転勤がない仕事はある?メリット・デメリットや企業選びのポイントを解説

このページのまとめ

  • 転勤がない仕事は地域や専門分野に根ざして働けるため生活やキャリアを安定させやすい
  • キャリアの幅や給与が制限される場合もあるのが、転勤がない仕事のデメリット
  • 転勤がない仕事の定義は企業によって異なるため、入社前に範囲や条件を確認しておく

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「転勤がない仕事に就きたい」「転勤がないとキャリアアップがしにくくなるのでは」など悩みを抱える就活生は多いでしょう。家族や友人との距離、住まいの問題、キャリア形成など、転勤の有無は働き方を大きく左右する事柄です。

この記事では、転勤がない・少ない仕事の業界や職種、メリット・デメリット、探し方を就活生向けに解説します。同じ地域で働き続けたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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目 次

転勤がない・少ない仕事【業界編】

業界や職種によって転勤が少ない仕事もあります。以下で転勤のない仕事をまとめているので、就職活動に向けての参考にしてください。

IT系

IT業界は、近年の働き方改革やテクノロジーの進化により、転勤が少ない業界として注目されています。多くのIT関連の仕事は、インターネットを通じて完結できるため、オフィスに常に出向く必要がないことが多く、転勤の頻度が低い傾向です

たとえば、プロジェクトの進行やチームの連携がインターネットを介して行えるため、物理的な拠点の変更がなくても業務が成り立つことが少なくありません。そのため、勤務地が一度決まると、その後転勤が必要になるケースは少ないと考えられます。

リモートワークを導入するIT企業が増えていることも、転勤が少ない理由の一つです。社員は自宅で作業を行うことができ、コミュニケーションツールやクラウドサービスを活用すれば、場所を選ばずに効率的に業務を進められます。

IT業界の仕事内容について詳しく知りたい方は、「【IT業界徹底解説Part1】IT業界で働くための基礎知識」をご覧ください。

出版・マスコミ系

出版・マスコミ系企業も、転勤の可能性が低いとされる仕事です。出版業界の企業や大手マスコミ企業の本社は、主に都市部に集中しているため、転勤が必要になる機会が少なくなっています。支社や事業所が限られており、異動の範囲が限られることが、転勤の少なさにつながっているといえるでしょう。

ただし、マスコミ業界の中には、地方に拠点を持つ企業も存在しています。特に、新聞社やテレビ局などは全国規模で事業展開しているため、職種によっては転勤を前提とする場合もあるでしょう。

広告系

広告業界は転勤が比較的少なく、特に本社で働けるケースが多い業界といえます。企画やクリエイティブなど広告の核となる仕事は、本社に集中しているためです。地方拠点は営業やサポート業務が中心となり、本社のように大規模な異動はほとんどありません。

たとえば、大手広告代理店ではクリエイティブ職やマーケティング職は東京本社勤務が中心です。そのため、「転勤が多い業界は避けたい」という就活生にとって、勤務地が限定されやすい点は安心材料になります。

ただし、競争が激しく、勤務地は限定されても仕事内容の難易度は高いことを理解しておきましょう。

コンサルティング系

コンサルティング系企業も、転勤が少ないといわれています。コンサルタントの主な業務は、企業や組織の経営層に対して戦略的な助言を行い、意思決定をサポートすること。そのため、コンサルティング会社の拠点は、取引先となる企業が集まる都市部に集中しており、転勤が必要になる機会が少ないのが特徴です。

多くのコンサルティング会社は、東京や大阪などの大都市を中心に拠点を構えており、クライアントとの会議や打ち合わせも都市部で行われるため、転勤の頻度は比較的少ないでしょう。ただし、規模の大きな企業や国内外で展開している企業では、大都市間の転勤を命じられる可能性があります。

コンサルティング業界への就職を目指す方は、「コンサルティング業界について研究しよう!仕事内容や働く魅力を解説」をご覧ください。

インフラ系

インフラ系企業には地域密着型の企業が多く、転勤は少ない傾向です。インフラ系企業とは、ライフラインや交通、通信などに関わる企業を指します。

たとえば、鉄道会社では特定の地域や路線に特化した業務が多く、電力会社やガス会社も同様に、各地域にサービスを提供するために拠点を構えています。これらの企業では各地域の業務運営が重要視されており、地域ごとに事業を運営していることが多い傾向です。そのため、転勤の範囲は基本的にその地域内で収まる場合が多いでしょう。

