映画業界の現状と今後の動向は?就活事情や志望動機を作成するコツも解説

このページのまとめ

  • 2023年度の映画の興行収入は歴代5位の実績で、スクリーン数も年々増加している
  • 動画配信サービスの広がりによって、映画業界に大きな変化が起こりつつある
  • 映画業界に就職するためには、志望理由を明確にしてしっかりと選考対策する必要がある

映画業界の現状と今後の動向は?就活事情や志望動機を作成するコツも解説のイメージ

映画を楽しむうちに、「映画業界で働いてみたい」「映画業界について詳しく知りたい」などと憧れや熱意を抱く就活生も多いでしょう。就職難易度が高いとされる映画業界を志す場合、まずは業界について理解を深めることが大切です。

この記事では、映画業界の現状や課題、どのような企業があるかなどを解説します。最後まで読めば、映画業界の将来性を理解したうえで、効果的な志望動機を書けること間違いなしです。

映画業界の就活について相談したい

   
目 次

映画業界は「製作」「配給」「興行」の業態がある

映画作品が映画館で上映されるまでには、映画を作って作品を映画館に持って行き、宣伝して上映するというのが、大まかな流れです。

映画業界は「製作」「配給」「興行」の業態があり、アパレル業界にたとえるなら、「製作」が洋服を手がけるメーカー、「配給」がメーカーと店舗を仲介する卸売業、「興行」が店舗に該当します。

以下で、映画業界の業態を詳しく解説するので、参考にしてください。

映画製作会社

映画製作会社のイメージ

映画製作会社は、映画が完成するまでのプロデュース業務を行う会社です。具体的には、下記を決める役割を担います。

・誰に対して(ターゲット層)
・いつ(なぜ今その映画を制作するのか)
・どこで(どの映画館で上映するのか)
・誰が(どのスタッフとキャストで撮影するのか)
・どのような(映画の内容)

なお、映画を実際に作ることを「制作」と呼ぶのに対し、プロデュースの意味合いが強い場合は「製作」と呼ぶのが一般的です。

映画配給会社

映画配給会社のイメージ

映画配給会社は、宣伝活動を含む、映画作品を映画館で上映するまでの業務を担います。具体的には、映画の買い付けと配給、ヒットさせるための宣伝が主な業務です。

映画は完成したら終わりではありません。完成した映画に買い手がつき、全国の映画館に配給されて初めて作品が上映されます。

映画興行会社

映画興行会社のイメージ

映画興行会社とは、映画館を運営する部門のことです。上映スケジュールを決めて配給された映画を上映したり、劇場内の物販を行ったりします。

ちなみに、広告やCMなどで「興行収入△△円突破」といった宣伝が流れますが、興行収入とは、映画館の入場料収入のことです。「興収」と略される場合もあるので覚えておきましょう。

映画業界の主な企業とその他の業態

映画業界において、下記の大手映画会社は前述の3つの部門をすべて行っています。

・東宝(映画興行会社:TOHOシネマズ)
・松竹(映画興行会社:松竹マルチプレックスシアターズ)
・東映(映画興行会社:一部を除きT・ジョイ)
・KADOKAWA

また、大手に限らず、「東京テアトル」や「アップリンク」なども同様に3つの部門を担っているほか、2019年には映画製作・配給を手がけてきた「キノフィルムズ」が「株式会社kino cinema」という映画興行会社を立ち上げ、大きな話題となりました。

ほかにも、映画業界にはさまざまな業態の会社が存在します。

・委託としてプロモーション業務を行う「映画宣伝会社」
・映画撮影現場の業務を担う「制作プロダクション」
・DVDやブルーレイなどを販売する「パッケージ会社」
・字幕や予告編を制作する会社

そのため、映画に携われる仕事は多岐にわたるといえるでしょう。なお、業界研究をする際に押さえておきたいポイントは、「業界分析とは?目的や正しい方法を解説!」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界における邦画メジャーと洋画メジャー

映画業界には、「メジャー」と呼ばれる会社があります。時代によって移り変わりもありますが、メジャーに該当する会社を知っておくと、業界の動きを掴みやすくなるでしょう。

