このページのまとめ
- 鉄鋼業界とは、加工した鉄製品を他業界に提供している企業の総称
- 鉄鋼業界は、主に高炉メーカーと電炉メーカーの2つに分類される
- 鉄鋼業界の職種は営業や生産管理、研究開発などがある
「鉄鋼業界にはどのような職種があるの?」「業界の将来性を知りたい」と考える方は多いでしょう。鉄鋼業界は日常生活の中でも身近に感じにくく、詳しく知る機会は少ないもの。業界への理解を深めるには、鉄鋼メーカーの種類や具体的な仕事内容を把握することが重要です。
このコラムでは、鉄鋼業界の特徴や現状、活躍する職種などをまとめています。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
鉄鋼業界とは
鉄鋼業界とは、加工した鉄製品を自動車や家電などの業界に提供し、収益を得る企業の総称です。鉄鋼を製造するメーカーは、以下の2つに分類されます。
高炉メーカー
高炉(溶鉱炉)を有するのが、高炉メーカーです。主に、鉄鉱石や粗鋼、原料炭などを主原料として鋼を製造。製鉄から製鋼、圧延という作業を行い、鋼材を生産する設備も併設しているため「鋼一貫メーカー」とも呼ばれています。
電炉メーカー
鉄くずなどを溶かして電炉で鉄鋼を生産するのが、電炉メーカー。電炉メーカーは、普通鋼をメインとする「普通鋼メーカー」、特殊鋼に特化した「特殊鋼メーカー」があります。特殊鋼メーカーが生産するものは、主に自動車部品や工具鋼などです。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
鉄鋼業界の今
鉄鋼業界の需要は、海外メーカーにも大きく影響を受けます。
鉄は自動車や産業機械など、さまざまな分野で必要な材料であるため、鉄鋼業は他産業の基盤となる重要な産業として位置づけられているのが特徴です。
たとえば、経済産業省の「鉄鋼業の現状と課題」で、2012年の国内における鉄鋼業を見ると国内総出荷額は18兆円。製造業全体のGDPの7.2%を占め、国内で重要な産業であることが分かります。
しかし、同業界は海外における建設や自動車需要に応える形で、2007年まで業績を伸ばしてきたという背景があるようです。
基幹輸出品目としても数えられる粗鋼を含む鉄鋼の需要は、2008年のリーマン・ショック以降、大きく下落。鉄鋼自体の価格も下がり、鉄鋼メーカーの収益を圧迫しました。
2013年になると国外の建設需要や自動車需要が再び増加し、業績は拡大方向へ一転します。
しかし、2015年になると中国を筆頭に新興国需要も低下し始めたことから、再び収益が下落するなど、鉄鋼業界は若干の不安定さを抱えているといえるでしょう。
この不安定さは、中国や韓国企業などの技術力向上、価格戦略による鉄鋼産業の競争の激化が要因と考えられています。
中国メーカーとの競争が激しい傾向
1970年から2000年までの世界主要鉄鋼メーカーの生産量を調べると、すべて日本企業が1位を占めていますが、2013年に入ると1位をヨーロッパのメーカーに奪われ、日本企業は2位に下落していることがわかります。
特筆すべき点は、過去40年間は上位に入らなかった中国メーカーの勢いが増し、10社中6社を中国が占めるようになったことです。
これは、膨大な生産量を誇る中国の規模が拡大し、世界でのシェア率が急速に上がったことを示しています。
参照元
経済産業省
鉄鋼業の現状と課題
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
海外に対する日本メーカーの対抗策
激化する海外事業での競争で生き残るためには、コストの削減による経営統合が進められるべきでしょう。
すでに経営統合を実行し、生産規模を拡大することでコスト削減を狙う企業もいくつか見られます。
ただし、コストの削減と経営統合だけでは海外競争に立ち向かうことは難しいのも現状です。
日本メーカーが需要を得るには、「スクラップと呼ばれる製鋼の廃材を積極的に輸出する」「アジア諸国で鉄鋼の生産体制を築く」といった取り組みが必要になります。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
鉄鋼業界の将来予測
前項で述べたように、現在、世界市場で優位にあるのは中国です。鉄鋼業界では規模が優位性を決定づけることからも、日本メーカーは規模の面では中国より優位に立つことは難しいといえます。
しかし、日本企業には高い技術力があり、それが大きな強みです。
技術力のある企業は海外でも活躍できるため、技術力をもとに日本ならではのものづくりを行い、業績を上げていくことが期待されます。
また、業界の発展を考える一方で、環境対策にも力を入れているのが日本の鉄鋼業の特徴です。
このような付加価値のある製品づくりを進めることが、日本の鉄鋼業界を支えると言っても良いでしょう。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
鉄鋼業界と繋がりの深い3つの業界
鉄鋼業界は、鉄製品を扱うほかの業界とパイプが太いのが特徴です。
1.自動車業界
自動車の車体には鉄鋼が多く使われています。自動車に求められるのは事故から乗車している人を守る強度と速く走るための軽さです。自動車の燃費を良くさせるためにも、薄くて軽い、かつ強度も高いといった付加価値のある鋼材作りに力を入れています。
2.海運業界
鉄の原料となる鉄鉱石やコークスを運ぶ際には、大型の船舶が必要です。鉄鋼は、船舶を製造したり、海洋資源の開発時に使用される鉄鋼製品にも用いられたりします。
3.建設業界
ビルや橋など、建物を建設する際には多くの鉄鋼が必要です。昨今では地震による被害が各地で見られることからも、耐震性や強度に優れた資材が求められており、鉄鋼業界はニーズに対応した商品の開発が期待されています。
業界一覧については「就活の参考になる業界一覧をご紹介!研究方法も解説」も参考にしてください。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
鉄鋼業界の主な職種
鉄を製造し、自動車や建設といったメーカーに卸す鉄鋼業界の職種は、主に技術職と事務職に分かれます。
技術職
技術職は主に研究開発部門と製造部門に分かれます。
研究開発
鉄鋼商品の開発や基盤技術開発を担います。商品開発のジャンルは電機や自動車などがあり、顧客の要望を叶えるために継続して研究と開発を実施する仕事です。
製造技術
顧客のニーズに沿った品質や機能を作り、効率が良く安定したな操業を目的とした技術開発を担います。世の中に新しい技術を送り出す仕事です。
設備技術
機械やエネルギー、建築などの分野があり、製造設備やインフラの建設などを担います。大規模な設備に対し、自身の発想を活かせる業務です。
事務職
鉄鋼業界の事務職の仕事は、顧客管理や生産管理などがあります。
営業
国内外にわたって市場ニーズをキャッチし、新しいビジネスを開拓する仕事です。また、製品に対する顧客の要望をヒアリングする役割も担います。
顧客だけではなく、生産管理や製造の部門と密接に関わりながら、製品の納品管理をすることも営業の仕事です。
原料購買
石炭や鉄鉱石といった原料を購入し、輸送の手配や管理などを担う仕事です。また、高品質な原料を継続して買い入れるため、海外の資源開発に関するプロジェクトにも関わります。
生産管理
製品の企画やスケジュール作成、在庫管理などを行う仕事です。多数抱える製品を納品するために、製造部門や営業と連携をとることが求められます。製品の品質を確かめる試験や製品の改善も業務の一つです。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。