インフラ系企業の仕事内容に関しては、「インフラ業界とは?事業内容や職種など就活必見の情報を解説!」で詳しく解説しています。

エンタメ・アミューズメント系

レジャー業界をはじめとするエンタメ・アミューズメント系企業も、本社のみで事業を完結している企業が多いため転勤が少ないといえます。規模の小さなレジャー施設や特定のエリアでのみ営業している遊園地などでは、その施設が唯一の拠点となるため、転勤の必要がほとんどありません。

たとえば、遊園地やテーマパーク、スケート場などの施設を運営している企業では、その施設が全国に1つしかないというケースもあります。このような企業では、従業員が勤務する施設が固定されるため転勤が少なく、同じ場所で長期間働き続けられるでしょう。

一方で、エンタメ・アミューズメント業界のなかでも規模の大きな企業が展開している事業には、転勤の可能性がある場合も。たとえば、全国展開をしているパチンコ店やボウリング場など、複数の拠点が存在する企業に勤務する場合は、転勤の可能性が考えられるでしょう。

シンクタンク系

シンクタンク業界は、最新の情報や専門家とのネットワークにアクセスしやすい都市部に拠点を構える必要があります。そのため、拠点が東京などの大都市に集中しており、基本的に転勤は少ない業界です。人材も都市部に集まりやすいので、地方への異動はほとんど発生しません。

シンクタンク業界は「転勤を避けたい」「専門性を磨いて都市部でキャリアを築きたい」と考える就活生に向いています。都市型の働き方を希望する人にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

大学系

大学職員は基本的に大学のキャンパス内で働くため、転居を伴う転勤はほとんどありません。多くの大学は特定の地域に拠点を構えており、事務、学生支援、広報など幅広い業務を一つのキャンパス内で完結できるからです。

仮に異動があっても、同じ大学の別キャンパス間での移動にとどまるケースが一般的。大学職員は「地元に根ざして働きたい」「教育現場を支える仕事がしたい」と考える就活生にとって、安定性とやりがいを両立できる職種といえるでしょう。

地方銀行や信用金庫

金融業界は転勤が多い仕事としてイメージする方もいるかもしれませんが、地方銀行や信用金庫は転勤の機会が少ない傾向にあります。その理由は、各支店や営業エリアが地域に密着しており、全国規模での転勤が少ないためです。

地方銀行や信用金庫は、地域に根ざしたサービスを提供することを目的としています。支店の設置場所や営業エリアが限定されており、その範囲内で業務を行うことが多いため、転勤が発生しにくいでしょう。

一方、メガバンクなどの大手銀行は全国に多くの支店を展開しており、営業エリアが広範囲にわたります。そのため、転勤が発生しやすいと考えておきましょう。

地方銀行の特徴については、「地方銀行の志望動機を書くコツは?盛り込むべき4つのことを例文付きで解説」の記事も参考にしてください。

地方公務員

地方公務員は転勤が少なく、安定した地域での勤務が可能な職業です。地方公務員として採用されると、基本的には指定された地域の役所や自治体での勤務となり、その後の転勤はありません。

たとえば、ある地域の市役所で働く場合、採用された場所で勤務が続くため転勤がなく、同じ地域で安定した生活を送れるでしょう。

地方公務員の種類や仕事内容について詳しく知りたい方は、「公務員の仕事内容とは?種類と職種別でご紹介!」もあわせてご覧ください。

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転勤がない・少ない仕事【職種編】

経理や事務など、比較的転勤が少ない仕事や職種もあります。ここでは、代表的な仕事を紹介します。

経理

業界や会社にかかわらず、経理の仕事は転勤が少ないとされています。経理の仕事は、会社のお金の流れをしっかりと理解して管理する必要があり、人材の入れ替わりが少ない方が良いとされているからです。

