売り手市場とは?買い手市場との違いやメリットについて解説

このページのまとめ

  • 売り手市場とは、就職したい就活生よりも採用したい企業の数が多い状況のこと
  • 売り手市場では条件の良い求人が多く、.企業選びの選択肢が多い
  • 売り手市場でも新卒採用で就職活動中の学生は、自分を磨く必要がある

売り手市場とは?買い手市場との違いやメリットについて解説のイメージ

売り手市場の状況下でも、新卒採用の就職活動で悩みを抱える学生は多くいます。自分にあった企業を選べるか、第一志望の企業に入社できるかなど、不安材料は尽きません。

そこでこの記事では、売り手市場の意味や買い手市場の意味に加え、売り手市場でどんな悩みがあるかなどについて解説します。

また、売り手市場においてどんな努力が必要かも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

売り手市場の特徴と就活のコツを教えてもらう

   
目 次

売り手市場とは採用したい企業が多い状態のこと

売り手市場とは、売り手(供給)よりも買い手(需要)のほうが多い状態のこと。新卒採用の就職活動における売り手市場とは、就職したい就活生よりも、採用したい企業の数が多い状況のことです。

就活で取引されるのは「労働力」なので、売り手は学生、買い手は企業にあたります。「就活生の数<求人数」なので、就活生にとっては多くの求人から選べる有利な状況といえるでしょう。

売り手市場の正しい読み方は「うりてしじょう」

間違えやすいことですが、売り手市場の読み方は「うりてしじょう」が正解です。「いちば」は「場所」、「しじょう」は「経済的な機能」を意味するため、使い分けに注意しましょう。

買い手市場は就職希望者のほうが多い状態のこと

買い手市場とは、就活生の数よりも、採用したい企業の数が少ない状況のこと。1つの企業に多くの就活生が集まり、企業側にとっては優秀な人材を丁寧に選べるメリットがあります。

企業に有利な反面、求人数が少なく就活生には不利な状況といえるでしょう。なお、売り手市場と買い手市場は、その年の求人数と応募者数のバランスによって変動します。

新卒採用の売り手市場や買い手市場についてもっと知りたい方は、「「売り手市場」とは?採用は有利になる?「買い手市場」との違いも解説」をご覧ください。

売り手市場の特徴と就活のコツを教えてもらう

 

有効求人倍率で売り手市場か買い手市場か分かる

売り手市場か買い手市場かは、「有効求人倍率」を使って判断できます。有効求人倍率とは、1人あたり何件の求人があるか示した数字のこと。求人数÷求職者数で求められ、倍率1.0以上は求人数が多く、1.0未満は求職者が多いといえます。

ただし、有効求人倍率は、全国のハローワークの求人数をもとに計算されており、新卒者はカウントされていないのが一般的。あくまでも新卒市場の需給状況を推測する、1つの指標と捉えましょう。

市場が変化する理由

なぜ、売り手市場になったり買い手市場になったりと状況の変化が起きるのでしょうか。主な原因は、景気です。

景気が良くなると企業の業績が伸び、事業を拡大します。それに合わせて新しい人材が必要になるため求人数が増え、売り手市場になります。

反対に、景気が悪くなると事業縮小や倒産などが発生し、求人数が減るため買い手市場となります。

技術革新も、市場が変化する理由の一つです。例えばAIが進化しあらゆる事務作業をまかなえるようになれば、それまで人を雇って行っていた業務に人が不要になります。ポジションの数も減り、買い手市場に傾くでしょう。

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売り手市場が続く新卒採用市場

近年、新卒採用では売り手市場の傾向があります。2022年度の大学卒業者の就職状況を見ると、大学の就職率は97.3%です。

前年度に比べると1.5ポイント上昇しており、短期大学も同様に98.1%で0.3%上昇しています。

全体
大学卒 97.3% 
(国立大学卒 97.4%
(私立大学卒 97.2%
短期大学卒 98.1%

引用:厚生労働省「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査

男女別に見ると、男子学生の就職率が97.3%、女子は97.3%でいずれも前年度より上がりました。また、国公立大学では男子が97.4%で女子が97.4%、私立大学では男子が97.2%で女子が97.2%という結果になっています。文理でも多少の差があり、文系の就職率は、97.1%、理系の就職率は、98.1%です。

いずれも前年度に比べると数字が上がっており、来年以降も大きな情勢変化などないかぎりは、売り手市場が続くだろうと見られています。

就職率については、「四大卒は就職に有利?就活でのメリットや注意点を解説!」も参考にしてみてください。

参照元
厚生労働省
令和5年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します

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売り手市場の3つのメリット

売り手市場になると、求人数が増えるため条件の良いものを選べたり、選択肢が増えたりします。就活生にとっては大きなメリットになるでしょう。

1.条件の良い求人が多くなる

売り手市場になると、企業は学生を確保するために条件の良い求人を出す傾向があります。高い給与や充実した福利厚生など、好待遇の求人が増えるので、働きやすい環境を選べるでしょう。

2.企業選びの選択肢が増える

売り手市場では、応募条件を緩和する企業が増えるのが一般的。中途採用しか行っていなかった企業が新卒採用を始めたり、理系しか採用しなかった企業が文系にも門戸を広げたりする場合があります。

就活生にとっては企業選びの選択肢が増え、自分に合う企業を探しやすくなるでしょう。

企業選びについては、「「会社選びのポイントは何ですか?」の正しい答え方とは?例文つきで解説」もご覧ください。

3.早期に内定が出る可能性がある

売り手市場では、人材確保のため早めに内定が出る傾向にあります。ただし、採用条件が下がり、就活が楽になるわけではありません。企業の求める水準に達しないと内定は出ないので、気を抜かずに就活に挑みましょう。

