このページのまとめ
- 売り手市場とは、就職したい学生よりも採用したい企業が多い状態
- 売り手市場だと、条件の良い求人が多く企業選びの選択肢が増える
- 売り手市場であっても、ガクチカや資格を取得するなど準備は入念に行う必要がある
「売り手市場とはどのような状態なのか」「買い手市場との違いを知りたい」と悩んでいる就活生もいるでしょう。売り手市場とは、求職者である学生数に対して採用意欲のある企業数が多い状況のことです。
この記事では、就活における売り手市場の概要やメリットを詳しく解説します。買い手市場との違いや、有効求人倍率を踏まえて売り手市場かを確認する方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
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- 売り手市場とは採用したい企業が多い状態のこと
- 売り手市場と買い手市場の違いはどちらの数が多いか
- 有効求人倍率で売り手市場か買い手市場か分かる
- 新卒採用市場は売り手市場が続いている
- 厚生労働省によると売り手市場が続いている
- 内定時期の早期化も進んでいる
- 売り手市場の3つのメリット
- 1.条件の良い求人が多くなる
- 2.企業選びの選択肢が増える
- 3.早期に内定が出る可能性がある
- 売り手市場の3つのデメリット
- 1.採用されやすくミスマッチが増える
- 2.求人が多く選択肢に迷いやすい
- 3.売り手市場でも人気企業は倍率が高い
- 売り手市場でも就活生が抱える悩み
- 自分に合った企業を選べるか
- 第一志望の企業に入社できるか
- 売り手市場で就活を成功させるポイント
- 自己分析を徹底する
- ポータブルスキルを磨く
- 資格を取得する
- インターンに参加する
- 売り手市場でも就職活動にお悩みのあなたへ
売り手市場とは採用したい企業が多い状態のこと
売り手市場とは、求職者である学生(供給)の数に対して、採用意欲のある企業(需要)の数が大幅に多い状況を指します。就職活動では「労働」を取引するため、労働力を提供する学生側が有利な立場になり「売り手」市場と呼ばれているのです。
「就活生の数<求人数」になるため、就活生は多くの求人から自分の希望に合ったものを選べます。就活生にとっては採用企業が多くなるため、就活に有利な状態になるのが売り手市場のメリットです。
売り手市場については、「『売り手市場』とは?採用は有利になる?『買い手市場』との違いも解説」の記事もご覧ください。
売り手市場と買い手市場の違いはどちらの数が多いか
売り手市場と買い手市場の大きな違いは、就活生の数と、求人を出している企業の数のどちらが多いかにあります。買い手市場は、売り手市場とは真逆で、求職者の数が企業の求人数を大幅に上回る状況であり、就活生にとっては不利な状態です。
一方で、多くの就活生から優秀な人材を選べるため、企業側からするとうれしい状態となるでしょう。新卒での就活に不安を抱いている方は、「新卒で就職できなかったらどうする?人生終了でない理由と選択肢を解説」もご覧ください。
有効求人倍率で売り手市場か買い手市場か分かる
売り手市場か買い手市場かを知るには、有効求人倍率を確認しましょう。有効求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示した数値です。「求人数÷求職者数」で求められ、倍率「1.0以上」は求人数が多く「1.0未満」は求人数が少ないといえます。
ただし、有効求人倍率は全国のハローワークの求人数をもとに計算されており、新卒者はカウントされていないのが一般的です。有効求人倍率を確認する際は、あくまでも新卒市場の需給状況を推測する目安として捉えましょう。
興味のある業界がないけれど、就活しないといけないと悩んでいる方は「就職先の決め方をパターン別に解説!決めきれないときにやるべき5つのこと」の記事も参考にしてください。
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新卒採用市場は売り手市場が続いている
近年、新卒採用では売り手市場が続いている傾向にあります。しかし、景気が悪くなると事業縮小や倒産などが増加することで人材を必要とする企業が減り、買い手市場になる可能性もあるため、変化に注意が必要です。
ここからは、新卒採用市場の状況を詳しく見ていきましょう。
厚生労働省によると売り手市場が続いている
