このページのまとめ
- ベンチャー企業を中小企業と定義した場合、約25%の会社がボーナスを支給していない
- ボーナスがない代わりに月給が高く、年収単位では大手企業と遜色ない企業もある
- ボーナスの有無だけでなく、企業の業績やキャリアプランを考慮した企業選びが重要
事業内容や自由な風土に魅力を感じ、ベンチャー企業を志望する就活生は多いのではないでしょうか。とはいえ、就職後の後悔を防ぐためには、給与面についてもリサーチが必要です。
この記事では、ベンチャー企業のボーナス事情について詳しく解説します。ベンチャー企業でボーナスが支給されない事情や、支給状況や平均支給額のリアルな実態についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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- ベンチャー企業はボーナスなし?支給状況を解説
- ベンチャー企業におけるボーナス事情
- ベンチャー企業の定義
- 一般的なボーナスの定義
- ベンチャー企業でボーナスが支給されない4つの事情
- インセンティブ制度を導入している
- ベースの基本給が高い場合もある
- 金銭以外の報酬を用意している
- 株式でお得な施策を導入している
- ベンチャー企業のボーナス平均支給額
- 夏季賞与の平均支給額
- 年末(冬季)賞与の平均支給額
- 新入社員のボーナス平均支給額
- 本当にボーナスは必要?ベンチャー企業の魅力3選
- 新入社員でも意見が反映されやすい
- 成長機会に恵まれている
- 経営陣との距離が近い
- 志望するベンチャー企業を選ぶ際のポイント3選
- 企業の業績をチェックする
- キャリアプランを考えておく
- 入社した場合の推定年収を計算しておく
- ボーナス支給を期待できるベンチャー企業に就職したい学生へ
ベンチャー企業はボーナスなし?支給状況を解説
ベンチャー企業と一口にいっても、業界や規模はさまざまです。そのため、ボーナスの有無を一概に定義づけることはできません。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)」によると、5〜29人の従業員を雇う事業所における令和4年の夏季賞与(令和4年6月~8月に支給された賞与)の支給率は63.2%、30〜99人の場合、88.7%という結果でした。
また、同調査の「令和5年2月分結果速報等(13p)」によると、5〜29人の従業員を雇う事業所における令和4年の年末賞与(令和4年11月~令和5年1月に支給された賞与)の支給率は67.3%、30〜99人の場合、90.1%という結果でした。
一方、500人以上の従業員を雇う事業所におけるボーナス支給率は、夏季賞与で96.5%、年末賞与で97.4%と非常に高い水準を誇っています。
上記の結果から、多くの大企業がボーナスを支給しているのに対し、ベンチャー企業を従業員数5〜99人の中小企業と定義した場合、約25%※がボーナスを支給していないことがわかります。
※
ベンチャー企業における夏季賞与の支給率:(63.2+88.7)÷2=75.95%
ベンチャー企業における年末賞与の支給率:(67.3+90.1)÷2=78.7%
なお、上記のデータにはベンチャー企業以外の中小企業も含まれているため、実際の支給率はもう少し低下すると予想できます。一説では、40%近くのベンチャー企業がボーナスを支給していないともいわれているようです。
参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)
毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)
ベンチャー企業におけるボーナス事情
ベンチャー企業のボーナス支給事情がシビアになっている背景には、原資確保体制が影響していると考えられます。
ベンチャー企業の場合、ベンチャーキャピタルのような投資機関からの資金援助を受けて運営が成り立っています。当然ながら業績が上がらないうちは、経済的なゆとりが少ないケースも多く、社員にボーナスを支給するだけの余力が残されていません。
そのため、大手企業のような確固たる土台がないベンチャー企業の場合、ボーナスが支給されないケースも増えてしまうのです。
なお、ベンチャー企業では、ボーナスの有無が業績に左右されるケースもあります。
ボーナス支給が業績に連動するベンチャー企業の場合、状況次第で大きなリターンを期待できる可能性もあります。実際に知名度、業績ともに大手企業と遜色ないほど成長したベンチャー企業もあるため、会社の利益に貢献すればするほど、見返りを期待できる環境ともいえるでしょう。