経理部門では業務の継続性が重要視されています。転勤や異動によって部門内での知識の断絶が生じることを避けるため、社員の入れ替わりは少ないのが一般的です。

また、経理は本社に勤務する場合が多く、転勤で支社に行く必要性もないため、同じ職場で長く業務を行えるでしょう。

事務職

事務職も基本的に転勤する理由がないといわれています。事務職の仕事は、会社の規模や事業内容、配属先によって異なるものの、決められた部署で業務も固定化されるのが一般的です。

経理事務や総務事務、人事事務など、特定の部門で専門的なサポートを行うケースが多く、ほかの部署への異動や転勤が少ないとされています。

また、事務職は基本的に一般職での採用です。一般職は総合職とは違い、原則として転勤がありません。このことから、同じ地域で長く働ける可能性が高いといえるでしょう。

総合職と一般職の違いを詳しく知りたい方は、「総合職と一般職はどう違う?それぞれの仕事内容や選択のポイントを解説」をご覧ください。

研究職

研究室や研究所の数が限られている点から、研究職も転勤が少ない傾向です。たとえば製薬会社の研究職では、主に本社の研究所での勤務が中心となり、業務をほかの支社や工場などに広げることはほとんどありません。

しかし、研究所の閉鎖に伴って別の施設へ移るケースや、研究テーマが変わり別の施設に異動を命じられるケースもあります。また、研究職から人事や品質管理などの職種へ異動を命じられれば、転勤の可能性もあるでしょう。

研究職の仕事内容に関しては「研究職になるには?働くメリットや向いている人物像をご紹介」で詳しく解説しています。

医療専門職

医療専門職は病院やクリニックなど特定の医療機関に所属して働くため、全国転勤の可能性はほとんどありません。医師や看護師、薬剤師、理学療法士などは、専門知識と技術を生かして患者を直接支援する職種です。

そのため、勤務地が医療機関に限定され、広範囲な配置転換が発生しにくくなります。仮に異動があっても、同じ法人が運営する近隣施設にとどまるケースが大半です。医療専門職は、勤務地を大きく変えずに専門性を高められる点が大きな魅力といえるでしょう。

管理職

管理職は企業の中心的な役割を担い、組織全体の運営や戦略的な方針決定に大きな影響を与えるため、通常は本社で勤務することが多く、転勤が少ないポジションです。管理職が支店勤務になると、本社との連携が取りにくく、仕事に支障が出るケースもあります。本社機能を円滑に進めるためにも、本社で働くケースが多いでしょう。

また、管理職には特定のチームや部署を率いる責任が伴います。チームや部門を効果的に指導し、部下と密に連携をとるためには、継続的に同じ場所で働き続ける必要があるでしょう。そのため、頻繁な転勤は起こりにくいと考えられます。

しかし、管理職は異動が全くないわけではありません。たとえば、企業が大規模な組織変更を行う場合や、特定のプロジェクトに従事するために部署異動が必要となるケースもあります。

企画職

企画職は商品開発やサービス開発を行う職種です。営業やマーケティングなどほかの職種と連携する機会が多いため、本社で勤務するケースが多くなります。長期にわたる開発プロジェクトや商品化プロセスに関わる場合、転勤があっては計画が中断されるリスクが高くなるため、起こりにくいといえるでしょう。

他企業との打ち合わせや取材などで出張はあっても、あくまで一時的なものであり、転勤を頻繁に行うことはないと考えられます。

Webエンジニア

Webエンジニアは、Webサイトやアプリケーションの開発、またはバックエンドシステムの構築を担う職種です。インターネットを通じて業務を進めるため、通常の勤務では転勤が求められることはありません。

多くの企業では、リモート会議やオンラインコミュニケーションツールを活用して、遠方の取引先と連携をとるため、出張する必要も少ないのが特徴です。そのため、Webエンジニアは転勤のリスクが少なく、ライフスタイルに柔軟に合わせながら働ける仕事といえるでしょう。

自分に合う仕事を見つけるためには、業界や企業について入念に調べることが欠かせません。「業界・企業・職種の研究はなぜ重要?就活を効率的に進めるための基礎知識」の記事でその重要性を詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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転勤がない仕事に就く6つのメリット

