本的な知識を把握し、リース業界について理解しましょう。

リースとは?

リースとは、顧客が必要とする機械設備を代理購入して、貸し出すサービスのこと。
貸与する機械設備は、オフィスで使うパソコンやコピー機をはじめ、不動産、航空機、船舶などさまざまです。このような機械設備のほかにも、環境エネルギーや公的機関などの分野へも介入しています。

リース会社の仕組み

リース会社は、購入した設備を貸し出す際の手数料をもとにビジネスを行います。
基本的な流れとしては、機械設備を導入したい顧客が、自ら導入する設備を選定し、リース会社と契約を締結。リース会社はこの設備を購入して顧客に貸出し、月々の利用料を支払ってもらうという仕組みです。

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リースの2つの形態

リースの方法は、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つの形態に大別できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.ファイナンス・リース

ファイナンス・リースでの取引は、中途解約不可であり、故障した際の費用は使用する側が負担することになります。つまり、リースという名前でありながら、その実態は「お金を借りて設備を購入し、それを使用しながら返済している」状態ということです。
このファイナンス・リースは、リース契約満了と同時に所有権が使用者側に移る「所有権移転ファイナンス・リース取引」と、リース契約が満了しても所有権はリース会社が保有する「所有者移転外ファイナンス・リース取引」があります。「所有者移転外ファイナンス・リース」の場合は、契約期間終了後も使用を希望するなら、再リース料や買取費用が発生する点が異なります。

2.オペレーティング・リース

オペレーティング・リースは、ファイナンス・リースとは異なり「借りているだけ」の取引です。使用者側は契約期間に応じた使用料を支払い、期間満了したら設備は返却します。実際に所有しているわけではないため、設備が故障した場合にかかる費用などを負担するのは、貸している側であるリース会社です。
また、この取引は、返却された設備の売却を前提としているため、対象物件は中古でも値がつくものに限定されているのが特徴。具体的には、自動車や建設機械、航空機などがオペレーティング・リースで取引されます。

 

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リースのメリット

リースは顧客となる企業側にも、設備投資にかかる支出や労力の面で大きなメリットをもたらします。
顧客の需要を上手く汲み取った仕組みだからこそ、リース会社は利益を生み出すことができるのです。リースが顧客企業にもたらすメリットは以下のとおりです。

設備投資のための多額の支出が不要

リースであれば、月々の使用料を支払うことで必要な設備を使えるため、一度に多額の支出をせずに済みます。
企業が事業を行うためにはさまざまな設備が必要になりますが、そういった資材をすべてそろえるには、金銭的な負担が大きくなります。また、事業の状態によって必要なものが変わった場合、それらをいちいち購入していては財政を圧迫してしまうでしょう。企業はリースを利用することで、設備投資のためにかかる多額の支出を抑え、効率的にほかの投資に回すことができるのです。

設備投資にかかる労力の軽減

リースを利用すれば、設備投資にかかる労力を軽減することができます。
たとえば、物を購入すると保険の手続きや使用後の廃棄など、面倒な手続きを取らなければなりません。しかし、リースを利用すればこれらをリース会社にアウトソーシングできます。

 

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リースとレンタルの違い

リースとレンタルの違いは、「対象物」と「契約期間」にあります。
混同しがちなリースとレンタル。その違いについて見ていきましょう。

対象物

リース会社は、顧客が指定したものを新たに購入して貸し出します。
一方、レンタル会社が貸し出すものは自社が保有する在庫です。1つのものを複数の個人または企業が反復して使用するため、ほとんどの場合中古品になります。

契約期間

リースの場合、約3年~10年と長期間にわたる契約が基本ですが、レンタルの多くは最短1日~と比較的短期間の契約になります。また、リースは形態によっては中途解約が原則不可となりますが、レンタルの場合、多くは中途解約可能です。

 

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リース業界の4つの職種

リース業界の職種は大きく分けて「営業」「経理」「審査・法務」「資産管理」の4つが挙げられます。それぞれの業務内容について解説します。

1.営業

営業の業務は、顧客となる企業や個人にリース契約を販売することです。
リース契約を販売するためには、顧客の課題をヒアリングし、課題解決のための方法を提案する能力が必須。また、高いコミュニケーション能力も求められます。
リース会社の営業は、販売のほかにも、市場のニーズから新規のリース商品を開拓する、マーケティングとしての役割も担うことが多いようです。

2.経理

リース会社における経理は、従業員の給与計算や決済といった通常の経理業務以外にも、リース契約に関わる税務処理を行います。そのほか、契約書の作成を任されることもあるようです。
そのため、リース契約に伴う法律や税制などの専門知識や、会社の経営を維持・向上させるための税務知識が求められます。