ベンチャー企業の定義
ベンチャー企業に明確な定義はありませんが、一般的には新規事業やこれまでなかった新しいサービスを提供している新興企業として認識されています。
また、成長過程の新興企業ということもあり、ほとんどのベンチャー企業が従業員100名以下の中小企業である点も大きな特徴です。
ベンチャー企業はさまざまな業界に存在していますが、最先端技術を取り扱うIT・Web関連の会社に多い傾向があります。ほかにも、工業・エネルギー業界や人材業界、不動産業界などでも、新規サービスを提供するベンチャー企業が増えています。
なお、ベンチャー企業の概要については「ベンチャー就活完全マニュアル」も参考にしてください。
一般的なボーナスの定義
ボーナスとは、定期給与が支払われる労働者に対して、臨時で支給される報酬のことです。
なお、ボーナスの有無や金額は、会社の方針や業績によって変動し、法的に支給が義務付けられているわけではありません。企業の募集要項に「賞与△△ヶ月分」と記載されていたとしても、必ず支給されるわけではない点は覚えておきましょう。
一般的にボーナスのある企業の場合、夏と冬の年2回、基本給の1〜2ヶ月分の金額が支給されます。ただし、ボーナス支給額の決め方や評価基準は会社によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
ボーナスの基本的な概要や支給時期については「初めてのボーナスはいくらもらえる?相場と支給日を解説」も参考にしてください。
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ベンチャー企業でボーナスが支給されない4つの事情
ベンチャー企業のなかには、業績に関わらずボーナス制度を導入していないケースもあります。そのような企業の場合、会社の制度的にボーナス支給が難しかったり、別の形で従業員に還元していたりなど、相応の事情があります。
ベンチャー企業でボーナスが支給されない4つの事情を具体的に解説するので、志望する企業を選定する際の参考にしてください。
インセンティブ制度を導入している
ベンチャー企業の場合は、ボーナスを支給しない代わりに、インセンティブ制度を導入しているケースがあります。
インセンティブ制度とは、業績利益に貢献した社員に給与以外の成果報酬を与える制度です。企業によっては、歩合制や出来高制と表現する場合もあります。
インセンティブ制度の仕組みは非常にシンプルで、実績を上げた社員に、一定割合のインセンティブ報酬が支給されます。
なお、インセンティブ報酬は基本給にプラスされる形で、毎月支給されるのが一般的です。ただし、その分、基本給は低めに見積もられているケースもあるため、成果を出せないと年収は低水準になりやすいです。
インセンティブ制度のおもな評価基準は、業績や成果であり、社歴・年齢は考慮されません。そのため、会社の業績に貢献できれば、新入社員が高額な年収を得られるケースもあります。
頑張った分だけ見返りがあれば、社員としてもやりがいがありますし、企業側も成果を上げた分だけ利益を得られるため、win-winな関係性を構築できる制度です。
ベースの基本給が高い場合もある
定期給与の形式は企業によって異なりますが、一般的なボーナスの支給額は、月給の1〜2ヶ月分といわれています。
そのため、ボーナスを支給している会社では、社員の年収を定めたうえで14〜16ヶ月に配分し、2〜4ヶ月分をボーナス支給時に上乗せする(夏と冬で1〜2ヶ月分ずつ)という形を取るのが一般的です。
一方、ボーナスが出ないベンチャー企業の場合は、年収を12ヶ月分で配分するため、そもそもの月給が高く設定されているケースもあります。
たとえ、ボーナスが支給されなかったとしても、年収単位で考えたときに金額が変わらなければ、大きなデメリットにはなりません。
エントリーする企業を選ぶ際、待遇面を重視したいのであれば、ボーナスの有無に固執するのではなく、年収単位で比較検討するように心がけましょう。
なお、ベンチャー企業の年収については「ベンチャー企業の年収はどれぐらい?大手企業と比較解説」も参考にしてください。
金銭以外の報酬を用意している
ベンチャー企業では、金銭以外で特別な報酬を支給しているケースもあります。代表例としては、ボーナスを支給する代わりに旅行へ連れて行ってくれる「報酬旅行」が挙げられます。
報酬旅行の支給基準は会社によって異なり、全社員とその家族も含めて旅行に連れていってくれるケースもあれば、目標となる成果を達成した社員のみ参加できるケースもあるようです。
なお、報酬旅行は旅行好きな人であれば嬉しい報酬になり得ますが、「会社で旅行に行っても楽しくない」といった考え方の人だと、魅力を感じづらい制度といえます。