ここでは、転勤のない仕事に就くメリットを6つ解説します。

1.専門性を磨きやすい

転勤がない仕事は、一つの地域や分野に腰を据えて取り組めるため、専門性を高めやすいのが大きなメリットです。

頻繁な部署異動や転居があると、業務内容が変わりやすく、一つの分野をじっくり極めることが難しくなります。逆に転勤がない場合は、同じ地域や専門領域で経験を積み重ねられるため、「その分野のプロ」としてキャリアを確立しやすいのです。

転勤がない仕事を選べば、長期的にスキルを磨き、専門的なキャリアを築いていけます。「一つの分野でプロフェッショナルになりたい」という就活生にとって大きな魅力といえるでしょう。

2.仕事における人間関係を築きやすい

転勤のない仕事のメリットは、仕事での人間関係を築きやすい点です。同じ職場で働き続けることで継続してコミュニケーションを取れるため、上司と気兼ねなく話ができるようになったり、同僚と仕事がしやすくなったりします

また、社内に限らず、取引先の担当者や顧客とも継続して関係性を築けるのも良い点です。転勤せず同じ場所で仕事を続けるなかで、働きやすさを感じやすいでしょう。

3.家族や親しい人と離れる心配がない

転勤をきっかけに家族や親しい人と離れる心配がないのも、転勤がない仕事のメリットです。就職後も変わらず家族や親しい人の近くに居られると思うと、安心感を覚え、精神的な負担が少なくなります。

転勤に伴い家族全員で引っ越しをする場合、子どもの転校やパートナーの転職など、家族に負担がかかるケースも少なくありません。一方で、単身赴任を選ぶ場合であっても、家族と離れる寂しさや一人暮らしのストレスを感じる可能性もあります。

転勤のない仕事であれば、環境の変化に悩むことがなく、安心して仕事ができるでしょう。

4.マイホームを購入しやすい

いずれマイホームを購入したいと考えている場合、転勤がない仕事のほうが計画を立てやすくなります。実際に、マイホームを購入したあとで転勤が決まり、手放したり賃貸に出したりするケースも珍しくありません。

マイホームの購入は、人生の節目にもなります。転勤がないとあらかじめ分かっているほうが、安心してマイホーム購入に踏み切れるでしょう。

5.気に入った地域に長く住める

自分が好きな地域に長く住める点も、転勤がない仕事に就くメリットです。生まれ育った街で暮らしたいと考えて地元就職する人や、気に入った地域がある人にとって、同じ場所に長く住めるということはQOLの向上に繋がります。

転勤がある仕事の場合、たとえ気に入った地域であっても、転勤を命じられれば別の地域へ引っ越さなければなりません。はじめから転勤がない仕事に就けば、そのような心配はなくなります。

6.引っ越し費用が掛からない

転勤がなければ予想外の引っ越しをする必要もないため、出費を抑えられます。転勤が多い場合には、引っ越し費用やその他雑費が多く掛かるでしょう。

転勤がなければ、引っ越し費用を考えずに済むほか、趣味やスキルアップに使えるお金が増えます。

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転勤がない仕事に就く5つのデメリット

ここでは、転勤がない仕事に就くデメリットを5つ解説します。「絶対に転勤なしの仕事に就きたい」と考えている方は、本当にそれで問題ないか見つめ直してみましょう。

1.心機一転できる機会が少ない

転勤のない仕事に就くデメリットは、心機一転できる機会が少ない点です。勤務地が変わらなければ職場環境や人間関係も変わらないため、新たな気持ちで働くのは難しくなります。

職場の人間関係に不満を抱えたり、仕事内容に飽きたりした場合、転勤をきっかけにリセットできるケースも珍しくありません。そのため、同じ環境で働き続ける状況をデメリットに感じる人もいるでしょう。

同じ業務の繰り返しに飽きてしまった場合には、仕事のモチベーションを維持できず、退職してしまうケースもあります。環境の変化を好む人は、転勤のない仕事にこだわり過ぎないほうが良いでしょう。

2.転勤ありの仕事に比べて給与が少ない場合がある

転勤がない仕事を選ぶ際には、給与面に注意が必要です。転勤ありの仕事と比べると、給与が低くなるケースがあります。その理由は、転勤ありの仕事では引っ越し手当や単身赴任手当、地方勤務手当などの各種手当が支給されることが多く、結果的に給与が上乗せされることがあるためです。