近年、新卒採用では売り手市場の傾向があります。厚生労働省の「令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」によると、2024年度の大学卒業者の就職率は98.1%でした。前年度よりも0.8ポイント上昇しています。
男女別に見ると、男子学生の就職率が97.9%、女子は98.3%で、どちらも前年度より上昇しました。2025年度以降も大きな情勢変化などないかぎりは、売り手市場が続くと見られています。就職率を詳しく知りたい方は「四大卒は就職に有利?就活でのメリットや注意点を解説!」もご覧ください。
参照元
厚生労働省
令和6年3月大学等卒業者の就職状況 (4月1日現在)を公表します
内定時期の早期化も進んでいる
売り手市場の影響により、内定時期の早期化が進んでいるのも近年の特徴です。キャリアチケットの「2025年卒の内定承諾・辞退に関する実態調査(前編)」によると、25卒は大学4年生の6月時点で約9割が内々定を獲得していました。
また、約9割の就活生が内定を承諾しており、就活解禁から3ヶ月ほどで多くの学生が就活を終えようとしていることが分かります。内定承諾時期については、以下のような結果となりました。
引用元:キャリアチケット就職「2025年卒の内定承諾・辞退に関する実態調査(前編)」
就活が解禁される3月よりも前に、約2割の学生が最初の内定を獲得しています。就活解禁直後の3月・4月に内定を獲得している就活生も多く、内定の早期化が進んでいる状況です。
参照元
キャリアチケット就職
2025年卒の内定承諾・辞退に関する実態調査(前編)
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売り手市場の3つのメリット
売り手市場は、就職活動をする学生にとって多くのメリットをもたらします。求人数の増加に伴い、より良い条件の仕事を選べたり、多様な企業に挑戦できるチャンスが広がったりするのもメリットです。
ここからは、売り手市場における具体的な3つのメリットを見ていきましょう。
1.条件の良い求人が多くなる
売り手市場では、企業は優秀な人材を積極的に獲得しようとするため、給与水準を高く設定したり、住宅手当や育児支援などの福利厚生を充実させたりとより良い条件の求人数が多くなります。
また、フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を導入する企業が増える可能性もあります。売り手市場においては、学生はより働きやすく、自身のライフスタイルに合った条件の求人を選べる可能性が高まるでしょう。
2.企業選びの選択肢が増える
売り手市場では、優秀な人材を確保するために応募条件を緩和する企業が増えるのが一般的です。中途採用しか行っていなかった企業が新卒採用を始めたり、理系しか採用しなかった企業が文系にも採用を広げたりする場合があります。
就活生は視野に入れていなかった業界や職種、企業規模の会社にも目を向ける機会が増え、より多くの選択肢の中から自分に合った企業を見つけやすくなるでしょう。
企業選びについては、「会社選びのポイントは?正しい答え方と考え方・注意点を例文つきで解説」もご覧ください。
3.早期に内定が出る可能性がある
売り手市場において、企業は優秀な学生を競合他社に先駆けて確保しようとするため、早めに内定を出す傾向にあります。企業や人事は早めに内定者を確保し、来季の戦略・対策を検討したいと考えているためです。
具体的には、インターンシップ参加者への早期選考や、選考期間の短縮などさまざまな工夫が見られます。学生は早期に内定を得られると、精神的な余裕を持って卒業までの学生生活を送ったり、ほかの企業への応募をじっくり検討したりする時間を持てるのがメリットです。
ただし、内定時期が早まるからといって採用基準が大幅に下がるわけではないため、油断せずに就職活動に取り組みましょう。
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売り手市場の3つのデメリット
売り手市場は多くのメリットがある一方で、企業とのミスマッチが増えたり、求人が多く選択肢に迷いやすくなったりするデメリットもあります。また、売り手市場であっても、人気企業は倍率が高いため注意が必要です。
ここからは、売り手市場のデメリットを詳しく見ていきましょう。
1.採用されやすくミスマッチが増える
売り手市場になると就活生は内定を得やすい反面、ミスマッチが増える懸念が考えられます。人事は内定者の獲得を目的に、早めに内定を出したり採用基準を多少下げたりする場合があるためです。
学生と企業の相互理解が不十分なまま採用に至ると、「思っていた仕事と違う」「社風が合わない」と感じて早期に離職するリスクも高まります。