以下で、邦画メジャーと洋画メジャーについて解説するので、参考にしてください。

邦画メジャー

邦画メジャーとは、「一般社団法人日本映画製作者連盟(映連)」に加盟している会社を指します。

映連は大手映画会社が構成する業界団体で、邦画メジャーに該当するのは、前述の「東宝」「松竹」「東映」「KADOKAWA」の4社です。

洋画メジャー

主な洋画メジャーには、下記のような会社が該当します。

・ディズニー
・ワーナー・ブラザース
・パラマウント
・ソニー(コロンビア・トライスターが傘下)
・フォックス
・ユニバーサル など

「ディズニー」や「ワーナー・ブラザース」などは、それぞれの日本支社が日本で洋画メジャーの作品を配給しており、「パラマウント」は「東和ピクチャーズ」が、「ユニバーサル」は、主に「東宝東和」が配給を担っています。

最近は、邦画製作に力を入れている洋画メジャーも少なくありません。たとえば、「るろうに剣心」や「銀魂」シリーズは、洋画メジャーの「ワーナー・ブラザース」が手がけています。洋画メジャーが邦画を製作することを「ローカル・プロダクション」と呼ぶので、あわせて覚えておきましょう。

企業研究における有用な情報源を知りたい方は、「1社あたり20分で完成!「時短」でできる企業研究」の記事をご覧ください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界で収益が生まれる仕組み

映画業界における収益のベースは、「興行収入(入場料金×有料入場者数)」です。そこから、興行会社の取り分と諸経費を差し引いた残りを、「配給収入」と呼びます。さらに、配給収入から製作会社と配給会社の取り分が分配される仕組みです。

製作会社と配給会社、興行会社の取り分は、作品によって割合が異なるため、一概には言えません。また、最近では「製作委員会」と呼ばれる、複数の企業が出資して1本の映画を製作する方式も増えています。

ちなみに、「映画がヒットしたかどうか」は、映画館で上映したあと、下記をはじめとする「二次利用」の利益を含めて判断されるケースも少なくありません。

・DVDやブルーレイの販売
・レンタル
・テレビ放映、配信
・海外販売
・キャラクター商品販売 など

そのため、「興行収入が△△億円に到達したからヒットした」と一括りにするのは難しいでしょう。実際に、映画がヒットしたかどうかは、製作費や宣伝費のかけ方、製作のスキームなどが大きく影響しています。

志望する業界を決める際のポイントを知りたい方は、「就活生が知っておくべき業界を紹介!絞り方のコツや方法も解説」の記事をご覧ください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の現状

一般社団法人日本映画製作者連盟(映連)の公式Webサイトでは、毎年1月に前年の映画産業に関するデータを発表しています。

映連の「日本映画産業統計」によると、2023年の年間興行収入は、前年比103.9%の2,214億8,200万円でした。2020年から2021年にかけて新型コロナウィルス感染拡大の影響で1,500億円前後まで落ち込んだところから、2年連続で回復傾向にあります。

興行収入の発表を始めた2000年以降を見てみると、2023年の興行収入は、2019年・2016年・2017年・2018年に次ぐ、歴代5位の記録です。

興行収入の推移のグラフのイメージ

出典:一般社団法人日本映画製作者連盟「日本映画産業統計

また、2023年の平均入場料金は1,424円で前年よりも22円上昇しました。入場料金の値上げの背景には、4DやIMAXなどの人気が続いているほか、原材料価格の高騰、人件費や水道光熱費の上昇といった運営コストの増加が挙げられます。

映画の公開本数は邦画が676本、洋画が556本で、合計1,232本(前年比89本増)は2019年に次ぐ、歴代2位の数字です。2020年から2021年にかけて、一時は1,000本前後まで落ち込んだものの、コロナ禍以降は、2年連続で増加しています。

なお、映画館のスクリーン数は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、前年はわずかに減少したものの、2023年には全国で3,653に達し、史上最多を更新しました。

映画館のスクリーン数の推移のグラフのイメージ

出典:一般社団法人日本映画製作者連盟「日本映画産業統計

映連の発表を年別に並べてみると、映画市場の規模は2000年以降、2,000億円のラインを前後しており、横ばいの傾向にあります。

業界研究の方法はさまざまです。業界地図や就活四季報をはじめとする書籍や雑誌のほか、最近ではYouTube動画からも情報を得られます。業界研究を効率よく進める方法を知りたい方は、「業界研究、おすすめの方法は?これから就活を始める人へ」の記事を参考にしてください。