また、転勤を経験することで幅広いスキルやキャリアを積むことができ、昇進や昇給につながる場合もあります。

転勤がない仕事に就く場合は、給与水準を確認し、自分のライフプランに合った選択をすることが大切です。

3.キャリアアップやスキルアップしにくい

転勤がない仕事はキャリアアップやスキルアップがしにくいというデメリットがある点に注意しましょう

一般的に、企業は転勤を通じて従業員の成長を促したり、組織に新しい刺激を与えたりすることを期待しています。転勤先での成果が評価されることで、昇進や昇給などキャリアアップにつながるケースも多く見られるのです。

しかし、転勤がない仕事では、環境が変わらない分、異なる部署や地域での経験を積む機会が少なくなり、新たな視点や成長の機会を得にくくなる可能性があります。そのため、長期間同じ職場で働くことを前提に、自分の専門性やスキルをどのように磨いていくかをあらかじめ考えておくことが大切です。

4.職場の人間関係の悩みを解決しにくい

転勤がない仕事では、職場の人間関係の悩みを解決しにくいというデメリットもあります。転勤のある仕事であれば、職場の人間関係に悩んだとしても、異動によって環境を変えられるため、一時的な悩みとして気楽に考えやすいでしょう。

しかし、転勤がない場合は、長期間同じメンバーと働くことになるため、人間関係のトラブルや悩みが長引きやすくなります。

職場の人間関係はさまざまなきっかけで変化しますが、環境を変えられない分、悩みが深刻化するリスクも高まるでしょう。そのため、転勤のない仕事を選ぶ際は、入社前に社風やチームの雰囲気をしっかり確認し、自分に合った職場かどうかを見極めることが重要です。

5.人脈が増えにくい

転勤がない仕事では、地域を超えた人脈が増えにくいというデメリットもあります。人脈は、新しい仕事のチャンスやキャリアの選択肢を広げるきっかけになるものです。

しかし、転勤がない場合は、付き合う人が同じ地域や職場内に限られがちで、全国的・業界横断的な人脈を作る機会は少なくなるため、キャリアの幅を広げるきっかけをつかみにくいこともあるでしょう。

このように、転勤のない仕事にはメリットだけでなく、給与面やキャリア形成、人間関係、人脈形成などのデメリットも存在します。自分に合う企業選びのポイントについては、「失敗しない企業の選び方10選!あなたに合う企業選びのポイントを解説」も参考にしてください。

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新卒向けの転勤がない仕事や企業の探し方

ここでは、転勤のない仕事を探すときに確認したい6つのポイントを解説します。

1.転勤なしやエリア限定の求人を探す

転勤のない仕事にこだわりたいのであれば、「転勤なし」や「エリア限定職」と明記されている求人を探すのがおすすめです。求人サイトや就職エージェントによっては「転勤なし」を選択し、条件を絞って求人を探せるようになっています

エリア限定職とは、転勤があっても転勤先のエリアが限定されている求人のことです。最近では、全国転勤が多い大手企業でもエリア限定職を導入する傾向にあります。ただし前述したように、エリア限定職は全国転勤のある求人に比べて賃金が低い可能性も念頭に置いておきましょう。

2.支店がない会社を探す

転勤を避けるためには、支店のない会社を探すのがおすすめです。支店のない会社は転勤する先がないので、同じ拠点で長く働けるでしょう。

たとえば、中小企業やベンチャー企業は規模が小さく、本社しか持たないケースがよくあります。全国に支店を持つ大企業と比べると、転勤の可能性は低いでしょう。

また、複数の支店や営業所がある場合でも、本社近くに拠点があれば、異動となっても引っ越しせずに勤務できる可能性もあります。

企業の規模による違いについては、「中小企業にはどんなメリットがある?大手企業との違いと合わせて解説」も参考にしてください。

3.転勤が少ない職種を選ぶ

転勤がない仕事に就きたい場合は、記事冒頭で紹介した転勤の少ない職種に絞って就職活動をするのもおすすめです。

たとえば、専門性を求められる職種は、代わりの人材が少ないことから、転勤が発生する可能性は低くなるでしょう。事務や総務をはじめとする内勤の仕事も、営業などの外勤に比べると転勤は少ない傾向です。