たとえ内定を獲得できても、企業や職種が合わずに退職してしまえば、また就活をしなくてはなりません。採用されるのは喜ばしいことですが、企業との相性が良いかは慎重に判断する必要があります。
2.求人が多く選択肢に迷いやすい
売り手市場では多くの企業が求人を出しているため、学生は多種多様な選択肢があって迷いやすいのもデメリットです。「多くの企業が募集しているから」と、手当たり次第に応募してしまうと、時間や労力を無駄にしてしまいます。
売り手市場だからこそ、自己分析をしっかりと行い、自分の価値観やキャリアプランに合う企業を選ぶための明確な軸が必要です。選択肢に迷わないよう、就活の軸をしっかりと持ちましょう。
就活の軸の考え方については、「就活の軸一覧100選!納得がいく決め方や面接での答え方を例文付きで解説」の記事で解説しているので参考にしてください。
3.売り手市場でも人気企業は倍率が高い
売り手市場でも人気企業は応募者が殺到するため、狭き門といえます。知名度も人気も高い大手企業は、売り手市場の影響を受けない傾向にあるのも特徴です。
一方で、中小企業は大手企業に比べて有効求人倍率が高く、売り手市場が顕著といえます。大手企業に応募者が殺到するのに対し、学生が集まらない中小企業が多いのも現状です。
中小企業の中には、少ない従業員数で高い売り上げを出し、安定した顧客を抱える企業も少なくありません。売り手市場だからと安心して、有名企業にだけ応募すると、どこからも内定をもらえず全滅する可能性もあります。
知名度だけに囚われず、中小企業まで目を向けて、企業選びの幅を広げることをおすすめします。自分のやりたい仕事ができるのは有名企業だけなのか、ほかの企業では実現できないのかよく考えてみましょう。
売り手市場での就活について理解を深めたい方は、「売手市場という言葉に惑わされないで」の記事もご覧ください。
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売り手市場でも就活生が抱える悩み
売り手市場であれば就活生は有利に就活を進められると考えている方も多いでしょう。しかし、売り手市場であっても、自分に合った企業を選べるか、第一志望に入社できるかといった悩みを抱えている就活生も少なくありません。
売り手市場で就活する就活生は、油断せずに就活の軸を明確にするのが大切です。売り手市場で就活生が抱える悩みを見ていきましょう。
自分に合った企業を選べるか
売り手市場で多くの企業から内定を得られる可能性があるとはいえ、最終的に入社できるのは1社です。数多くの選択肢の中から本当に自分に合った企業を見極めるのは、決して容易ではありません。
「どのように志望企業を1つに絞ればよいのか」「どの企業を選ぶのが最善なのだろうか」と、途方に暮れてしまう学生も多くいます。
悩んでいる状況を打開するには、まず「就活の軸」を明確にしましょう。就活の軸とは、企業選びにおいて重要とする価値観です。たとえば、「革新的な技術で社会に貢献したい」「若いうちから責任ある仕事を任されたい」「ワークライフバランスを重視したい」など、人それぞれ異なります。
自己分析を深め、自分の譲れない条件や本当にやりたいことを見つけるのが、後悔のない自分に合った企業選びの第一歩となるでしょう。「業界・企業・職種の研究はなぜ重要?就活を効率的に進めるための基礎知識」の記事でも述べているように、企業研究も行ってください。
第一志望の企業に入社できるか
売り手市場であっても、すべての就活生が希望どおりの企業に入社できるわけではありません。多くの就活生が憧れるような人気企業や難関企業においては、依然として高い競争率が維持されています。
たとえ複数の企業から内定を得られたとしても、本当に志望する企業に入社できなければ、落胆してしまうのは当然です。
第一志望の企業に入社するためには、企業研究が欠かせません。企業の理念や事業内容はもちろん、過去のプロジェクト実績や社風、人事制度などの情報収集をしましょう。OB・OG訪問や企業説明会、インターンシップなどに参加すると、より企業に対する理解を深められます。
ほかの就活生よりも多くの情報を収集・分析し、入社への熱意と具体的な志望理由を明確に伝えるのが、内定獲得への鍵となるでしょう。
もし第一志望の企業から内定をもらえなくて悩んでいる方は、「就活で第一志望に落ちたらどうする?気持ちの切り替え方を解説」をご一読ください。
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売り手市場で就活を成功させるポイント