参照元
一般社団法人日本映画製作者連盟
日本映画産業統計

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の課題

前述のとおり、映画館のスクリーン数は史上最多を更新しています。これは、主にシネコン(シネマコンプレックス=複数のスクリーンを保有する映画館)の開業によるものです。

しかし、シネマ・アンジェリカやシネマライズなど、ミニシアターの閉鎖が続いています。そのため、若手の映画監督が作品を上映する環境が限られてしまい、作品を生み出す次世代が育ちにくいのが現状です。

日本では、独立行政法人「芸術文化振興会」が映画に対する助成金を交付していますが、助成先は映画製作や映画祭の運営、上映会などが中心となっています。一方で、フランスや韓国では、小規模の映画館や映画配給会社に対しても、積極的に助成金が割り振られているようです。

日本の映画業界を盛り上げるためには、業界全体が一丸となる必要があります。助成金は税金で賄われているので、国民の間に「税金を映画のために使うのはよいことである」といった認識が生まれるよう、教育レベルから映画を浸透させることが大切です。

映画業界が抱える課題に対し、近年は改善の動きもあります。

実際に、2018年には、芸術文化振興会が助成金の改善策を2つ実行しました。1つ目は、若手監督に向けた申請枠を新設したことで、2つ目は、製作者による製作費(助成金に充てる分)の一時立て替えを回避するため、単年度制から2か年度制へ変更したことです。

今後は、国際共同製作(他国と共同して映画を製作すること)への助成金や、低予算の映画の製作における労働環境の改善、製作以外へのサポートなどが行われ、映画の多様化が期待されています。映画業界が抱える課題は今もなお山積みですが、1つずつ改善しているところだといえるでしょう。

就活において志望する業界を絞るメリットを知りたい方は、「就活で志望業界はどれくらい絞るべき?内定に繋がる選び方のコツも解説」の記事をご覧ください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の今後の動向

映画業界の今後を語るうえで欠かせないのが、2つの大きな話題です。

1つ目は、TOHOシネマズが2023年に映画鑑賞料金を一般1,900円から2,000円に引き上げたこと、2つ目は、ネットフリックス作品の「ROMA/ローマ(アルフォンソ・キュアロン監督)」がイオンシネマを皮切りに劇場公開されたことが挙げられます。

映画鑑賞料金は、2019年にも値上げされました。映画鑑賞料金の値上げによって、客単価は上がりますが、映画離れに拍車がかかるのではないかと懸念されています。実際に、業界トップのTOHOシネマズが値上げを決めたことで、他社も相次いで値上げしました。

また、ネットフリックス作品の劇場公開は、映画の定義や映画館の立ち位置を変えつつあります。従来、映画は映画館で上映されたあと、DVDやブルーレイの販売をし、テレビで放映するという順番で展開されていました。

しかし、「ROMA/ローマ」の劇場公開を皮切りに、映画と動画配信の在り方が多様化しています。今後は、動画配信後に映画館で上映したり、映画館で上映した直後に動画配信したりする形が増えるかもしれません。

近年、動画配信プラットフォームの広がりによって、映画本来の価値や映画を観るといった体験に対する考え方が変わりつつあります。映画業界は、映画本来の在り方を見直す過渡期に差し掛かっているといえるでしょう。

業界の理解を深めるためには、業界研究セミナーに参加するのも方法の1つです。業界研究セミナーについて詳しく知りたい方は、「業界研究セミナーとは?気になる内容と参加するメリットを解説!」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の就活事情

映画業界は華やかなイメージが先行して就活生に人気がある一方で、就職先の企業や職種によっては、仕事がハードだったり収入が低かったりするケースも少なくありません。

以下で、映画業界の就活事情をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

映画業界は就活生から人気がある

映画業界は、就活生に人気が高い業界の1つです。映画業界を志望する際は、憧れや熱意を抱くだけではなく、現実をしっかりと見据えることが大切です。そのうえで、どの業態で活躍したいのか、どのように貢献したいのかを明確にしましょう。