ただし、総合職の場合は転勤を命じられる可能性があるので注意してください。

実際に、転勤の可能性がどれだけあるかは会社によって異なります。自分の希望条件に合う求人を効率良く探すためにも、転勤が少ない仕事の特徴を押さえておきましょう。

4.転勤の多い仕事・業界を避ける

転勤の多い仕事を避けるのも、転勤のない就職先を探すポイントの一つです。企業選びにおいて転勤がないところを優先しているのであれば、転勤の多い就職先の特徴も理解しておく必要があります。

転勤が多い会社は、大手企業を中心に日本全国に支社を置いているのが一般的です。また、事業が地域にまたがる場合、職種によってはプロジェクトの進捗に合わせて転勤を命じられるケースもあります。

なお、ジョブローテーション制を採用する会社では、昇進やローテーションを理由に転勤が行われる場合もあるようです。転勤のない仕事に就きたい場合は、このような会社を避けて就職活動をしてみましょう。

5.地域密着型企業を探す

地域密着型企業は転勤の可能性が低いといえます。支店を複数持つ企業も、同じ地域に支店を構えているケースが多くあるからです。

たとえば、地域密着型の銀行であれば、同じ都道府県内にのみ支店を構えているケースがあります。支店間が電車やバスで簡単に移動できる距離であれば、引っ越しする必要はないでしょう。

支店が多い企業であっても、支店の場所が固まっている場合があります。支店のない企業だけを探すのではなく、地域密着型企業を探すのもおすすめです。

6.リモートワークができる仕事を探す

転勤がない仕事に就くなら、リモートワークができるかもチェックしましょう。オンラインで業務を行う職種は、基本的に転勤の可能性がほとんどありません。在宅勤務やリモートワークを推進している企業では、経営方針が変わらない限り転勤の必要は低いと考えられます。

たとえば、Webデザイナーやプログラマーなどの職種は、インターネットを通じてどこでも仕事ができるため、企業側としても転勤や引っ越しに伴う費用を負担する理由がありません。転勤を避けたい場合は、リモートワークを導入している企業で働くのも選択肢の一つです。

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転勤がない仕事を目指す際に気を付けたいこと

転勤がない業界は魅力的です。しかし、就職後に後悔しないためには、「就職難易度「転勤の定義」「社風・人間関係」の3つを事前に確認することが重要です。

応募が集中して就職難易度が高くなる

転勤が少ない業界や職種は人気が高く、就職難易度も高くなる傾向があります。

多くの就活生が、「安定した生活基盤」や「特定の地域で腰を据えて働きたい」という理由で応募するためです。その結果、応募者が集中し、企業側も優秀な人材を求めるため、選考は厳しくなります。

そのため、転勤が少ない業界を目指す場合は、明確な志望動機と自身の強みをしっかりアピールできる準備が不可欠です。

企業によって「転勤なし」の意味が異なる

「転勤なし」といわれても、企業によって意味が異なるため、入社前に定義を確認しておきましょう

企業ごとに「転勤なし」の範囲が異なります。採用情報では全国転勤がない場合でも、関東圏内や近隣施設での異動が含まれることも。また、職種によっては部署異動に伴う勤務地変更はあるが、会社都合による全国転勤はない、といった規定も存在します。

面接や内定後の確認時に、具体的な異動範囲・頻度・可能性を質問して、不明点はすべてクリアにしておきましょう。

入社前に社風や人間関係を確認する

転勤がない仕事を選ぶ際は、社風や人間関係をしっかり確認し、ミスマッチを防ぐことが大切です。転勤がない職場では、長期間同じ環境で働くため、社風や人間関係との相性が仕事の満足度を大きく左右します。転勤が少ない分、一度入社すると環境を変えるのが難しいため、職場との相性が悪いとモチベーション低下やストレスの原因になりやすいでしょう。