3.審査・法務

審査・法務は、リース契約を結ぶにあたって、契約者が信用に値するかを審査する与信業務を行います。
リース契約をした相手や、経営難や経営破綻などに陥り支払い能力を失った場合、リース会社は大きな損害を被ることに。そのような事態を防ぐために、契約相手の経営状態や財務状況を詳しく調査し、契約を締結しても問題ないか確認する必要があります。
審査・法務職は、リース会社の中でも金融業の側面が強い職種でもあるため、財務知識や能力が必要でしょう。与信業務を的確にミスなく行うスキルも求められます。

4.資産管理

資産管理が行うのは、リースで使用する商品の契約延長や終了、廃棄などの管理業務です。
リース会社では、資産であるリース品が有効に使われずに廃棄となれば、損失につながります。一方で、リースの契約が延長になったり、契約終了になった商品を中古市場に上手く回したりすることができれば、会社の利益に。資産管理職が行う商品の運用が会社の利益を大きく左右するのです。
資産であるリース商品を守りながら、利益を上げるために上手く運用するスキルが必要でしょう。

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リース業界の動向

リース業界は、国内市場は頭打ち状態になっており、今後は海外事業や新たな成長分野の開拓がカギとなるといわれています。大手企業も生き残りをかけて業界再編を繰り返しているのが現状です。
リース業界の動向について、詳しく見ていきましょう。

国内市場は頭打ちの状態

国内では、リースへの需要は保っているものの、取扱高が伸び悩む状況が続いています。
主な原因は、リース業は設備を貸与することによって利益を得ているため、景気に左右される傾向が高いこと。さらに近年は、民間企業の設備投資が低迷している影響もあるようです。
国内のリースの需要と取扱高は以下のとおりです。

リースの需要

公益社団法人リース事業協会が2021年1月に公表した、リース需要動向調査報告書によると、「現在リースを利用している」企業は87.6%となっています。これは2020年に調査されたもので、過去のデータと比較するとやや低下しているものの、リース利用率は安定して9割前後をキープし続けていることがわかります。
また、「リース利用設備」の割合をみると、リースで導入した設備で特に多かったのは、コピー機などの事務機器を含む情報通信機器が80.0%、次いで自動車などの輸送用機器で57.5%でした。

参照元
公益社団法人リース事業協会 - リース需要動向調査報告書(p.2~3) 

リース取扱高

2020年5月に公益社団法人リース事業協会が公表したリース統計によると、2019年度の取扱高は5兆3,331億円で、前年度に比べ6.4%減増加しています。
しかし、過去のデータから推移を見てみると、ピークの1991年には8兆8,016億円だった取扱高が、2008年のリーマンショックの影響により6兆564億円まで下降。さらに、会計基準が変更になったことから、2010年には4兆5,553億円にまで下がり、以降はほとんど横ばいとなっています。

参照元
公益社団法人リース事業協会 - リース統計 (2019年度) 

積極的な海外展開にシフトチェンジ

国内市場の伸び悩みを受け、積極的な海外展開で市場拡大を行う企業が増加傾向にあります。
これまで海外展開を行う企業が多く行ってきたのは、海外進出する日本企業を顧客として商品をリースする手法。しかし、今後は、貨車やエンジンなどを専門に扱う海外のリース会社の買収や、現地企業と組んで、現地のニーズに合わせた新たなリース事業を展開する企業も増えていく見通しです。

業界再編と新たな事業展開

リース業界では、大手企業が生き残りをかけた業界再編を繰り返しています。
また、環境や医療・介護分野といった新たな分野に踏み込み事業展開を行う企業も。
業界全体としては、豊富な技術や知識を持つ他業種と組むことで、リース事業に新たな価値を生み出し、国内・海外問わず新しいビジネスモデルを構築しようという流れもあるようです。
リース業界は、アイデア次第で今後の発展が期待できる業界と言えるでしょう。

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リース業界の就活の3つのポイント

リース業界への就職を志望する際に、欠かせないポイントを解説します。
ポイントを押さえて、リース業界への就活に臨みましょう。

1.リース業界の立ち位置を理解する

志望動機に説得力をもたせるには、金融業界の中でのリース業の立ち位置を理解しておくことが重要なポイントです。金融取引的性格が強いリース業は、金融業の一種に分類され、金融系の大手グループに属する企業が多くなっています。
また、「なぜリース業なのか」を説明できるようにしておくことも大切です。

2.企業ごとの強みを把握する

リース業界を志望した上で、なぜ該当企業なのかも伝えられるようにしておきましょう。
船舶や航空機に強い、海外事業が伸びているなど、企業ごとの強みを把握して、それに沿った志望動機や自己PRをすることで採用担当者に響きやすくなります。

3.応募する企業の選び方

リース業界は、業界再編が進んでいるため、動向に注目し成長企業を見極めることが重要。
また、企業の社風や待遇、スキルアップといった基本的な部分も確認しておくと良いでしょう。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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