たとえ熱意を持っていても、志望動機が曖昧で、選考対策ができていなければ、選考を通過するのは難しいといえます。就活を効果的に進めるためにも、できるだけ早い段階から、業界・企業研究を行い、OB・OG訪問やインターンシップに参加するなどの対策が必要です。

OB・OG訪問の進め方を知りたい方は、「OB訪問ってどうやるの?アポ取りから進め方まで徹底解説!」の記事を参考にしてください。

映画業界の働き方

就職する会社や業種にもよりますが、映画業界の仕事は基本的にハードスケジュールです。特に、映画制作の現場では、撮影の日程が押してしまったり、出演者の都合によってスケジュールが変わったりする場面も珍しくありません。

現場の仕事は、休日出勤や長時間労働が多いほか、不規則な生活で疲れが溜まるといった悩みを抱える人もいます。そのため、ある程度体力に自信がある人に向いているといえるでしょう。

しかし、映画業界のなかでも、配給会社の多くは週休2日制を基本としているので、一般企業に近い働き方が可能です。そのため、「映画業界に就職したいけれど、プライベートの時間も大切にしたい」という方は、配給会社への就職を目指すとよいでしょう。

映画業界の仕事のやりがい

映画業界の仕事には、下記のような業界ならではのやりがいがあります。

・モノづくりの楽しみを味わえる
・作品を通して人々に喜びや感動を与えられる
・規模が大きく、華やかな世界に触れられる
・グローバルな視点を持って働ける など

映画業界の仕事の醍醐味は、映画制作を通してモノづくりの楽しみを味わったり、作品を世の中に広めて人々の心を動かしたりできる点です。

映画製作は規模が大きいものが多く、作品が完成するまでに長い月日を要します。多くの人が携わって手がけた作品が世に出る感動は、映画業界ならではのやりがいだといえるでしょう。

また、映画には、世界情勢や人々の価値観などが強く反映されています。どのような内容の映画がヒットしそうなのか、グローバルな視点を持って働くことにやりがいを感じる人もいるでしょう。

映画業界の年収

映画業界の年収は、企業や職種によって幅があります。大手映画会社の「東宝」や「松竹」などの平均年収は800〜900万円程度ですが、中小規模の会社では、400〜500万円程度の平均年収です。

企業の業態にもよりますが、大手映画会社と中小規模の映画会社の年収には差があります。映画業界で高年収を得るためには、できるだけ規模が大きい映画会社への就職を目指すとよいでしょう。しかし、人気が高い大手映画会社への就職は簡単ではありません。

新卒での就職が難しくても、ほかの業界や会社で経験を積んでから転職する方法もあります。

映画業界への就職ルート

映画業界は人気が高い一方で、求人の募集人数が少ない傾向にあり、新卒で就職するのは狭き門です。そのため、映画館を運営する会社や映画業界と関わりがある異業種などからキャリアをスタートさせるのもよいでしょう。

下記のような就職ルートをたどれば、映画業界への就職を実現しやすくなります。

・映画配給会社に就職する
・映像制作プロダクションや映像ソフトメーカーに就職する
・映画館運営会社に就職する
・テレビ局に就職する
・映画業界と関わりのある周辺の業界に就職する

新卒や未経験から目指しやすいのは、映画館運営会社への就職です。大型のシネマコンプレックスから地域のミニシアターまで、さまざまな規模の映画館があります。映画館の運営業務は、映画の製作や配給と異なり、アルバイトも多く活躍しているのが特徴です。

また、テレビ局に就職することで、製作委員会の中心として映画制作に携われる可能性もあります。ほかにも、広告代理店に就職して映画のプロモーションに携わったり、映画専門誌を発行する出版社で働いたりするのも方法の1つです。

映画に関わる仕事をするには、さまざまな方法があります。幅広い視点を持って業界・企業研究をし、自分にとって最適な進路を選びましょう。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の主な職種

映画業界には、映画制作に関わる技術・専門職から、配給・宣伝職まで、さまざまな職種があります。映画業界の主な職種を下表にまとめました。

映画制作の職種 ディレクター
脚本家
演出家
カメラマン
映像編集者
CGデザイナー
音響・照明スタッフ
美術スタッフ
メイクアップアーティスト
映画出演者の職種 俳優
エキストラ
映画配給の職種 買い付け
ブッキング
宣伝・広報
映画興行の職種 映画館の運営業務
ボックス担当
フロア担当
映写担当