企業との相性を確かめるために、以下のようなアクションを起こすと効果的です。

・インターンシップに参加して、実際の職場の雰囲気を肌で感じる
・OB・OG訪問を通じて、社員の生の声を聞く
・企業Webサイトやパンフレットだけでなく、文化や働き方の情報を多角的に収集する

自分に合った職場かを入社前にしっかり確認することで、長く安心して働ける環境を選べます。転勤が少ない職場では、事前の見極めが特に重要です。

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転勤がない仕事に就きたい人が避けるべき業界

ここでは、転勤がない仕事に就きたい就活生が避けたい業界を解説します。

大手の金融系

メガバンクを中心とした大手の金融系企業は、転勤が多い仕事です。金融系企業の多くがジョブローテーション制を採用しているため、全国展開している銀行に就職すると、転勤の可能性は高いでしょう

また、銀行員の仕事は、特定の顧客との付き合いが長くなるほど不正取引の原因になりやすいと考えられています。

これらの理由から、大手の金融系企業に入社したら、頻繁に転勤があると考えておきましょう。

銀行業界がどのような仕事を行っているかは、「銀行業務とは?主な仕事内容や銀行員に求められる5つのスキルを解説」の記事で詳しく解説しています。

商社やメーカー

商社やメーカーも転勤が多い仕事です。大手のメーカーのなかには、各地方に工場を置いている会社もあり、特に営業職や技術職、現場作業員などは転勤が多いといわれています

管理職へのキャリアアップを目的にジョブローテーション制を採用している企業も多く、さまざまな経験を積んでいくなかで転勤を命じられることもあるでしょう。海外展開している会社であれば、海外赴任の可能性もあります。

商社への就職を目指す就活生は、「商社の仕事内容とは?代表的な職種や向いている人なども紹介」の記事も参考にしてください。

建設系

転勤が多い仕事として、建設業界も挙げられます。建設業界は、地域性の強い仕事が特徴です。特に、現場管理に携わる職種の場合、1つの工事が終わるとまた別の地域に移動しなければならないことがあります。

建築物は、都市部に限らず地方でも建つため、転勤先の地域を予測するのは難しいかもしれません。建設業界でキャリアを積んでいくには、転勤は避けられないでしょう。

国家公務員

国家公務員は、職種によって北海道から沖縄まで全国勤務を対象とする仕事もあります。異動の頻度も2~4年と幅が広く、どのタイミングでどこへ転勤になるか分かりません。

ただし、国家公務員といっても、転勤の有無や頻度は職種によってさまざまです。採用機関によりますが、一般職であれば近隣地域内または都道府県内の転勤で済む場合もあります。それでも、国家公務員は地方公務員と違って転勤が多いと覚えておきましょう。

自分に合う仕事を見つけて長く働くためには、世の中にある職種について幅広く知ることが大切です。「就活における職種の一覧とは?自分に合う仕事の見つけ方も紹介」の記事で数多くの職種を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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企業が転勤を命令する理由

転勤は、企業が必要に応じて従業員に命じる人事異動の一環としてよく行われます。その目的にはさまざまな理由があり、組織の活性化から社員の能力向上まで、企業の戦略にもとづいて転勤が実施されることが多い傾向です。

ここでは、企業が転勤を命じる理由を詳しく紹介します。

人材の入れ替わりによって組織の活性化を目指している

職場の活性化を目的に、転勤が行われる場合があります。長期間同じ職場で働いていると、業務の進め方や職場の雰囲気に慣れきってしまい、新たな挑戦への意欲が薄れがちです。こうした状況を打破するため、転勤を積極的に行い、人材の流動化を促すケースがあります。

転勤によって異なる環境での経験を積んだ社員は、新たな視点をもち、業務に新しい風を吹き込める可能性があるでしょう。その結果、組織全体が活性化し、社員のモチベーションも向上することが期待されます。

社員の能力向上を促進するため

さまざまな部署を経験させ、スキルの幅を広げたり向上させたりすることを目的に転勤が行われるケースもあります。部署異動は、特定の分野での専門知識だけでなく、ほかの領域での理解を深めるチャンスを得られるでしょう。

