このページのまとめ
- ホテル業界の業績は、景気や国際情勢に大きく左右される
- 近年、外国人旅行客の増加や東京五輪開催の影響でホテルの建設ラッシュが続いた
- ホテル業界の課題は、人手不足やホテル同士の価格競争など
- ホテルには、シティホテルやビジネスホテルなどの種類がある
- ホテル業界には宿泊部門や料飲部門などがあり、仕事内容は部門によって異なる
華やかなイメージのあるホテル業界は、憧れる人が多いといわれる職業の1つです。しかし、中には「客としてホテルを利用することはあるが、業界のことは詳しく知らない」という人もいるのではないでしょうか。このコラムでは、ホテル業界の動向や仕事内容について解説。近年、訪日外国人の増加やシニア層の旅行ニーズ拡大といった影響から、国内ホテルの需要が高まっています。ホテル業界の知識を深め、就活に役立てましょう。
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ホテル業界の動向
景気や世界情勢によって、売上が大きく左右されるホテル業界。
2010年代に入った頃から、中国や台湾、韓国といったアジア圏を中心とした訪日外国人旅行者数の増加により、ホテル業界の売上が大きく増加したといわれています。JNTO(日本政府観光局)が公開している「年別 訪日外客数、出国日本人数の推移(1964年‐2019年)」によると、2012年から2019年までの間、訪日外客数は年々増加。その背景には、円安やビザ発給要件の緩和、外国人向けサービスの充実化といった要素が関係しています。
また、2020年に開催予定とされていた東京五輪の影響を受けて、日系・外資系を問わず相次いでホテルがオープンするという事例もありました。今後も、ホテル業界は時代やニーズに合わせたサービス展開を繰り返しながら成長していくことが予想されます。
参照元
日本政府観光局
年別 訪日外客数 出国日本人数の推移
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ホテル業界の課題
ホテル業界が抱える課題としては、人材不足や業界内の価格競争が挙げられます。以下、詳しく見ていきましょう。
人材不足
近年、ホテル業界では離職率の高さが問題となっています。
厚生労働省発表の「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」内にある「表4 産業別入職者・離職者状況」によると、2019年における産業別労働移動率は、入職者・離職者ともに宿泊業・飲食サービス業が最も高いという結果に。
人材の定着率が低い原因の1つとして、長時間勤務や不規則なシフト、休日の少なさといったハードな勤務体制が挙げられています。その対策として、一部のホテルではIT化・機械化による業務効率の向上や、勤務体制の見直しといった取り組みを始めているようです。
また、今後さらなる増加が予測されている外国人旅行客に対して、英語や中国語、韓国語などの外国
語に対応できる人材の確保も求められています。
ホテル同士の価格競争
前項で触れたホテル建設ラッシュの影響もあり、ホテル同士の競争が激しくなっています。価格競争にまで発展した場合、収益性の低下も懸念されるでしょう。
また、宿泊ニーズの受け皿として、一般の民家に宿泊する「民泊」への関心が高まり始めているのも特筆すべきポイント。民泊の利用が一般的になれば、ホテル業界にとってはライバルになる可能性も考えられます。
参照元
厚生労働省
2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況
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ホテルの種類
一口にホテルといっても、立地やサービス、ターゲット層によって特徴はさまざまです。ホテル業界への就職を希望する際は、「どのようなサービスを提供するホテルで働きたいか」を決めておくと、志望企業を選定しやすいでしょう。以下、どのようなホテルがあるのかを種類別に説明します。
シティホテル
都市の中心部に多く立地しているシティホテル。ツインルームをメインに、スタンダードルームやスイートルームなどが揃っています。
宿泊部門以外にも、飲食部門や宴会部門といった収益の柱となるサービスがいくつも存在しているのが、シティホテルの特徴です。レストランやバーといった飲食店を運営しているホテルが多く、中にはスポーツジム、美容室、フラワーショップがテナントとして入居しているケースも。結婚式場や、大人数を収容できる宴会場が設けられているホテルもあります。
ビジネスホテル
ビジネスホテルは、繁華街や駅前など、アクセスが良いエリアに数多く立地しています。
宿泊に特化したサービスを提供しているのが特徴で、基本的にシングルルームがメイン。ホテルによっては、喫茶店やバーが併設されている場合もあります。