映画制作に関わる仕事には、現場を指揮するディレクターをはじめ、カメラマンや音響・照明スタッフなど、さまざまな職種があります。映画を制作するためには、どれも欠かせない職種です。

映画配給に関わる仕事には、ヒットしそうな映画の買い付けや、映画館と上演を交渉する職種もあります。また、映画館の運営業務なども、映画業界の身近な職種の1つだといえるでしょう。

映画業界の職種は多岐にわたるため、あらかじめどのような仕事をしたいのか明確にしておくことが大切です。

映画業界に限らず、幅広い職種について理解を深めておくと、自分に合った職種を選びやすくなります。就活生が知っておきたい職種の種類は、「就活中に絶対知るべき職種の種類!自分に合った職業を見つける方法も解説」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の就職に役立つ5つのスキル

映画業界に就職するために必須の資格などはありませんが、コミュニケーション能力や企画力といった強みがあれば、効果的なアピールにつながるでしょう。

以下で、映画業界の就職に役立つスキルを5つ解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.発想力

映画業界において、最も大切なのが作品を作りあげることです。特に、映像制作に携わる仕事では、発想力やクリエイティブ性が求められます。また、制作の現場に限らず、「より多くの人に作品を届けるためにはどうしたらよいのか」といった発想力も必要になるでしょう。

映画業界への就職を目指すのであれば、常に幅広い作品をチェックし、世の中の動きにアンテナを張り巡らせて、発想力を鍛えておくのがおすすめです。映画制作に携わる場合はもちろん、映画の買い付けや作品のプロモーションといった場面でも、発想力を活かせるでしょう。

2.コミュニケーション能力と調整力

映画業界では、コミュニケーション能力や調整力も役立ちます。映画制作においては、ディレクターや脚本家から、音響や美術スタッフまで、さまざまな人の協力がなければ、作品を完成できません。

たとえば、カメラマンの場合、出演者へ的確な指示を出したり、自らコミュニケーションを図って現場の雰囲気をよりよくしたりする工夫ができれば、作品の完成度を高められるでしょう。

また、映画配給や映画興行の仕事においても、関係先とさまざまな調整を行う必要があるように、映画業界ではいずれの職種においても、コミュニケーション能力が役に立つといえます。

3.グローバルな視点と語学力

映画業界では、グローバルな視点や語学力を活かせる場面も少なくありません。日本の映画が海外へ輸出されているように、映画配給会社は国内の映画に限らず、海外の映画も上映します。この場合、海外の映画会社と料金を中心とした交渉をするためには、語学力が必要です。

また、映画業界の仕事において、グローバルな視点は大いに役立ちます。たとえば、海外の人にウケがよい日本的な要素を作品に織り込めば、より多くの人に届けられる可能性が高まるでしょう。

英語やフランス語などの語学力がある人は、即戦力として期待される傾向です。あわせて、海外ではどのような作品がヒットしているか、どのような文化的背景があるかといったグローバルな視点も大切にしてください。

4.交渉力と企画力

映画配給に関連する仕事を中心に、交渉力や企画力も発揮できるでしょう。映画配給会社では、買い付けやブッキング、宣伝など、外部の関係者と交渉する機会が多くなります。

実際に、どれほど面白い映画を見つけても、利益を生み出さなければ意味がありません。利益を確保するためには、映画を取り巻く市場や消費の流れなどをよく理解し、「どのような作品がヒットするのか」を考える企画力も必要です。

なお、こうした企画力を磨くうえでは、マーケティング関連の知識も役立つでしょう。

5.映像制作スキル

映像制作スキルを身につけておくと、就活で効果的にアピールできるほか、入社後の仕事でもスキルを活かして働けます。映像制作スキルとは、具体的に下記のようなスキルのことです。

・撮影
・企画、演出
・編集
・アニメーション
・デザイン など

すべてのスキルを身につける必要はなく、まずは自分が興味のあるものから学ぶのをおすすめします。

たとえば、撮影スキルを身につけるためには、カメラワークや構図に関する知識が必要になるほか、編集スキルを身につけるためには、テロップの作成やサウンドの追加といった作業が欠かせません。

