このページのまとめ
- 社風を企業の理念やビジョン、歴史と関連させて具体的な志望動機を書く
- 社風に関する体験談を用いて、自分の価値観や行動目標を志望動機の中でアピールする
- 志望動機に社風以外の要素を入れ、「他社ではなくこの企業を選んだ理由」を述べる
志望動機は応募書類の中でも注目されやすい項目です。「志望動機で失敗したくない」「この内容で大丈夫だろうか」と心配される方もいるでしょう。
このコラムを通して、社風をテーマとして志望動機を書く場合のポイントを学びましょう。3つの例文も参考にしてみてください。
言葉にするのがなかなか難しい「社風」ですが、書き方次第で人事担当者を惹き付ける志望動機にすることができます。
自分の価値観とあった企業に出会える!25卒のスカウト登録はこちら
志望動機が「社風」は魅力がない?
社風とは、その企業が持つ価値観や雰囲気のことを指します。企業の中の文化や慣習と言い換えることもできるでしょう。長く働き続けるためには、自分に合った価値観や文化の企業を選ぶことが重要です。企業も、職場の雰囲気に早く馴染み、周りの社員と同じ価値観を持って行動してくれる人が入社すれば円滑に仕事が進むと考えるでしょう。
したがって、社風を志望動機にすることは理にかないますが、書き方によっては人事担当者に「ありきたりだ」という印象を与える可能性もあります。
志望動機を社風とすることのメリット、デメリットを以下で確認してみましょう。
志望動機に社風を書くメリット
・第1のメリットは、志望者が考えている同業他社との違いを示すことができる点です。世の中には同じような事業内容の企業が多数あります。企業独自の文化である社風に触れることで、「同業他社でなくその企業を選んだ理由」が明確になり、より説得力のある志望動機になります。
たとえば、同じような商品を製造しているメーカーでも、社員同士の個人的な交流が盛んで社内イベントが多い企業もあれば、合理的な働き方を追求し社員の家庭の事情に配慮する企業もあります。その企業の社風のどんな点に惹かれたのかを説明することにより、志望者が感じている同業他社の差をアピールできます。
・第2のメリットは、社風について書こうとすること自体がより深い自己理解や企業理解につながる点です。社風が自分に合うことを説明するためには、前提として自分と企業の双方がどんな価値観を持っているのか理解している必要があります。社風について考えていく過程で、自分が大事にしたい考え方や望んでいる働き方を確認することができるでしょう。また、自分がどのような形で企業の役に立てるか想像しやすくなります。こうした過程を経験することは、書類選考後の選考を進める上でも大きな力になるでしょう。
▼関連記事
面接官を惹き付ける志望動機とは?回答例とNG例を合わせて紹介
志望動機に社風を書くデメリット
デメリットは、人事担当者に「当たり前の内容を書いている」と思われ、興味を持ってもらえなくなる可能性がある点です。人事担当者は応募者に対し、事前に企業について調べて理解していることを期待しています。企業の雰囲気を知ってもらうため、パンフレットやWebサイト、会社説明会などで社風を伝える工夫をしている場合が多いでしょう。人事担当者は「その情報を受けて応募してくるのだから、共感していることが前提」と考えているのです。
また、「社風に共感した」「社風に惹かれた」という表現が使い古されているという問題もあります。これらの表現をそのまま使うと、人事担当者に平凡な印象を持たれることもあるでしょう。
自分の価値観とあった企業に出会える!25卒のスカウト登録はこちら
社風をテーマに志望動機を作成する際の3つのコツ
1.同業他社と比較して「なぜ貴社の社風に共感したのか」を説明
同業他社にはない独特な社風であれば、なぜ共感したのか具体的に記載しましょう。
同業他社との大きな差がない場合は、社風を企業の理念やビジョンと絡めると良いでしょう。企業理念とは、企業の存在意義や使命、大切にしたい価値観などのことです。ビジョンとは、企業理念をもとに実現したい理想像のことを指します。企業理念にもビジョンにも、経営者の思いが詰まった独自の言葉が用いられているので、志望動機に取り入れると他社にはない魅力を説明できるでしょう。たとえば、「顧客満足を重視する社風」と書くよりも、「『最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求する』という企業理念を体現している」と書く方が企業の個性が表れます。
今表れている社風の背景となる歴史を考えることも有効です。たとえば、創業者の人生経験や創業時の苦労が社風の源になっていることがあります。志望動機の中でその歴史に言及すると、志望者が他社との違いを感じていることが際立つでしょう。
2.社風への共感だけでなく、自分の価値観を述べて個性をアピール
社風に共感した理由を経験談から説明すると、おのずとオンリーワンの内容になり、自分の価値観をアピールすることもできます。「もし入社することができたら自分はこうしたい」という行動目標を示すことができればさらに良くなります。
つまり、社風に共感した体験を用いて自分の価値観・行動目標を述べることにより、社風に絡めて自己PRをするのです。
3.社風への共感だけで志望動機のすべてを作らない
志望動機が社風に関する内容だけだと、「同じような社風の企業なら他の企業でも良いのでは」と思われる可能性があります。事業内容や業務内容、商品・サービス、対象のお客さまなど、他にも魅力に感じる部分を記載しましょう。