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売り手市場のデメリット

就職希望者より採用したい企業の方が多くなる売り手市場だからこそ、採用ハードルが下がるのがデメリット。

自己分析や企業研究、キャリアプランなどを綿密に行わずとも内定をもらえる可能性が高まるため、自分や企業について深く理解しないまま入社することもあるでしょう。

実際に働きはじめてから、仕事内容や社風、将来の目標が叶わないといったミスマッチに気づき、早期離職につながることも。「すぐに内定が出るから」と安易に考えず、売り手市場であっても自己分析や企業研究を徹底することが大切です。

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売り手市場でも人気企業は狭き門

売り手市場でも人気企業は応募者が殺到するので、狭き門といえるでしょう。知名度も人気も高い大手企業は、売り手市場の影響を受けない傾向があります。

売り手市場だからと安心して、有名企業にだけ応募すると、どこからも内定を貰えず全滅しかねません。

就活では、視野を広げて選択肢を増やしてみるのがおすすめ。自分のやりたいことができるのは有名企業だけなのか、ほかの企業では実現できないのかよく考えてみましょう。大手企業ばかり狙っている方は、「大企業に就職すれば安心!と考える前に知ってほしいこと」も参考にしてみてください。

中小企業は売り手市場が顕著

中小企業は大手企業に比べて有効求人倍率が高く、売り手市場が顕著といえます。大手企業に応募者が殺到するのに対し、学生が集まらない中小企業が多いのも現状です。

中小企業の中には、少ない従業員数で高い売り上げを出し、安定した顧客を抱える企業も少なくありません。知名度だけに囚われず、中小企業まで目を向けて、企業選びの幅を広げることをおすすめします。

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売り手市場でも就活生が抱える悩み

売り手市場であれば就活生は何の悩みもなく就職活動を進めていると思われがちですが、そんなことはありません。実際には、下記のような様々な悩みを抱えています。

自分にあった企業を選べるか

いくら売り手市場といえど、入社できる企業は1社です。その1社をきちんと選べるかどうかは、難しいところでしょう。就活中は多くの企業について知るため、「こんなにたくさんある中から選べない」「選び方がよくわからない」という方も多いです。

そんな時は、就活の軸をはっきりさせましょう。就活の軸とは、起業を選ぶ上で重要な価値観です。自分が理想とする社会人生活はどんなものか、そのためにはどんな条件が譲れないかを考える必要があります。就活の軸は、「新しい技術で世の中に革新を起こす」「若手のうちから大きな案件に関われる」「年間休日が多く給与が高い」など、人それぞれです。

第一志望の企業に入社できるか

いくらたくさんの企業から内定をもらっても、第一志望の企業にもらえなければ、落ち込んでしまうものです。本当に入社したい企業の内定を得るためには、しっかりと企業をしましょう。

その企業の理念や事業内容はもちろん、過去にどんなプロジェクトを行ってきたのか、どのような社風なのか、どのような人事制度なのかなど、わかる情報をできるだけたくさん集めます。

単に採用ホームページを見るだけでなく、OBOG訪問をしたり、企業説明会で質問したり、インターンに参加したりといった積極的な活動が重要です。ライバルよりも多くのことを知るという目標を持ち、細かく分析しましょう。もし第一志望の企業から内定をもらえなければ、「就活で第一志望に落ちたときの切り替え方は?絶望から救う考え方を紹介」をご一読ください。

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売り手市場でも自分を磨く必要はある

売り手市場だと「楽して就職できる」と思うかもしれませんが、それは間違いです。どんな企業に入りたいか、どの業界がよいかといった理想が一切なければ簡単に内定を得られるかもしれませんが、自分の理想とする仕事に就くためには、努力が必要です。具体的にどのように努力すればいいのか、例を解説します。

何かに注力する

就職活動では、「学生時代に力を入れたことは何ですか?」という質問をほぼ必ず聞かれます。ここは自己PRをする一番のポイントになるため、何か明確な答えが必要です。大学4年間で自分は何を頑張ったのか、胸を張って伝えられる実績を作りましょう。

とはいえ、必ずしも華々しい成功が必要なわけではありません。行ったこと自体は小さなことでもよく、そこで何を学んだか、どのように努力したのかが重要です。大々的なことでなくても、何か目標を持ちそれに向かって努力して、壁にぶつかったら乗り超えるために工夫するといったプロセスを経験しましょう。詳しくは、「面接で学生時代に頑張ったことを聞かれたら?回答のコツ」をご覧ください。

資格を取得する

行きたい業界や企業がある程度決まっている場合は、そこで役立つ資格の取得がおすすめです。入社前から知識を備えておくことで、スタートダッシュを切れるようになります。また、履歴書に取得した資格を書くことで、あなたが本当に業界に興味を持っていることをアピールできます。

インターンに参加する

インターンに参加すると、その企業の仕事内容や社風などを理解できます。様々なインターンに参加することで、自分がどんなことをしたいのか、どんなことに向いているのかなど見極めましょう。

また、社会人コミュニケーションに慣れるというメリットもあります。普段は家族や友人としか接していない方は特に、敬語の使い方などを学べます。

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売り手市場でも就職活動にお悩みのあなたへ

売り手市場であっても、思うように就職活動が勧められずお悩みの学生は多いです。面接が上手くいかなかったり、魅力的なエントリーシートを書けなかったりと、多くの点で大変な思いをしているでしょう。

そんな時はぜひ、キャリアチケットをご利用ください。自己分析や企業研究、面接などのわからないことについて何でも答えます。また、売り手市場でもどんな点に気を付ければいいか、ライバルに勝つためにどうすればいいかもアドバイスがもらえます。選考を突破したい方は下記のボタンから登録しぜひご相談ください。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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