また、金銭的な賞与がもらえない場合は、頑張っても直接的な年収アップにはつながらないため、比較的モチベーションを維持しにくい環境といえるでしょう。
ベンチャー企業の福利厚生事情については「独特な制度もある!ベンチャー企業の福利厚生事情とは」も参考にしてください。
株式でお得な施策を導入している
ベンチャーに含まれるスタートアップ企業などでは、ストックオプション制度を使ったり、社員に新株予約権を与えたりなど、株式で還元しているケースもあります。
いずれ会社が大きく成長し、上場した場合、低コストで大きなリターンとなる可能性も高いため、会社の将来性に賭けてみるのもひとつの選択肢です。
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ベンチャー企業のボーナス平均支給額
ベンチャー企業への就職を視野に入れている就活生のなかには、ボーナスが支給される場合の平均支給額が気になっている人も多いのではないでしょうか。
そのような学生のために、夏季・年末賞与、新入社員の場合の3パターンにわけて、ベンチャー企業のボーナス平均額を解説します。
なお、ボーナスの平均支給額については「ボーナスの平均額はいくら?伸び率まで業界別・企業別・年齢別に解説!」も参考にしてください。
夏季賞与の平均支給額
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)」によると、5〜29人の従業員を雇う事業所における令和4年の夏季賞与(令和4年6月~8月に支給された賞与)の平均支給額は「264,470円」、30〜99人の場合は「336,960円」でした。
なお、同資料によると、令和4年の夏季賞与における業種・事業所規模計の平均支給額は「389,331円」であり、ベンチャーを含む中小企業の支給額は比較的低水準であることがわかります。
引用元:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)」
参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)
年末(冬季)賞与の平均支給額
厚生労働省の「令和5年2月分結果速報等(13p)」によると、5〜29人の従業員を雇う事業所における令和4年の年末賞与(令和4年11月~令和5年1月に支給された賞与)の平均支給額は「274,651円」、30〜99人の場合は「354,645円」でした。
なお、同資料によると、令和4年の年末賞与における業種・事業所規模計の平均支給額は「392,975円」でした。
上記の結果からも、ベンチャーを含む中小企業のボーナス支給額は、平均的に低い傾向があるといえます。
引用元:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)」
参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)
新入社員のボーナス平均支給額
産労総合研究所が発表した「2023年度 決定初任給調査」によると、大学卒を対象とした夏季賞与の平均支給額が「96,732円」なのに対し、従業員数が299人以下という括りでは「87,972円」でした。
引用元:産労総合研究所「2023年度 決定初任給調査」
上記の結果から、従業員数100人以下の企業の場合、平均支給額はさらに低水準になることが予想できます。
なお、新入社員の場合、初年度からボーナスを満額貰えるわけではなく、寸志という少額の賞与が支給されるケースが一般的です。
参照元
産労総合研究所
2023年度 決定初任給調査
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本当にボーナスは必要?ベンチャー企業の魅力3選
ボーナス支給の面ではシビアであっても、ベンチャー企業はそれを補う魅力を持っています。ベンチャー企業で働くことの魅力を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
新入社員でも意見が反映されやすい
大手企業と違って、ベンチャー企業では年齢や勤続年数に関わらず、新人であっても発言権を持つ場合が多く、有用な意見であれば取り入れられる傾向があります。
職場環境やビジネスフローなどで改善点を見出した際にも、相談しやすい風通しのよさがあるといえるでしょう。
成長機会に恵まれている
ベンチャー企業は多くの場合、少数精鋭です。そのため、社員一人ひとりの業務の幅が広く、さまざまな仕事を並行して行う傾向があります。