志望動機を書く前に、自分がどんな仕事を、どんな環境で、どんな方法でしたいのか整理できているでしょうか。その中でも大事なことは何でしょうか。きっと、社風の他にもあるのではないでしょうか。自分の希望と企業の求める人物像が一致する部分を、自分の考えや経験をもとに説明してみてください。
企業の求める人物像を知るためには、企業の新卒採用サイトや募集要項を細部まで読み込むことが基本です。企業が発信する採用情報には、どんな人に来てほしいのか、自社のどの面に注目してほしいのかが集約して書かれています。先輩社員の志望動機や仕事に関する考え方が載っていることもあるでしょう。熟読して自分に照らし合わせながら志望動機を考えると、企業の意向に沿う内容に仕上げることができます。
自分の価値観とあった企業に出会える!25卒のスカウト登録はこちら
社風志望動機の例文3選
以下に、社風をテーマとする志望動機の例文を紹介します。書き方の参考にしていただければ幸いですが、内容に関してはご自身の経験と企業研究に基づいて記載してください。
例文1 伝統と品質を重視する菓子メーカー
私は誇りを持って良質の商品を販売したいと思い、貴社を志望します。
私は人と話すことが好きで、食品販売のアルバイトをしていました。自分が魅力を感じている商品をお客さまに選んでいただいたときに特にやりがいを感じ、「自信を持ってお勧めできる商品を扱っている会社で働きたい」と考えるようになりました。
貴社のお菓子は社是「誠心」のとおり、良質な原材料を使用し、一つ一つ職人の手作業で作られています。味わいも優しく、お子さまからお年寄りまで安心して食べていただける点も魅力であると感じます。貴社があえて拡大路線をとらず、創業以来品質にこだわり続けていることにも感銘を受けました。
入社させていただけたら、お客さまの気持ちを想像して丁寧な接客をしていきたいです。
この例文では、社風の魅力を「社風によって生み出される商品の魅力」として伝えています。社是を取り入れることによって企業独自の価値を強調しました。アルバイト経験に基づいて自分のモチベーションの源を説明することにより、説得力が増しています。
例文2 丁寧な対話を重視するIT企業
貴社の皆さまの丁寧なコミュニケーションと向上心が自分の目標に一致しているため、応募させていただきました。
貴社のセミナーに参加した際、社員の皆さまが私と対等な目線で真剣に話を聞いてくださったことが強く心に残っています。セミナーの前後にも、緊張が和らぐように気遣っていただいたり、励ましの言葉をかけていただいたりして、他社で味わったことがないような安心感を感じました。
私は大学のゼミで共同研究を行った際、目的の達成のためにはチームメンバーとのこまめな対話が不可欠だと痛感しました。技術や知識があっても、メンバーと目標をすり合わせることや進捗を確認し合うことを怠ると仕事が進みません。開発の仕事はチームワークですので、率直に話しやすくお互いの状況に配慮し合える貴社の先輩方と一緒に働きたいと思いました。
また、貴社には定期的な勉強会と資格取得の支援制度があります。私は技術者としての価値を上げるために学び続けることが一番重要だと考えているので、貴社の環境を活かして新技術の習得や資格取得に積極的に取り組んでいきたいです。
入社後は常に技術力の向上に努め、顧客やチームの目標達成に貢献できるように頑張ります。
この例文では、社風に惹かれた理由をセミナーとゼミでの体験から説明しています。体験は固有のものであるため、多くの就活生が用いるコミュニケーションのテーマであっても個性を出すことができるでしょう。同時に、自分の仕事に対する考え方や取り組みの姿勢を伝えられています。
技術の勉強を支援してくれる環境であることにも言及し、社風以外の要素がある志望動機になっています。環境を志望動機にする場合は「会社がしてくれるから」という受身の姿勢で書くのはなく、環境を活かして自分が実現したいことを強調することが大切です。
例文3 スタッフが助け合って笑顔で働く福祉施設
私の兄が就労継続支援事業所で大変親切にしていただき、やりがいや役割を持って働くようになったことから、自分も就労継続支援事業所で利用者さまの支援をしたいと考えるようになりました。貴法人には精神・発達障がいをお持ちの利用者さまが多く、大学で学んだ内容を仕事に活かせるため志望しました。
貴施設に見学に伺った際、スタッフの皆さまが笑顔で楽しそうに仕事をされている姿に感動しました。笑顔で過ごせる秘訣を〇〇さまにお伺いしたところ、スタッフ同士でこまめに声を掛け合って助け合っていること、ご自分でも疲れやストレスを溜めないように注意して生活していることを教えていただきました。スタッフの皆さまの結束力とプロ意識の高さを感じ、ぜひ自分も一員になりたいと思いました。
入職後は、利用者さまが少しでも多くやりがいを感じてもらえるような工夫をしたいと考えています。利用者さまの表情や行動をよく見て、その方の長所や楽しみを発見していきたいです。
この例文の一番強い志望動機は社風ですが、希望する施設と支援対象者について述べ、客観的な視点を加えています。志望する理由と自分自身の目標を結びつけて書くことで、専門家として成長したいという意欲が伝わるでしょう。
自分の価値観とあった企業に出会える!25卒のスカウト登録はこちら