また、シティホテルと比較すると、サービスやアメニティ必要最小限となっており、リーズナブルな価格で宿泊することが可能。ビジネスパーソンを中心に広く利用されているホテルです。
リゾートホテル
リゾートホテルとはその名のとおり、リゾート地にある宿泊施設のこと。
海や山などの自然豊かなエリアや観光地に立地していることが多く、カップルや家族連れ、社員旅行などに利用されているのが特徴です。
シティホテルと同様のサービスを提供するリゾートホテルは、心と身体をリフレッシュできる場として利用されています。
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ホテル業界の仕事内容
この項目では、ホテルスタッフが行っている主な業務について、部門別に説明します。
数あるサービス業の中でも高いレベルだといわれている、ホテル業界の接客サービス。業務を通じて、質の高い接客や丁寧な所作、ビジネスマナー、コミュニケーション能力など、一生使えるスキルを習得できるのが魅力です。
宿泊部門
宿泊部門では、宿泊客への対応を中心とした以下の業務を行っています。
フロントをはじめとする宿泊部門は「ホテルの顔」ともいわれており、人気がある仕事の1つです。
フロント
宿泊客のチェックイン、チェックアウト手続きや宿泊予約管理、会計業務などを行います。
コンシェルジュ
レストランやレンタカーをはじめとする各種予約、ホテル内での問い合わせ業務など、利用客のあらゆるリクエストに対応します。
ベルパーソン
ロビーに待機し、チェックインされた宿泊客を客室まで案内します。
ドアマン
ホテル正面玄関に待機し、車のドアやエントランスのドアを開閉しながら利用客をスムーズに送迎します。
ハウスキーピング
客室内の清掃やベッドメイキング、備品補充、メンテナンスなどを行います。
料飲部門
料飲部門は、ホテルの利用客へ食事や飲み物を提供する部門です。
ホテルによっては、オーダー取りをウェイターやウエイトレスではなく、オーダーテイカーという専門スタッフが行う場合もあります。
ウェイター/ウエイトレス
レストランのホール内でメニューの説明やオーダー取り、料理の提供、バッシングを行います。
レシェプショニスト
お出迎えをはじめ、客席への案内や予約受付、会計業務を行います。
ルームサービス
利用客から電話の食事注文を受け、客室へ届けます。
宴会部門
宴会や結婚式などの接客サービスや、予約手配を担う部門です。
宴会予約
予約を受けた宴会や結婚式の準備をします。演出や進行、料理の内容など、イベント全般に関わる仕事です。
宴会サービス
会場の設営や当日のオペレーション、接客サービスを担当します。
クローク
ホテルの入口やレストラン、宴会場などの近くで、利用客の手荷物を一時的に預かります。
管理部門
宿泊部門や料飲部門と比べて接客業務の少ない部門ですが、ホテルを裏で支える重要なポジションです。
主に、以下の業務を行っています。
営業
自社ホテルを利用してもらうために、企業や団体、旅行代理店へイベントやプランをセールスします。
企画
市場調査や顧客分析を行い、イベントや宿泊プランを企画します。
広報
ホテルのPRを目的に、テレビや雑誌といったメディアとのやりとりを行います。
ホテル業界の志望動機の書き方については「ホテル業界の志望動機の書き方!未経験でも作れる職種別の例文も紹介」も参考にしてください。
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ホテル業界で使われる5つの専門用語
この項目では、ホテル業界で使われている専門的な言葉をご紹介します。ホテル業界に興味がある人やホテルへの就職を考えている人は、ぜひご覧ください。
1.ウォークイン
予約を入れず、直接ホテルに行き宿泊する利用客のこと。割引価格が適用されないため予約ありの場合と比べて割高になるほか、デポジット(預り金)が必要なこともあります。
2.オーバーブッキング
予約は取れているにも関わらず、満室で部屋が用意できない状態を指す用語です。
オーバーブッキングが起きた場合、ホテル側が同等かそれ以上のホテルを用意し、予約客に移動してもらうという対応を取ります。
3.シングルユース
ツインルームやダブルルームを、1人の客が利用することを指す言葉です。ホテルの宿泊料金は一室あたりで設定されていることが多いので、宿泊客が1名でも料金は2名利用時の料金が適用されます。
4.ノーショウ
予約をしていた利用客が、キャンセルの連絡もせず現れないことを指す言葉です。
民泊やゲストハウスなどの小規模宿泊施設が増えている現在、ノーショウはホテル業界で重要な問題として取り上げられています。ホテルによってはキャンセル料を請求することもあるようです。
5.ラック・レート
割引が適用されていない、正規の客室料金を指します。パンフレットに記載されている価格や、ホテルに問い合わせた際に伝えられる価格はこの料金です。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。