売り手市場は、多くの求人の中から自分に合った企業を選べるチャンスがある一方で、油断してしまうと内定獲得につながらない可能性もあります。求人数が多い有利な状況を活かし、就活を成功させるためには、自己分析やスキルを磨くなどの準備が大切です。
ここでは、売り手市場で就職活動を成功させるためのポイントを4つ紹介します。
自己分析を徹底する
売り手市場で就活を成功させるためには、自己分析をすることが大切です。売り手市場だからといって、自己分析や「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」の準備をおろそかにするのはやめましょう。
企業が採用意欲を持っている状況を踏まえ「なぜこの企業で働きたいのか」「入社して何を成し遂げたいのか」など、明確な動機を持つ必要があります。
大学生活でどのような物事に力を入れてきたのか、何を学び、どのように成長できたのかを掘り下げてみましょう。ほかにも自分の性格や特技、人間性などの詳しい分析が大切です。
自己分析を徹底すると、自分の軸が明確になり、企業選びの判断基準が定まります。面接の場でも自信を持って自分の言葉で思いを伝えやすくなるのもメリットです。自己分析ツールを活用したり、キャリアセンターの相談員やOB・OGに話を聞いたりして、自己分析を徹底しましょう。
ガクチカや自分のスキルをアピールしたい方は、「面接で学生時代に頑張ったことをアピールする例文10選!回答のコツを解説」の記事も参考にしてください。
ポータブルスキルを磨く
売り手市場においては、特定の業界や企業に限定されない、汎用性の高い「ポータブルスキル」を磨くのも、就活を成功させるポイントです。ポータブルスキルとは、どのような職種や環境においても応用できる能力を指し、具体的には以下があげられます。
・コミュニケーションスキル
・プレゼンテーションスキル
・ロジカルシンキング
・リーダーシップ
・積極性
・傾聴力
・問題解決能力
・協調性
上記のようなスキルは、選考の過程で企業にアピールできるだけでなく、入社後もさまざまな業務で役立ちます。大学の授業やゼミ活動、アルバイトなどの経験を通してポータブルスキルを身につけられるよう、意識するのがおすすめです。
面接の際は、具体的なエピソードを交えながら、どのようなポータブルスキルを身につけ、活かしてきたのかを伝えられるよう準備しておきましょう。
資格を取得する
売り手市場において、業務に直接関連する資格を取得しておくのも、就活を成功させるポイントといえます。業務に必要な資格を取得しておくことで、企業に対する熱意をアピールしやすくなるためです。
IT業界であればプログラミング関連の資格、金融業界であればFP、語学力を活かしたいのであればTOEICやTOEFLなどがよいでしょう。
ただし、単に資格を持っているだけでなく、どのように業務に活かしたいのか、なぜ取得しようと思ったのかなどの動機も大切です。資格に付随するエピソードも考えておきましょう。
インターンに参加する
志望業界が決まっていない場合は、積極的にインターンに参加し、自分に向いている業界や企業を見つけるのがおすすめです。複数の業界や企業のインターンシップに参加すると、自分に合った業界や企業を見つけやすくなります。
インターンシップは実際の業務を体験したり、社員の方々と交流したりしながら、企業の内情を深く理解できるのが魅力です。インターンシップでの経験は、自己PRや志望動機の作成に役立つほか、選考において有利に働く可能性もあります。
インターンシップは早期選考の機会を得られたり、内定につながったりするケースもあるため、積極的に活用しましょう。
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売り手市場でも就職活動にお悩みのあなたへ
売り手市場は、就活生にとって多くの選択肢があり、有利に働く傾向にあります。一方で、求人数が多く自分に本当に合った企業を見つける難しさや、人気企業への競争の激しさといった特有の悩みを抱える就活生も少なくありません。
売り手市場を最大限に活かすためにも、自己分析に加え、情報収集を積極的に行い、さまざまな企業に目を向けましょう。
「企業選びに悩んでいる」「やりたい仕事が見つからない」と不安を抱いている方は、就活エージェントの利用もおすすめです。
就職エージェントであるキャリアチケットでは、エントリーシートの添削や面接対策など就活全体をサポートしています。売り手市場での就活に悩んでいる方は、キャリアチケットを利用してみてください。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。