さらに、スピードを求める傾向にあるため、業務をこなしていく間に自ずとスキルアップしていけます。若いうちから責任ある仕事を任されることもあり、成長の機会に恵まれているといえるでしょう。
経営陣との距離が近い
社員数が少ないベンチャー企業では、大手企業と比べて会社を経営するコアメンバーとの距離感が近い傾向にあります。
会社のトップの才能や知見を間近で見られる機会が多く、将来のキャリアプランを見据えた貴重な経験を積める環境といえるでしょう。
なお、ベンチャー企業の魅力については「ベンチャー企業への就職は不安?それとも魅力的?」も参考にしてください。
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志望するベンチャー企業を選ぶ際のポイント3選
ベンチャー企業の場合、ボーナスが支給されなくても年収は変わらない企業もあれば、ボーナス以外の施策を打ち出しているケースもあります。
たとえ、ボーナスが出なくても満足できる企業を選ぶために、以下で紹介する3つのポイントを意識しましょう。
企業の業績をチェックする
志望する企業を研究する際には、事業内容とともに会社の業績についても調べておくべきです。
しかし、ベンチャー企業の多くは非上場企業に該当し、IR情報を公開している上場企業と比べて、社外の人間が財務状況を把握するのは難しいといわれています。
とはいえ、就職先の将来性を確認するための重要な作業ですので、以下のような方法を用いて、入念なリサーチを進めましょう。
・官報や企業のWebサイトから「決算公告」を調べる
・大学図書館などで、未上場会社版の会社四季報を調べる
・民間調査会社を活用する など
各資料のなかで特に注目するべきポイントは「売上高」と「営業利益率」です。売上高は直近の売上推移についてを示し、「営業利益率」は利益の推移の変化を示しています。
また、ほかの企業との比較、大手なども含めた業界全体における利益的な位置づけなどを把握したうえで、企業の経営状態の概要をチェックしましょう。
参照元
金融庁
EDINET
キャリアプランを考えておく
ベンチャー企業を志望する際には、キャリアプランを明確にしておく必要があります。
ベンチャー企業は、大手企業のように社員を生涯雇用し続ける体力を持っていないことがほとんどです。したがって、「安定した会社でゆっくりとキャリアを積みたい」と考えている人には向いてないでしょう。
一方、以下のような考え方を重視する学生の場合、ベンチャー企業に向いているといえます。
・推定年収が高い企業より、魅力的な事業内容の会社で働きたい
・専門職に就くための下積みとしてさまざまな業務を経験したい など
自分なりのメリットや目的を考慮したうえで、どのような働き方がしたいのか、その企業でいつまで働きたいのかなど、具体的な将来設計を組み立てましょう。
入社した場合の推定年収を計算しておく
就活における企業選びのなかで、待遇面を重視したい場合は、事前に推定年収をシミュレーションしておくべきです。特に、ベンチャー企業の場合は、企業の経営状態によって推定年収が大きく変動しやすいため、入社前に目安を把握しておくと安心です。
具体的には、企業の求人情報から入社後の固定給とボーナスの支給額などを算出するとよいでしょう。近い将来の年収と、将来的な年収をいくつかのケースにわけて想定しておくと、入社後の待遇面におけるミスマッチを減らせます。
なお、想定年収を計算する際は、固定給とボーナスそれぞれにおいて、社会保険料や所得税を控除した手取り額を算出する必要があります。
推定年収を算出するために、固定給とボーナスの計算方法については「初任給とは?基本給や手取りとの違いを解説」「ボーナスの計算方法とは?パターン別手取り額のシミュレーションも紹介」も参考にしてください。
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ボーナス支給を期待できるベンチャー企業に就職したい学生へ
ベンチャー企業を志望するうえで、ボーナス支給などの待遇面を重視したい学生の場合、できるだけ財務状況に余裕のある会社へ就職するのが望ましいです。しかし、一説では「10年継続する会社は約6%しかない」といわれるベンチャー業界で、将来性のある会社を見極めることは簡単ではありません。
志望するベンチャー企業の選定でお悩みの学生は「量より質」の新卒就活エージェント「キャリアチケット」に相談してみてはいかがでしょうか。
キャリアチケットでは、専任の就活アドバイザーによる丁寧なカウンセリングを実施し、あなたに合った理想的な企業をご提案します。入念なリサーチから、数年後を見越して活躍できるベンチャー企業の紹介も可能です。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。