これにより、社員は多角的な視点をもつことができ、問題解決能力やチームワークを高めることが可能です。また、部署ごとの業務内容や業界の動向を理解することで、社員は会社全体の戦略や方向性をより深く理解でき、結果として組織の成長に貢献する能力を養えるでしょう。

事業戦略に応じた人員配置の変動

事業戦略の変化によって、人員を調整することを目的にした転勤が発生します。新たな市場に進出する場合や新規事業を立ち上げる際には、専門知識を持った社員が必要です。逆に、事業の縮小や撤退を行う際には、余剰人員をほかの部署に異動させることでリソースの無駄を防ぐ必要があります。

転勤や異動は企業の事業戦略に密接に関連しており、企業が効率的に運営を行うためには欠かせない手段です。転勤を通じて、事業のニーズに応じた人材の配置が実現され、企業全体の柔軟性や競争力を維持できます。

懲戒や処分としての転勤

社員が職場で不祥事を起こして懲戒処分になったとき、処分の一環として転勤が実施されるケースがあります。問題を起こした社員を別の部署や拠点に異動させることで、職場環境の改善やほかの社員への影響を最小限に抑えるのが狙いです。

たとえば、パワハラやセクハラといった問題が発生した場合、加害者を別の部署に転勤させるケースがあります。職場内の風紀を守り、社員全体の士気を保とうとする企業は少なくありません。

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企業から転勤を命じられても断れる3つのケース

会社から転勤を命じられた場合であっても、断れるケースがあります。入社後に転勤を命じられたときに、どのような対応ができるか参考にしてください。

1.転勤なしが前提の勤務地限定採用である

採用時に「転勤なし」を前提としている場合、転勤を拒否できます。あらかじめ勤務地を限定したうえで採用する方法は「勤務地限定採用」と呼ばれ、会社が転勤を命じないことを前提にしているからです

そのため、勤務地限定採用であるにもかかわらず転勤を命じられた場合は、応じなくても問題ありません。

2.転勤の理由に正当性がない

転勤の理由に正当性がない場合は、転勤を断れる可能性があります。たとえば、「上司から日常的に嫌がらせを受けている」といった状態のなかで転勤の辞令がでるようなケースであれば、職権乱用が疑われるでしょう。

しかし、転勤理由の正当性を判断するのは難しいといえます。そのため、転勤の理由に正当性がないと感じられた場合は、まず周囲に相談することが大切です。

3.やむを得ない事情がある

転勤を命じられたタイミングで、やむを得ない事情がある場合には断れる可能性もあります。育児や介護など、タイミングによって転勤できない事情があるケースも少なくありません。やむを得ない事情がある場合には、まず上司に相談してみましょう。

就業規則に転勤規定がある場合は転勤を断れない

就業規則に転勤の規定がある場合は、原則転勤を拒否できません。たとえ転勤を拒否しても、上司から許可を得られなければ、転勤の辞令が下されます。そのため、転勤を断る正当な理由がなく、拒否しても認められない場合には、従わざるを得ないでしょう。

転勤をしたくない場合は、企業と雇用契約を締結する前に、転勤の有無について確認しておいてください。

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転勤を断ると処分の対象になる可能性もある

正当な理由がなく転勤を断った場合には、処罰の対象になる恐れがあるので注意が必要です。転勤の辞令を無視していると、就業規則違反に該当する可能性があります。

処分の内容は、懲戒解雇や退職励行、降格処分など、会社によってさまざまです。なかでも懲戒解雇は、転勤の拒否が懲戒解雇の対象になると就業規則で定められている場合に行われます。この処分を受けると「懲戒解雇を受けるほどの重大な問題を起こした」とみなされ、将来の転職活動にもマイナスの影響を与えてしまうでしょう

また、降格処分となった場合も、その後のキャリアアップは難しくなります。転勤を断る際に、こうしたデメリットに直面する可能性は少なくありません。

そのため、就職先を探す段階から「なぜ転勤をしたくないのか」「転勤をしたくない気持ちはこの先もずっと変わらないのか」など、転勤のない仕事に就きたい理由を深掘りしておく必要があります。自分についての理解を深める「自己分析」の方法については、「自己分析を効率的に進める質問項目|例文と活用方法も解説!」をご覧ください。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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