映像制作スキルの習得には時間がかかるものの、一度身につければ、仕事をするうえでも役立つはずです。

就活でアピールできるスキルや伝え方のポイントを知りたい方は、「履歴書でのスキルの書き方はどうする?アピールできる資格や例文を紹介!」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の志望動機に盛り込むべき4つのこと

映画業界の志望動機を作成する際は、映画から受けた影響や仕事を通して実現したいことを述べるのがポイントです。

以下で、映画業界の志望動機に盛り込むべきことを解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.映画から影響を受けた原体験

映画業界の志望動機では、映画に関連する自分の原体験を伝えることが大切です。映画業界を志望するきっかけになるエピソードを盛り込んで、憧れや好きという気持ち以外の動機を伝えましょう。

「映画が好き」といった程度で選考を通過するのは難しいものの、採用において「映画が好きであること」は必須条件だといえます。原体験を交えて、映画が自分の人生にどのような影響を与えたのかを伝えられると、オリジナリティがある志望動機になり、採用担当者の印象に残りやすくなるでしょう。

なお、面接では、自分が影響を受けた作品名や記憶に残っているシーンなどを聞かれる場合もあるため、しっかりと思い出して言語化しておいてください。

2.仕事を通して実現したいことや目標

映画業界の志望動機では、希望職種や自分がやりたい仕事を述べて、「入社後に実現したいことは何か」を具体的に伝えましょう。

職種にもよりますが、映画業界の仕事はハードワークになりがちです。入社後に実現したいことや目標を伝えられなければ、採用担当者は応募者に対して、「ハードな業務に耐えられずに、辞めてしまいそう」といった印象を抱くでしょう。

自分の熱意や意欲をアピールするためにも、志望動機で自分が成し遂げたいことを伝える必要があります。目標を持って仕事と向き合う姿勢が伝われば、好印象につながるでしょう。

3.映画業界でなければならない理由

映画業界の志望動機を作成するときは、なぜ映画業界でなければならないのか、志望理由を明確にするのがポイントです。映画業界でなければならない理由を答えられなければ、採用担当者に「ほかの業界や企業でもよいのでは」といった印象を与えてしまいます。

映画業界は就活生に人気の業界です。採用担当者は、志望動機を聞いて応募者の熱意や入社意欲を測っているといえます。映画から受けた影響や仕事を通して実現したいことを伝えながら、「映画業界でなければ自分の想いを実現できない」と強調しましょう。

4.自分の人間性や個性

映画業界の志望動機では、知識や想いを伝えるよりも、自分の人間性や個性を伝えるよう意識してください。仕事をするうえでは、「自分がどれだけ作品に詳しいか」「自分がどれだけ映画が好きか」よりも、クリエイティブ性やコミュニケーション力など、人間性や個性のほうが必要とされます。

志望動機には、映画業界に対する熱意ばかりを盛り込むのではなく、自分の人間性や個性が伝わるエピソードを伝えてください。志望動機の効果的な伝え方は、「就活の志望理由にもう困らない!基本的な作り方や伝え方を例文つきで解説」の記事をご覧ください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界の志望動機例文4選

以下で、映画業界の志望動機例文を4つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

例文1.映画制作に関わる仕事

私が貴社を志望する理由は、映画を通して人を喜ばせる仕事がしたいと強く感じているためです。

私は、学生時代に映画研究会に所属していました。主な活動としては、映画作品の魅力をメンバーで共有したり、映画の自主制作では脚本を書いたりしました。自主制作した映画を文化祭で上映した際には、手がけた作品で多くの人を喜ばせられる映像業界の魅力をあらためて実感しました。数ある映画制作会社の中でも、貴社は△△や△△をはじめ、数多くのヒット作を生み出しています。

入社後は、貴社の素晴らしい制作陣の一員として、人々に感動を与える作品を多く生み出していきたいと考えています。

例文2.映画配給に関わる仕事

私が貴社を志望する理由は、人生のきっかけになるような素晴らしい作品をより多くの人に届けたいと考えているからです。

私は高校生の頃から映画鑑賞が趣味で、自分が観た作品の感想をほかの人と共有したいと思い、映画のレビューを発信するSNSアカウントを立ち上げました。SNS運用を続けるうちに、フォロワーから「投稿をきっかけに映画を観た」「おすすめしている作品を観て人生が変わった」など、さまざまな反響が届くようになりました。フォロワーからの声が励みになり、これまで映画のレビューを発信し続けられました。

貴社は、全国に映画作品を届ける大規模な配給を行っています。入社後は、映画の買い付けに関わり、より多くの人に素晴らしい作品を届けていきたいと考えています。

例文3.映画宣伝に関わる仕事

私が貴社を志望する理由は、人々にエンターテインメントの楽しさを伝えたいと考えているからです。

私は、子供の頃から映画が好きで、よく映画館に行っていました。映画は自宅でも楽しめますが、映画館で味わう映像や音の迫力は、自宅の比になりません。多くの人にもっと映画館での鑑賞を楽しんで欲しいと思い、映画に携わる仕事をしたいと考えるようになりました。貴社は、日本最大級の事業規模とブランド力を誇りながらも、顧客ニーズに柔軟に対応し続け、オリジナリティ性の高いサービスを提供しています。

貴社に入社後は、常に世の中の動きにアンテナを張り、新しいことに挑戦しながら成長していきたいと考えています。

例文4.映画館運営に関わる仕事

私が貴社を志望する理由は、人々に感動や興奮を味わえる空間を届けたいと考えているからです。

私は、幼い頃から両親によく映画館へ連れて行ってもらっていました。初めて映画館でホラー映画を観たとき、怖くて泣いてしまった私に、映画館のスタッフの方が優しく声をかけてくれた経験があります。また、学生時代には、ダンスサークルに所属して、イベントの運営に携わりました。「どうしたら来場者に喜んでもらえるか」を第一に考えて企画した参加型のイベントでは、たくさんの人の笑顔を見られ、大きな達成感を味わいました。

貴社が運営する映画館は、いつ訪れても老若男女が集まり賑わっています。入社後は、私も貴社の一員として、人々に映画館ならではの感動や興奮を味わってもらう空間づくりに貢献していきたいと考えています。

志望動機は基本構成に沿って作成すると読み手に伝わりやすくなります。志望動機の基本構成は「就活の志望動機でアピールするコツは?企業に評価される例文9選を紹介」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界ならではの面接対策をしよう

映画業界の選考では、業界ならではのポイントを押さえて面接対策をしましょう。映画業界の面接でよく聞かれる質問には、下記のようなものがあります。

・好きな映画を教えてください
・最近観た映画で、印象に残っている映画を教えてください
・どれくらいの頻度で映画を観ますか
・映画業界にどのようなイメージを持っていますか など

企業はこうした質問をして、選んだジャンルや作品から応募者の個性を把握したり、話をまとめる力や映画に対する情熱を測ったりしています。そのため、どの映画作品について話すか、ストーリーの要点や印象に残っているシーンなどをあらためて言語化しておくとよいでしょう。

映画業界ならではの面接対策をするためには、OB・OG訪問をするなどして、過去にどのような質問をされたのかリサーチしておくと安心です。

なお、就活における頻出質問は、映画業界の面接でも同様に聞かれるため、事前にしっかりと選考対策をしましょう。就活でよく聞かれる質問と回答のポイントは、「就活の面接で聞かれる質問集40選!答え方のポイントや回答例も解説!」の記事を参考にしてください。

映画業界の就活について相談したい

   

映画業界に就職できるか不安なあなたへ

華やかなイメージが先行しがちな映画業界ですが、憧れや熱意だけで選考を通過するのは難しいでしょう。映画業界を志望するのであれば、業界や職種の理解を深めたうえで、「どの業態でどのような仕事に携わりたいのか」など、志望動機を明確にしておく必要があります。

業界研究を進めるなかで、「映画業界に就職できるか不安」「自己PRや志望動機が思いつかない」など、選考に臨むのに自信が持てない場合は、就活エージェントへの相談がおすすめです。

就活エージェントのキャリアチケットでは、映画業界の選考を通過するために、自己分析や応募書類の作成から、面接対策まで幅広いサポートを行っています。映画業界に就職できるか不安な方は、ぜひ気軽に利用してみてください。

映画業界の就活について相談したい

   

本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

キャリアチケットについて

キャリアチケットは、就活生の最高のキャリアスタートを支援するサービスです。